優秀な「プレイヤー」から脱却するために~指示を待つ側から仕事をつくる側へ、視座を高める3つのポイント

- 指示をした業務はしっかり遂行できているが、受け身で仕事をしているように見える
- 今後はチームや部署を率いる役割を担ってほしいが、今の本人の能力やマインドではそこには届かないと感じている
- 「プレイヤーとしての能力は申し分ないが、今後、仕事をつくれる人材になってほしい」とフィードバックをしたが、何をすべきかわかっていないようだ
こうした悩みや不安は、特に入社数年が経ち業務に精通してきたプレイヤーの方やリーダー候補の方を育成する、上司の方や人事担当の方などに多いのではないでしょうか。本コラムは、日々の仕事は上手くこなせている部下を、さらに一段ステップアップさせたいという思いをかなえるヒントを提供します。
「仕事を上手くこなせる」ことと「仕事をつくり出せる」ことは異なる
指示された業務を確実に遂行できる。期待される成果を出せる。これらは重要なスキルですが、組織の中核としてチームやプロジェクトを率いるリーダーに求められる役割はそれだけではありません。組織の中核を担う人材とは、自ら仕事を定義し、周囲を巻き込みながら成果を生み出せる人です。「仕事を上手くこなせる作業者」ではなく、「仕事をつくり出せる主導者」へ。この転換こそが、リーダーも務められるビジネスパーソンへの成長に求められる最も重要な要素です。
では、「作業者」から「主導者」への転換には、何が必要なのでしょうか。日常業務の積み重ねや、資格取得・専門技術といったハードスキルの習得を思い浮かべる方も多いでしょうが、それだけではありません。最も大切なのは、視座の向上という、目には見えない大きなマインドチェンジです。
「仕事をつくる側」になれるか否かの分水嶺は視座の高さにあり~「鳥の目」があるから、なすべき仕事を定義できる
視座とは、物事を捉える際の立場です。視座が高ければ高いほど捉えられる範囲は広がります。そして、ポジションが上がるにつれて求められる視座は高くなります。「仕事を上手くこなす」ことに終始する人と、「仕事をつくり出す」人との間では、視座は大きく異なります。
| 「仕事を上手くこなす」ことに終始する人 | 「仕事をつくり出せる」人 | |
|---|---|---|
| 視座の「使い分け」 | いつも同じ視座にしか立てない | 現場にフォーカスした「虫の目」と、広い範囲を捉える「鳥の目」を使い分ける |
| 仕事の捉え方「仕事とは」 | 指示されたタスクを、高い品質や生産性で完遂すること | 組織の状況を踏まえて、なすべきことを考え、それを実行すること |
| 成長の捉え方「成長とは」 | 指示されたタスクを高い基準で完遂できる技術や知識を身につけること | 状況を適切に見極めて、なすべきことを適切に定義し、周囲も巻き込みながら実行できるようになること |
視座の高さは、年齢や経験年数だけで決まるものではありません。「自分よりも上のポジションの人、例えばリーダーや部課長、社長が見たら、どう思うのだろう」と考え抜く経験を積ませることで、視座は高まっていきます。また、視座が高まることで、仕事ぶりや発信する意見が認められ、責任ある業務や役割を任せられる機会が増えるでしょう。そこで積んだ経験により、さらに視座が向上する、という好循環も生じます。
視座を高める3つのポイント~己を知り、他者を知り、仕事の勘所を知る
「自分よりも上のポジションの人と同じ目線で考える」ためには、何が必要なのでしょうか。ここでは、必要な要素を「己を知る」「他者を知る」「仕事の勘所を知る」の3つにまとめ、それぞれについて深掘りをしていきます。
1.己を知る~自分の立ち位置と期待を認識したうえで、殻を破る
ビジネスパーソンが本当に求められる期待は、「顧客に充分な価値を提供する」ことと、「組織が求める基準以上に成果を創出する」ことです。これはビジネスの基本ですが、経験が少ないうちは、見失いがちなことでもあります。
ありがちなのは、「お客さまに喜んでもらえるようにと、高品質の成果物を生み出すためには全力で頑張るが、コスト削減や売上拡大の意識に乏しく、数字が上がらない」といったパターンです。これは、自分にかけられている期待と、自身の立ち位置を、正しく認識できていないことに起因します。必要なのは、期待を上回ることです。そのためには、自分の現状を、自分にかけられている期待と照らし合わせながら把握しなければなりません。部下に、次のような問いを投げかけてみてください。
- 「あなたのお客さまは、あなたが提供する商品・サービスを通じて、どのような状態を求めているのでしょうか。あなたが提供する商品・サービスは、お客さまが本当に求めている状態を、実現できるでしょうか」
