不登校の子どもをもつ社員への両立支援とは?
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文部科学省の調査によると、小・中学校における不登校児童生徒数は353,970人となり、過去最多を更新しました。
不登校の子どもをもつ社員にとって、仕事と育児の両立は、日々の勤務調整だけでは解決しきれない複雑な課題です。突発的な対応、日中の見守り、学校や支援機関との連絡、本人の疲弊・メンタル不調など、勤務への影響は多方面に及びます。
文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
(最終アクセス:2026/8/19)
人事担当者への調査から見えた相談対応の課題と、就業継続を支える4つのポイント
企業の人事部門にとっても、このテーマは決して例外的な相談ではありません。インソース総合研究所が実施した「不登校の子どもの保護者における仕事と育児の両立支援の実態調査」では、過去12カ月間に、不登校の子どもを養育する社員から仕事と育児の両立について相談を受けたことのある人事担当者が、全回答者の約半数にのぼることが確認されました。
本調査では、不登校の子どもをもつ社員への支援について、人事部門における相談状況、相談者の特徴、勤務への影響、働き方の調整、外部支援(ソーシャルワーカーなど)との連携、相談対応上の課題などを多面的に整理しました。
本調査報告が、次のような点を検討する際のヒントとなれば幸いです。
「自社の相談体制は、社員が安心して相談できる状態になっているのか」
「個別対応を現場任せにしていないか」
「働き方の調整や外部支援との連携方法を整えられているか」
不登校の子どもをもつ社員への両立支援を取り巻く多角的な課題
本調査では、不登校の子どもをもつ社員への両立支援をめぐり、企業の人事部門が直面している課題が複数の角度から浮き彫りになりました。
- 人事に相談は届いているのか
過去12カ月間に相談を受けたことのある人事担当者は約半数でした。一方で、相談を受けていない企業も約半数あり、実際には支援ニーズが存在していても、人事に把握されていない可能性があります。 - どのような社員から相談が寄せられているのか
相談者は正社員や専門職、事務・管理部門で多い傾向がみられます。一方、非正規雇用やシフト職・現場職からの相談は相対的に少なく、勤務形態の違いが相談のしやすさや両立の難しさに影響している可能性があります。 - 勤務や就業継続には、どのような影響が出ているのか
相談者の離職傾向は約5%にとどまる一方、短時間勤務や役割変更など、働き方を変更しながら就業を継続するケースが多く、従来どおりの就業を継続しているケースは約2割にとどまっています。 - 相談対応は、組織として標準化されているのか
相談への初回対応や対応フローにはばらつきがみられ、相談対応が組織として標準化されているケースは限定的です。現場では、業務面への影響だけでなく、個別配慮と人事評価の整合性、プライバシーへの懸念なども生じています。 - 外部支援につながる仕組みは整っているのか
外部支援に毎回つながっている割合は2割弱にとどまり、外部支援との連携が必ずしも継続的・安定的に行われているとはいえない状況がみられます。 - 人事に必要なノウハウは足りているのか
相談対応に関するノウハウ不足を感じていない人事担当者は1割未満にとどまっています。必要なツールとしては、働き方調整のパターン集、ケース記録方法、外部支援への接続ノウハウなど、実務的・専門的な支援ツールへのニーズが示されています。
調査データから見えた、不登校の子どもをもつ社員への両立支援を進める4つのポイント
ポイント1.相談が「届く」体制づくりが、支援の出発点になる
不登校の子どもをもつ社員への支援では、まず本人が安心して相談できる体制を整えることが重要です。調査では、過去12カ月間に相談を受けた人事担当者が約半数いる一方、相談を受けていない人事担当者も約半数いました。相談を受けていない理由には、「本人が人事に相談しにくい」「わからない」といった回答もみられ、支援ニーズがあっても人事に届いていない可能性があります。
