リーダーの原点地図~岩崎四代と三綱領から読み解く成長の道
三菱の創業者として岩崎弥太郎は有名ですが、それに続く二代目弥之助、三代目久弥、四代目小弥太とあわせた創業の四代が、巨艦、三菱を作り上げたと言われます。
そこには、単なる経営技術ではなく「三綱領の精神」と呼ばれる揺るぎない価値観がありました。母・美和の家訓を受け継ぎながら、日本経済に大きな影響を与えた岩崎弥太郎・弥之助・久弥・小弥太のリーダーシップをたどり、現代に活かせる視点をご紹介します。

岩崎家信条が育んだリーダー像
岩崎四代を貫く価値観の源には、母・美和の教えとして伝えられた「岩崎家信条」がありました。誠実・倹約・勤勉といった基本姿勢は、四代を通じて事業経営の拠り所となり、後に三綱領の精神へと結実しました。リーダーにとって、組織の成長を支えるのは先端の戦略だけではなく、日々の判断を方向づける信条であることを教えてくれます。
豪胆に、逆境に負けない戦意を持つ~岩崎弥太郎
初代・弥太郎は、創業期の三菱を築き上げた豪胆なリーダーでした。時代は不安定で、海運業は常に競合やリスクに直面していました。しかし弥太郎は、国家的なインフラとしての海運の重要性を見抜き、大胆に投資と挑戦を続けました。
現代のリーダーが学ぶべきは、困難に屈しない姿勢と、未来に必要な事業を見抜き、果敢に推進する決断力です。
理念に基づき発想を転換する~岩崎弥之助
二代目・弥之助は、兄の豪快さとは対照的に、冷静さと堅実さで組織を整えました。特に鉱山経営や銀行事業などを推進し、財務基盤を強化したことで、三菱は安定した成長を実現します。
彼が示したのは「理念を基盤に据えつつ、状況に応じて発想を転換する柔軟性」です。リーダーが理念と現実を両立させることは、組織の持続性を高めるうえで不可欠です。
時勢を読み、俯瞰的視野で推進する~岩崎久弥
三代目・久弥は、社会との共存を強く意識したリーダーでした。教育や研究への寄付を通じて、社会に還元しながら事業を拡大したのです。また、国際情勢の変化を冷静に見極め、俯瞰的な視野で三菱をさらに成長させました。
今日の企業経営でも、社会課題に向き合いながら、広い視点で戦略を描くことが重要です。
理想を持ち、実現させる~岩崎小弥太
四代目・小弥太は、海外留学で培った国際感覚をもとに、科学技術や文化の発展を支援しました。彼のリーダーシップの特徴は、理想を掲げ、それを実現に結びつける推進力です。
現代においても、リーダーが大きな理想を語り、具体的に形にしていく姿勢は、組織を牽引する強い力になります。
三綱領の精神とは
三菱の三綱領(さんこうりょう)は、企業理念である「所期奉公(しょきほうこう)」「処事光明(しょじこうめい)」「立業貿易(りつぎょうぼうえき)」の3つです。これは1920年に三菱四代目社長の岩崎小彌太が示した訓諭に由来し、事業を通じて社会に貢献すること、フェアプレーを徹底すること、そしてグローバルな視点を持つことを表しています。
三綱領のそれぞれの意味
- 所期奉公:
事業の目的は、社会貢献と物心両面の豊かな社会の実現にあるという考え方です。 - 処事光明:
取引や事業活動において、公明正大で透明性があり、品格ある行動を徹底する姿勢です。 - 立業貿易:
世界的な視野で事業を展開し、グローバルな視点でビジネスを推進する姿勢を指します。
三綱領の現代における意義
三菱は今も三綱領の精神を大切にしながら、時代や社会の変化に対応して事業を進化させています。この三綱領の精神は、社会と共に持続的な成長を目指す、という企業理念であり、現代のSDGsやESG経営といったものに繋がるリーダーの精神です。
【偉人に学ぶ】求められるリーダーの素質~岩崎四代のエピソードから考える
三菱四代の数々のエピソードを紹介するとともに、基本理念や信条を軸にしながら、時代や会社の成長とともにリーダーシップのスタイルを変えていく生き方などを紹介します。
波瀾に満ちた激動の時代に、巨艦三菱の礎を築いた三菱四代のリーダーシップを学びます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 変化の大きい今の時代を乗り越えるための姿勢を学びたい
- リーダーとしての心構えやふるまい、着眼点を学びたい
本研修の目標
- エピソードから岩崎四代の考えを知る
- エピソードから自身に取り入れたい考え方、行動を考える
- 改めて事業理念に沿って、これまでの振り返りと今後を考える
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幕末期から昭和初期という激動の時代を生き抜いた渋沢栄一の生き様から、働くうえで大切にしたいことを学んでいただきます。
渋沢栄一は、全体の利益を考え正しいことを普段から実践することを大切にしており、その考え方は100年経った今でも勉強になるものばかりです。渋沢栄一の言葉を借りれば、「知恵が運命を作る」ものです。
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