インソース グループ営業統括室

成功する「チームビルディング」3つの要点~リスペクトを基盤に、心理的安全性の高いチームをつくる方法

成果を出せない職場は、上意下達や沈黙の文化が根強く、メンバーが意見を言えないことが多くあります。真に強いチームをつくるには、役職や立場を超えた「相互リスペクト」を基盤に、共通のビジョンを共有し、心理的安全性を高めることが欠かせません。日常的な感謝やフィードバックのやり取りが信頼を育み、意見が活発に交わされることで、プロジェクトの成果や離職率改善にもつながります。

本記事では、チームビルディングに必要な3つの要素とそのトレーニング方法を紹介します。

成果を出せないチームの共通点~声を上げられない空気

多くの企業では、プロジェクトのスピードと成果が強く求められます。ところが現場では、納期のプレッシャーや仕様変更の連続のなかで、メンバー同士の信頼関係が崩れ、チームがぎくしゃくしてしまうケースが少なくありません。

特に根強いのが「上意下達の文化」です。上司の意見が絶対となり、立場の弱い若手や派遣社員が意見を言い出せない。その結果、トラブルの芽が早期に共有されず、手戻りや品質低下、メンバーの離職につながることもあります。

その背景には、「相互リスペクト(敬意)」の欠如があります。

たとえば、「冗談のつもりで言った一言」が相手を深く傷つけていたり、「励ましのつもりの叱責」が威圧と受け取られていたりすることがあります。つまり、お互いを尊重しながら成果を出すための行動指針を共有する必要があるのです。

成功するプロジェクトに共通する「3つのチームビルディング要素」

それでは、どのようにすれば「声を上げやすく、成果を出せるチーム」をつくることができるのでしょうか。多くの成功事例から見えてくる3つの要素とそのトレーニング方法を説明します。

1.共通のビジョンを持つ

プロジェクトが難航すると、メンバーの意識は「自分のタスクを終えること」に集中しがちです。しかし、全員が同じ目的地を共有していなければ、最終的なアウトプットに一体感が生まれません。リーダーが「このプロジェクトで何を実現したいのか」を言葉で示し、メンバーがその意味を理解し腹落ちしていることが重要です。

<トレーニング方法>

  • ビジョン共有ワークショップ:初回ミーティングで「このプロジェクトのゴール」「成功とは何か」を全員で言語化します。ポストイットに一人ずつ意見を書き出し、模造紙上で統合・再定義することで、共通認識を形成します。
  • ストーリーテリング演習:リーダーが「このプロジェクトが実現すれば、誰がどんな価値を得るのか」を物語として語る練習を行い、メンバーの共感を引き出します。

2.心理的安全性を育む関係づくり

心理的安全性とは、「このチームでは自分の意見を言っても大丈夫だ」と思える感覚のことです。小さな提案や懸念を言える環境があることで、ミスやトラブルを早期に発見できます。一方、否定的な発言や無視が繰り返されると、メンバーは次第に沈黙を選ぶようになります。リーダーが率先して「ありがとう」「助かった」といった承認の言葉を発することが、最も効果的な一歩です。

<トレーニング方法>

  • 承認トレーニング:2人1組で「相手の行動の良い点を具体的にフィードバックする」練習を行います。「資料を丁寧に作ってくれて助かった」など、感謝を具体的に言葉にする練習を繰り返すことで、承認文化を日常に定着させます。
  • ロールプレイ:否定しない聴き方 「意見を途中で遮らない」「一度受け止めてから質問する」など、対話の聴き方を体得します。録画・振り返りにより、自分の反応の癖を客観的に確認します。

3.相互フィードバックの文化を根づかせる

優れたチームは、「問題が起きたときだけ指摘する」のではなく、日常的に意見を交わしています。メンバー同士が「良かった点」や「改善のヒント」を言い合える環境を整えることで、対立が成長に変わるのです。そのためには、リーダー自身が「完璧ではない自分を見せる」姿勢が欠かせません。失敗談を共有し、学びを分かち合うことで、チームの風通しは格段に良くなります。

<トレーニング方法>

  • 360度フィードバック演習:上司・同僚・部下の3方向から簡易アンケートを実施し、強みと改善点を共有します。お互いの成長テーマを見える化し、対話を通じて次の行動に落とし込みます。
  • 失敗共有ミーティング:「失敗から学んだこと」を持ち寄る定例会を設けます。リーダーが率先して自身の失敗談を共有することで、「挑戦しても大丈夫」という安心感を醸成します。

