なぜ大事に育てた若手が辞めるのか~今すぐ見直すべき「仕事の負荷」の考え方

近年、若手社員の離職理由は「不満」よりも「不安」へと変化しています。
仕事のやりがいやキャリアの展望を見いだせず、将来への不安を抱く若手ほど早期に離職してしまうのです。
若手が成長実感を持てる環境を、どのようにつくり出すのか。若手育成を担当される皆さまの職場で、明日から取り入れられる具体策をご紹介します。
若手には「不安型」の離職が増えている
従来、離職理由としてよく挙げられていたのは「待遇への不満」や「職場環境への不満」でした。しかし現在、特に若手層では、表面的な不満よりも、将来への漠然とした不安を背景とした「不安型離職」が増えています。その不安の正体は、以下のようなものです。
- 自分は成長しているのかが分からない
- 今の環境でこのまま続けて、どのようなキャリアを歩めるのかが見えない
- 同世代の中で、自分だけ取り残されるのではないかと感じる
こうした不安を放置すると、本人の迷いや落ち込みが増し、早期離職につながってしまいます。逆にいえば、「自分は成長している」と実感できれば、戦力として育っていきます。
成長した若手ほど辞めるのは、ゆるすぎる職場に原因がある
意外に思われるかもしれませんが、今、若手が離れやすいのは必ずしも仕事が厳しい職場ばかりではありません。むしろ「ゆるい」と言われる職場ほど、成長した若手から辞めていく傾向があります。これは、成長実感を得にくい環境に原因があります。
- 仕事が単純で、深く考える機会が少ない
- 任される範囲が狭く、挑戦する機会がない
- 周囲からのフィードバックや刺激が少ない
いくら上司や先輩が優しくても、若手にとって成長実感がないことはストレスになります。結果、不安を抱えたまま将来を思い描けず、「ここにいてよいのか」と悩んで離職を選んでしまうのです。
若手の成長を支えるのは「質的な負荷」と「関係負荷の低減」
成長を感じるためには、ある程度の負荷がかかる仕事をこなし、やり遂げなければなりません。現代の若手は、こなす仕事の量ではなく、質的な負荷を重視します。質的な負荷の高い仕事とは、若手の目線からいえば、考える余地がある仕事、自分の判断・工夫が求められる仕事のことでです。
質的な負荷が高い仕事の例
- ゴールは決まっているが、やり方は任される
- 意見出しや改善提案が求められる
- 小さなプロジェクトを任せ、主体的に進める必要がある
一方で、理不尽な指示、叱責、過度な上下関係など、人間関係の面で負荷がかかると、どんなに質が高い仕事でも若手のモチベーションは下がってしまいます。したがって、現代の若手の成長実感を高めるには、「質的な負荷を上げる」「人間関係面での負荷は下げる」ことが必要なのです。
「ヨコの関係」で質的負荷を高める~若手チームの結成
基本的には、仕事の質が上がると関わり合う人が増え、人間関係面での負荷も上がる傾向にあります。その中で、人間関係面での負荷を抑えながら仕事の質的な負荷を上げる方法のひとつが、若手チームの結成です。若手同士で支え合う「ヨコの関係」をつくり、自分たちで考え、成果を出す経験は、以下のようなメリットがあります。
- 若手チームで先任者への配慮をなくし、心理的安全性を確保
- いきなり答えを教えず、若手どうしで結果を出す方法を編み出させる
関係負荷を下げるために「ヨコの関係」重視するという視点では、新人・若手に限らず、「同時期に入社した中途採用者によるチーム」といった形も有効です。
明日からできる若手育成の具体策
若手チームの結成にまで至らなくても、明日から職場で取り組める施策をいくつかご紹介します。これらは大きな制度変更を伴わずとも、現場レベルで実施できる取り組みです。
1.タスクに「考える余地」を残す
手順をすべて教えるのではなく、判断が必要な部分をあえて若手に任せます。
例:調査の方法や資料の構成案を自分で考えてもらう。
2.小さなプロジェクトリーダーを任せる
チーム内の改善テーマなど、リスクの少ないプロジェクトを任せることで、主体的に動く力が養われます。
3.フィードバックはこまめに丁寧に
理不尽さを感じさせないよう、事実ベースで良い点・改善点を伝え、若手がストレスを抱えない環境を整えます。
4.若手同士の学習会やチーム制の導入
業務改善案の発表、相互フィードバック会など、ヨコのつながりを強化する仕組みをつくります。
若手の離職防止は「成長実感」を中心に置く
職場に不満がないはずなのに辞めてしまうタイプの離職の本質は、「自分は成長できている」と感じることができていないことにあります。適切な負荷のある仕事を与え、仲間と支え合うヨコの関係を整えることで安心して挑戦できる環境ができれば、若手も長く活躍し続けることができます。
現代の若手の育て方研修~ヨコの関係強化で成長実感を高める
現代の若手を育てる手法や仕組みづくりについて学びたい方におすすめのプログラムです。
職場環境や価値観の変化などの背景をおさえ、現代の若手が抱えるキャリア不安ついて解説します。また、心理的安全性を確保したチーム作りや主体性を引き出す指導など、現代の職場で若手の成長環境を作る手法について、演習を通じて学びます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 今どきの若手はなかなか育たないと感じている
- ハラスメントへの配慮もあり厳しく指導できない
- 若手のモチベーションダウン・離職を防ぎたい
本研修の目標
- 現代の若手が抱えるキャリア不安について理解する
- ヨコの関係を強化したチーム作りのポイントを把握する
- 若手が成果を出せる仕組みの作り方について理解する
セットでおすすめの研修・サービス
チームメンバー育成研修~教え合いで自律的に学び続ける
プロジェクト型の仕事が増えつつある現代は、世代や階層の異なるメンバーとチームを組んで働く機会が少なくありません。本研修では、特定の指導者をつけずにメンバー間で行う育成の手法や、教え合いのコツを学びます。
異なる経歴を持つメンバーが属するチームにおける、教える・教わる関係が固定されない仕組み作りや、自律的に学び続けられるようにサポートする方法を考えます。
Z世代の育て方研修~新しい価値観に向き合う人材育成のあり方
上司の背中を見て育つ時代はとっくに終わり、今は一人ひとりの個性に向き合って育てる時代になりました。これまで関わりのなかった管理職層にとって、Z世代の若手は未知の存在かもしれません。
Z世代と言われる今の若手が育ってきた時代背景を振り返り、若手の価値観を知ることで、彼らとどのように関わっていくべきかを考え、個性に向き合う育成のポイントと指導者の在り方をつかみます。
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