- 「私たちの組織の、一人当たり営業利益はいくらでしょうか。あなたが寄与している金額は、それに達しているでしょうか」
このような問いにすぐに答えられる方は、自身の立ち位置を認識できているといえるでしょう。現状とあるべき姿との間にあるギャップにも気づくことができるので、そのギャップを埋めるための行動を取り、その結果、自分の殻を破って成長していくことができます。
2.他者を知る~ステークホルダーとの関係を、広げて深める
視座を高めるためには、様々な人と関わり、考え方や知識を吸収することも大切です。アイザック・ニュートンが述べたとされる「巨人の肩の上に乗る」という表現のとおり、他者の考え方や知見に学ぶことで新たに見えてくるものはたくさんあります。部下が、様々なステークホルダー(ここでは、自分の業務の遂行に関わるすべての人とします)と、広く深い関係を築けるような働きかけを心がけましょう。
自分の仕事に関わっている人々を洗い出してみると、予想以上に多様なステークホルダーが浮かび上がってくるのではないでしょうか。直接の上司や同僚だけでなく、他部署の担当者、協力会社、お客さまの現場担当者。業種や職種によっては、直接の顧客の先にいるエンドユーザーもステークホルダーと捉えられるかもしれません。
ビジネスにおける人間関係の全体を見渡し、「いまの自分の視座を上げるためには、どのような方と関係を築くことが必要だろうか」と考えさせる機会を設けてみてください。そうすることで「どの巨人の肩に、どのように乗るか」を明確に描いてもらうことができます。
3.仕事の勘所を知る~キャリアに通底する「テーマ」を持つ
視座を高めるためには、仕事そのものに主体的に、意欲を持って取り組むことが不可欠です。自分のキャリアを通じて解決したい、一貫した「テーマ」を見つけることは、高い意欲を持って、自分にしか見つけられない独自の切り口で仕事を推進することにつながります。
部下にテーマを見つけてもらうためには、次のような問いかけが有効です。
- 「あなたが、これまでの仕事を通して、何度か心に引っかかってきた疑問はありませんか」
- 「社会に対して、『こうなったらいいのに』『こうしてみると、もっとよくなるのではないか』と感じる部分はありませんか」
この問いかけに対して心に浮かんだことこそが、これからのキャリアを通して追求していくテーマの種になります。ビジネスを続ける中で洗練されていくでしょうし、ひっくり返されてしまうこともあるかもしれません。それでも、まずは仮のテーマを持って走り出すことを後押ししてみてください。
視座を上げて主体性を発揮する研修~仕事をつくり出すビジネスパーソンになる
本コラムで挙げた「視座を高めるための3つのポイント」は、いずれも日ごろの業務の中で、独力で実践するには高いハードルがあります。
本研修では、3つのポイントに関する講義やワークを通じて、受講者が受け身の姿勢から脱却し、さまざまなステークホルダーと対等な関係で仕事を進めていくための意識変革を促す研修です。
よくあるお悩み・ニーズ
- 忙しくて、ただ作業的に仕事をこなしてしまっている
- 上司やお客さまなどの視点で仕事を捉えられるようになってほしい
- 自分の意思をしっかりと持ち、主体的に仕事を回せるようになってほしい
本研修のゴール
- 今の自分にふさわしい視座の高さを把握する
- 仕事の質を高めるために、突き詰めるべきことがわかる
- 仕事の価値と成果を自分の言葉で語り、チームを牽引できるようになる
セットでおすすめの研修・サービス
4SHIP研修~視座を高め、組織的に活躍する4方向の意識と行動
仕事をつくれるような高い視座に向けては、4SHIP(オーナーシップ、リーダーシップ、フォロワーシップ、コ・オペレーションシップ)の体現が求められます。
本研修では、次の「リーダー」としての役割期待を見据えて(エースプレイヤーに加えリーダー的な役割期待に応えるため)、視座を高くし、自分の枠を超えて、組織的に活躍するための4SHIPを習得します。
(若手向け)仕事の進め方研修~周囲を巻き込みプロジェクトを推進する
仕事をつくれるようになるには、自分で業務を的確に進められるスキルとマインドが前提になります。
本研修では、若手の方向けにそれまでの自己完結型の仕事の仕方から、他者を巻き込んで業務やプロジェクトを進めていく方法を学習します。
次期管理職向け研修~プレイヤーとの違いを理解し、その日に向けて準備する
一般職から管理職へ昇格する際にも、求められる視座はグッと高まります。
本研修では、管理職に求められる役割をあらためて理解し、達成すべき組織目標を活動計画に落とし込むワークなどを通して求められる心構えとスキルを学びます。





