株式会社インソース総合研究所

シニア人材をどう活かすか?~調査データから見えた企業の課題と打ち手

少子高齢化が進行し、高年齢者雇用安定法により65歳までの雇用機会確保が求められる中、シニア人材の活用促進は企業の持続的成長と人材確保に向けた重要な経営課題となっています。

このような状況を踏まえ、インソース総合研究所では、シニア人材の活用状況の実態や促進に向けた課題の把握を目的とした調査を実施しました。

この調査では、シニア個人および人事担当者双方の視点から、シニア人材の活躍に向けた課題を確認し、今後の課題解決への示唆を明らかにしています。本調査報告は、単なる市場動向の確認にとどまらず、「シニア人材の意欲低下や処遇への納得感に、なぜ課題が生じているのか」「次にどのような手を打つべきか」を見極めるための、実務に役立つヒントとしてご活用いただけます。

シニア人材活用でよくある企業の課題

  1. 役職定年・定年後再雇用を導入しているが、本人のモチベーション維持に悩んでいる
    シニア個人・人事担当者の双方で、ロールモデル不足やモチベーション維持の難しさが課題として挙がることは多くあります。役割や立場が変化する時期に、どのように前向きな活躍につなげるかが重要です。
  2. シニアに期待する役割や評価基準を明確に示せていない
    役職定年や再雇用により、業務内容・責任・報酬・評価のあり方が変化する中で、本人が「何を期待されているのか」「どのように評価されるのか」を理解できないと、納得感や意欲の低下につながりやすくなります。制度上の雇用継続だけでなく、役割や処遇への納得感を高めることが、継続的な活躍につながります。
  3. シニア向けのリスキリングや学び直しをどう進めるべきか悩んでいる
    新スキル習得においては、シニア個人・人事担当者の双方が「必要スキルの明示」を重要な解決策として挙げています。研修を実施するだけでなく、職種や役割に応じて何を学ぶべきかを示すことが重要です。
  4. 上司や周囲の従業員との関係づくりに課題を感じている
    シニア人材活用では、本人だけでなく、年下上司や周囲の従業員との相互理解も重要です。世代間の価値観の違いや、役割転換への戸惑いを前提に、職場全体でコミュニケーションを整える必要があります。
  5. シニア人材活用を「雇用継続」にとどめず、組織の力に変えたい
    雇用継続の制度を整えるだけでは、シニア人材の活躍促進には十分ではありません。経験・知見の継承、専門職ポストの創出、後進育成や知識継承を担う役割の設計など、組織貢献につなげる仕組みづくりが求められます。

調査データからわかった5つのポイント

  1. 【マインド面】ロールモデル不足やモチベーション維持が大きな課題となっている
    シニア個人・人事担当者の双方で、「ロールモデル(同年代成功事例)の不足」が最上位の課題となっています。また、シニア個人では「モチベーション維持の困難」も上位に挙がっており、今後の働き方を前向きに描きにくいことが、マインド面の重要な課題として読み取れます。ポジションカテゴリ別に見ると、特に役職定年や定年を控えた層で、モチベーション低下やマインド面の不安定化が表れやすい傾向も見られます。
  2. 【知識・スキル・経験の活用面】シニア個人は仕組み不足、人事担当者は把握不足を上位課題としている
    シニア個人は「スキル棚卸しの仕組み不足」や「継承の仕組み不足」を上位課題として挙げています。一方で、人事担当者側では「シニアの悩みを把握できていない」ことが最上位の課題となっており、本人が感じている課題と、人事側が重視する課題には違いが見られます。
  3. 【新スキル習得面】双方で、必要スキルの明確化が重要な課題として示されている
    シニア個人・人事担当者の双方で、必要なスキルが明確になっていないことが重要な課題として示されています。学び直しやリスキリングを進める以前に、どの役割にどのようなスキルが求められるのかが見えにくいことが、新スキル習得を阻む要因として読み取れます。
  4. 【コミュニケーション・人間関係】本人のマインドチェンジと、周囲との関係づくりに認識差が見られる
    シニア本人のマインドチェンジの難しさが課題として挙がっています。一方で、人事担当者側では、シニア本人だけでなく、年下上司や周囲の従業員との関係づくりも課題として捉えられています。本人側と人事側で、コミュニケーション課題の捉え方に違いが見られる点が特徴です。
  5. 【IT・業務インフラへの適応】新しいツールや業務環境への適応に課題が見られる
    シニア人材が新しいツールや業務環境の変化にどのように対応していくかが課題として示されています。IT活用そのものだけでなく、業務の進め方や情報共有の方法が変化する中で、シニア人材が円滑に業務へ適応できるかが重要な論点として読み取れます。