チームビルディング導入事例

S社(情報通信系、プロジェクトチーム22名)のケース

ある中堅情報通信企業は、複数の並行プロジェクトで度重なる仕様変更と短納期対応を余儀なくされ、エンジニアの退職・モチベーション低下・品質クレームの増加に直面していました。組織は「上意下達」の文化が根強く、若手の声や現場からのリスク報告が抑制される状態でした。

そこでチームビルディング研修と研修後のフォローアップを実施しました。90分のチームビルディング研修(全メンバー参加)+ファシリテーターによるキックオフ設計支援、研修後1か月・3か月に短いフォローアップ(チェックイン・ルール見直し)を行いました。

「指示を受けるだけだった会議で、疑問をその場で言えるようになった」「上司が『それはどうしてだと思う?』と問いかけるようになり、議論が建設的になった」会議での能動的発言が増加し、納期遅延率も大きく改善しました。プロジェクト内での明文化されたグランドルール(発言を遮らない、疑問は共有する、感謝を伝える)が即効性を持ったこと、そしてリーダーが研修で学んだ「承認の言葉」を日常的に使い始めたことが大きく影響しています。

研修そのものは90分と短時間ですが、プロジェクトのキックオフに合わせた実施と、フォローアップを組み合わせた点が定着を促しました。

チームビルディング研修~お互いをリスペクトし、プロジェクトを成功に導く(90分)

全プロジェクトメンバーが、役職や雇用形態など問わずあらゆる立場の方に敬意を持って接するための受講者参加型研修です。

相互尊重と成果向上を両輪で実現するためには、ハラスメントなどのNG行動を学ぶだけではなく、「では、当プロジェクトではどうするか?」を模索することで、望ましいコミュニケーションの共通認識を持つことが重要です。

本研修のゴール

  1. コンプライアンスを背景から理解し、相互尊重の意義を前向きに捉えられる
  2. 自身の言動を「ハラスメントかどうか」ではなく「人を傷つけないか」の視点で内省できる
  3. 自ら行動指針を示し承認しあうことで、自分事として心理的安全性の向上に取り組める

よくあるお悩み・ニーズ

  • コンプライアンス意識が希薄で、古い価値観や組織・業界の慣習が優先されがち
  • 上意下達が染みついており、立場の弱いメンバーが声を上げられない
  • 一人ひとりが力を最大限発揮し、成果に結びつけられるチームをつくりたい

>講師派遣型研修の詳細はこちら

セットでおすすめの研修・サービス

レゴ®シリアスプレイ®を使ったチームビルディング研修(半日間)

本研修では、多様な価値観、働き方を認め合い、共存し、協力し合っていく職場を作るために、お互いの考えに深く耳を傾け、自分と異なる価値観を持っている人とも協力し、意見を出し合って頂きます。

また、組織を牽引するのは、実務に精通している自身であることを自覚し、襟元を正して、明日からの業務に取り組んでいただきます。

>講師派遣型研修の詳細はこちら

部下とのコミュニケーション実践研修~心理的安全性の高い職場を作る

本研修では、部下とのコミュニケーションの仕方を工夫することで、どのように心理的安全性を高めていくのか習得します。

言いたいことを伝えるためのアサーティブコミュニケーション、本音で話せる環境を作るための1対1面談の活用方法を実際によくあるケースをもとに実践的に学びます。

研修の最後には、自分のチームの心理的安全性を高めるための具体的な方法を検討します。

>公開講座の詳細はこちら

ビジネスゲーム研修~ドミノ電鉄(半日間)

鉄道事業者に扮し、都市開発を想定したビジネスゲーム「ドミノ電鉄」を行うことで、仕事の進め方とチームワークについて、学んでいただく研修です。

ビジネスゲーム「ドミノ電鉄」では、まず、各チームで与えられた設計書をもとに、制限時間内で都市開発を行います。

次に、クラス全体で協力してひとつの線路と建物を建築し、学園都市を作ります。その中で、チームで共通の目標を持つことの大切さや、目標を達成するうえでのチームワークの重要性を実感的に学ぶことができます。

研修の最後には、ゲームでの「気づき」をもとに、明日からの行動目標を作成し、明日からの業務に活かしていただきます。

>講師派遣型研修の詳細はこちら

関連記事

関連研修シリーズ