相談窓口を設けるだけでなく、相談してよいテーマであることを周知し、上司などから人事につなぐ流れを明確にすることが求められます。あわせて、相談内容の取り扱いや情報共有の範囲を丁寧に説明することも、安心して相談できる環境づくりにつながります。
ポイント2.働き方の調整は「制度の有無」ではなく「使いやすさ」で見直す
不登校の子どもをもつ社員には、突発的な対応や日中の見守り、学校・支援機関との連絡、本人の疲弊などにより、勤務時間や勤務場所を柔軟に調整する必要が生じやすくなります。調査でも、フレックス制度や在宅勤務は比較的利用しやすい一方、特別休暇や配置転換・職務変更は利用しづらい傾向がみられました。
制度があるだけでは十分ではありません。社員の状況に応じて、どの制度を、どのタイミングで、どのように組み合わせて利用できるかを整理しておくことが重要です。人事部門には、本人と現場の双方にとって持続可能な働き方を検討する視点が求められます。
ポイント3.個別対応を現場任せにせず、相談対応の標準化を進める
不登校の子どもをもつ社員への対応は個別性が高い一方、担当者の経験や判断に依存しすぎると、支援のばらつきや現場の負担につながります。調査では、初回対応や対応フローにばらつきがみられ、組織として標準化されているケースは限定的でした。また、個別配慮と人事評価の整合性、情報共有、プライバシーへの懸念なども課題として挙げられています。
そのため、初回相談で確認すべき事項、本人の同意の取り方、関係部署との情報共有の範囲、働き方調整の検討手順、ケース記録の方法などをあらかじめ整理しておくことが重要です。個別事情に応じた柔軟な対応と、組織としての基本方針の両立が求められます。
ポイント4.外部支援につながる手段を、早期から設計する
不登校の子どもをもつ社員への支援は、企業内の対応だけで完結しない場合があります。調査では、外部支援に毎回つながっている割合は2割弱にとどまり、会社としての案内も条件付きや担当者の裁量に委ねられているケースが多くみられました。
また、外部支援につながらない要因には、本人が希望しない、時間が取れないといった相談者側の事情もあります。企業側が支援先を把握するだけでなく、早期の段階で選択肢を提示し、本人が支援を受け入れやすいタイミングや関わり方を設計することが重要です。
不登校の子どもの保護者における仕事と育児の両立支援の実態調査
不登校の子どもをもつ社員への両立支援の課題を、調査データから読み解く
本調査では、不登校の子どもの保護者における仕事と育児の両立支援の実態や、企業の人事部門における課題などを把握することを目的として、企業の人事部門に所属する会社員および経営者・役員を対象に調査を実施しました。調査では、過去12カ月間の人事への相談状況、相談者の特徴、勤務への影響と就業継続の状況、相談対応の状況、外部支援との連携、対応上の課題などを整理しています。自社における両立支援の課題をひもとくヒントとして、ぜひご活用ください。
また、インソース総合研究所では、貴社の人事課題に関する調査設計・実施もご支援しております。不登校の子どもをもつ社員への支援体制づくりや、両立支援の見直しにお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
セットでおすすめの研修・サービス
不登校問題から考える仕事と子育ての両立支援研修|東京学芸大学共催
子どもの不登校に伴う優秀な人材の流出は、今後の企業運営においても注目すべきテーマのひとつとなっています。
本研修では、東京学芸大学で教鞭をとり、複数の教育委員会においてスクールソーシャルワーカー・スーパーバイザーを務める講師を迎え、不登校の子を持つ従業員が置かれている状況や離職に至るメカニズムを体系的に学びます。
ソーシャルワークの視点からの講義で、人事担当・管理職として押さえておくべき子育て・不登校問題についての知識や、従業員が相談しやすい職場環境を整えるポイントへの理解を深めます。また、従業員へのヒアリングの仕方や働き方の調整といった実践的な手立てを、ケーススタディを通じて身につけます。