シニア人材活用を進めるための4つのポイント

ポイント1 期待役割の明示が、意欲維持の出発点になる

シニア人材が前向きに活躍し続けるためには、「これから自分はどのように貢献できるのか」を具体的にイメージできることが重要です。そのため、まずは評価を見える化し、期待役割を明示することが有効です。そのうえで中長期的には、組織貢献、社内コンサルなども評価対象に含めた「シニア向け人事評価基準の策定(多元的評価制度の導入など)」を進めることで、シニア人材の納得感と活躍を支えやすくなります。

ポイント2 必要スキルの明示が、新スキル習得とIT適応を後押しする

シニア人材の新スキル習得を進めるには、研修機会を増やす前に、まず「何を学ぶべきか」を明確にすることが重要です。必要なスキルが曖昧なままでは、本人が学び直しの方向性を描きにくく、学習意欲の低下や支援制度への不満にもつながりやすくなります。そのため、人事主導で、職種や役割ごとに必要なスキルを整理し、専門スキル、技術スキル、ヒューマンスキルなどを文書化・明確化することが求められます。

ポイント3 本人だけでなく周囲を含めた関係づくりが必要になる

シニア人材活用を進めるうえでは、本人のマインドチェンジだけでなく、年下上司や周囲の従業員との関係づくりも重要です。シニア本人だけに意識変革を求める形では、施策が十分に受け入れられない可能性があります。そのため、シニアだけのマインドチェンジ研修ではなく、ダイバーシティ研修を、周囲も含めた相互理解の機会として設計することが理想です。シニアの知見を活かしながら、職場全体で好循環な関係をつくることが、コミュニケーション面の課題解決につながります。

ポイント4 役職定年・定年前後の役割設計と支援が必要

シニア人材の課題は、年齢だけで一律に捉えるのではなく、役職定年や定年、再雇用といったポジションの変化に応じて考える必要があります。特に、役職定年や定年を控えた時期は、今後の働き方や組織内での位置づけを再確認する重要なタイミングです。人事主導で定年後の新たな役割や期待される貢献を早い段階から明確に示すことが必要です。キャリア研修、面談、スキル整理、配置検討などを体系的に進めることで、シニア人材の継続的な活躍を支えることができます。

シニア人材活用の第一歩は、課題を正しく把握すること

シニア人材活用を進めるうえで、本当に重要なことは、「シニア人材活用の制度があるか」ではなく、「なぜ活躍につながっていないのかを把握できているか」です。

  • ロールモデル・成功事例の不足
  • シニア個人の悩みや強みの把握不足
  • 期待される役割や評価基準の不明確さ
  • スキル棚卸し・知識継承の仕組み不足
  • 必要スキルや学び直しの方向性の不明確さ
  • 年下上司や周囲の従業員とのコミュニケーション上のギャップ
  • 役職定年・定年前後など、ポジション変化への支援不足

など、これらの課題を整理しないままでは、シニア人材が生かしきれないままになってしまいます。本調査報告は、そうした状態から一歩進み、シニア人材の経験・知見を組織の力に変え、継続的な活躍、知識・経験の継承、後進育成へつなげるための見直しのきっかけに、ご活用いただければと思います。

出典:インソース総合研究所(最終アクセス:2026/7/30)
『シニア人材の活用促進に関する調査報告 <シニア個人(アンケート)編>』
『シニア人材の活用促進に関する調査報告<人事担当者(アンケート)編>』
『シニア人材の活用促進に関する調査報告<シニア個人と人事担当者のギャップ分析編>』

