株式会社インソース総合研究所

不登校離職による推計経済損失額は4,972億円

文部科学省の調査によると、小・中学校における不登校児童生徒数は353,970人となり、過去最多を更新しました※。不登校は、子ども本人だけでなく、保護者の就労にも影響を及ぼす可能性があります。

参考:https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf
文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」
(最終アクセス:2026/8/3)

不登校の子どもをもつ保護者の離職は、企業にとっても見過ごせない課題です

不登校の子どもをもつ保護者は、日中の見守り、学校や支援機関との連絡、急な対応などにより、仕事との両立が難しくなることがあります。こうした状況が長期化すると、働き方の調整だけでは対応しきれず、離職に至るケースもあります。

インソース総合研究所では、「不登校の子どもの保護者における仕事と育児の両立支援の実態調査」の結果データなどをもとに、不登校児童生徒の保護者が離職することによる経済損失額を概算しました。その結果民間雇用者ベースで年間4,972億円の経済損失が発生している可能性が示されました。

経済損失額は4,972億円。相談促進で1,701億円の縮小余地も

今回の試算では、不登校児童生徒の保護者が離職することによる経済損失額は、年間4,972億円と推計されました。これは、不登校の問題が家庭内の問題にとどまらず、企業や社会全体にも影響を及ぼし得ることを示しています。企業規模別にみると、大企業では1社あたり3,077.4万円、従業員一人あたり2.2万円、中小企業では1社あたり34.8万円、従業員一人あたり0.8万円の損失に相当することになります。

また、既存調査では、不登校児童生徒の保護者の離職率は中央値で15.2%でした。一方、インソース総合研究所の調査では、人事に相談があったケースにおける離職傾向の割合は4.8%にとどまりました。調査対象が異なるため単純に比較はできませんが、人事に相談しやすい環境があることは、就業継続を支えるうえで重要な要素のひとつと考えられます。

さらに、人事に相談していない人のうち半数が、新たに人事へ相談し、離職率が人事に相談したケースの水準まで低下すると仮定した参考シナリオでは、損失額が1,701億円低減する可能性が示されました。

まずは「相談できる職場」になっているかを見直すことから

企業においてまず重要なのは、不登校の子どもをもつ社員が、仕事との両立に悩んだときに安心して相談できる状態になっているかを確認することです。

たとえば、次のような点を見直すことが考えられます。

  • 不登校の子どもに関する悩みを、人事に相談してよいと社員が認識しているか
  • 管理職が相談を受けたときに、人事につなぐ流れがあるか
  • フレックス勤務や在宅勤務などの柔軟な働き方に関する制度を、実際に使いやすい形で運用できているか
  • 働き方の調整が、現場や担当者任せになっていないか
  • 離職につながる前に、社員の困りごとを把握できる仕組みがあるか

関連する実態調査では、過去12カ月間に不登校の子どもを養育する社員から、仕事と育児の両立について相談を受けたことのある人事担当者が約半数にのぼる一方、相談を受けていない人事担当者も約半数いることが確認されています。不登校を理由とした離職は、企業からは見えにくい課題です。今回の試算を、自社の相談体制や両立支援のあり方を見直すきっかけとしてご活用ください。

不登校児童生徒の保護者の離職による経済損失額は4,972億円と推計~人事への相談促進を想定した参考試算では、損失額1,701億円の縮小余地~

不登校離職による経済損失額を、試算データから読み解く

本レポートでは、インソース総合研究所が実施した「不登校の子どもの保護者における仕事と育児の両立支援の実態調査」の結果データなどをもとに、不登校児童生徒の保護者の離職による経済損失額を概算しています。

あわせて、人事への相談促進によって損失額がどの程度低減し得るかについても、参考シナリオとして試算しています。自社における人材流出リスクや両立支援の課題を考える材料として、ぜひご活用ください。

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