インソース総合研究所 調査・研究報告

インソース総合研究所では、組織戦略・人事戦略などの幅広い課題から、選択したテーマについて、調査・研究を通して、課題の解決に向けた提言を行っております。

このたびは、シニア人材の活用状況の実態や促進に向けた課題を把握することを目的とした調査を実施しました。この調査では、シニア個人および人事担当者双方の視点から、シニア人材の活躍に向けた課題を確認し、今後の課題解決への示唆を明らかにしています。

シニア人材の活用促進に関する調査報告 <シニア個人(アンケート)編>

シニア個人の働く意識と課題を、調査データから読み解く
企業で働くシニア個人の雇用・就労の実態を把握し、モチベーション、知識・スキル・経験の活用、新スキル習得、コミュニケーション、IT・業務インフラへの適応など、シニア個人が抱える具体的な課題を明らかにし、その解決策の示唆をまとめています。自社におけるシニア社員の意識や課題をひもとくヒントとしてご活用ください。

>シニア個人(アンケート)編の詳細はこちら

シニア人材の活用促進に関する調査報告<人事担当者(アンケート)編>

企業から見たシニア人材活用の課題を調査データから読み解く
企業の人事担当者の視点から、シニア人材に関する雇用制度、人事・賃金制度、評価制度、教育研修、投資意向などの実態を把握し、企業側がシニア人材活用を進めるうえで直面している課題を明らかにし、その解決策の示唆をまとめています。自社の制度設計や人材活用施策を見直すヒントとしてご活用ください。

>人事担当者(アンケート)編の詳細はこちら

シニア人材の活用促進に関する調査報告<シニア個人と人事担当者のギャップ分析編>

シニア個人と人事の認識ギャップを、調査データから読み解く
シニア個人と人事担当者の双方に対する調査結果を比較し、マインド面、知識・スキル・経験の活用面、新スキル習得面、コミュニケーション・人間関係、IT・業務インフラへの適応面における認識ギャップを明らかにし、その解決策の示唆をまとめています。シニア人材活用が進まない要因を、本人側・企業側の両面からひもとくヒントとしてご活用ください。

>シニア個人と人事担当者のギャップ分析編の詳細はこちら

>インソース総合研究所 調査・研究報告はこちら

セットでおすすめの研修・サービス

マインド面

50代向けキャリアデザイン研修~キャリアシフトに向けた意識変革と計画策定

キャリアシフトを見据え、シニア世代に求められるマインドチェンジや、PCスキルをはじめとする実務能力のリスキリングを踏まえて、今後の準備計画を立てる研修です。定年や役割変化を迎える前の段階から、自身の強みや必要なスキルを見直し、次のキャリアに向けた行動を具体化します。

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ベテランのマインドチェンジ研修~期待される存在であり続けるために

50代以降のベテラン社員が、これからのキャリアを前向きに捉え直すことを支援する研修です。役職定年や定年後再雇用を見据えながら、経験や知見を活かした働き方、後進育成・知識伝承を含めた組織貢献のあり方を学びます。ベテラン人材が期待される存在であり続けるための入口としてご活用いただけます。

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知識・スキル・経験の活用

マスターズ(ベテラン世代向け)研修~好奇心をもって仕事人としての「芸」を磨く

ベテラン社員が、経験や知見を活かしながら、いきいきと働き続けることを支援する研修です。仕事への向き合い方や自律の仕方、モチベーション・ストレスのコントロールを学び、好奇心を持って創造性を発揮するための考え方を整理します。ベテラン人材の活躍を促す入口としてご活用いただけます。

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ベテラン向け仕事の進め方研修~社内コンサルタントとして活躍する

ベテラン社員が、これまで培ってきた経験や知見を活かし、社内コンサルタントとして組織に貢献するための研修です。問題分析、改善提案、資料作成、生成AI活用、若手との協働などを学び、役職定年後も自らの強みを活かして活躍するための考え方とスキルを整理します。ベテラン人材の知識・スキル・経験を組織の力につなげる研修としてご活用いただけます。

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新スキル習得、IT・業務インフラ適応

ChatGPTのはじめ方研修~触って学び、明日の業務を効率化する

ChatGPTをはじめて使う方が、基本的な操作と業務での活用方法を学ぶ研修です。情報収集やメール文作成、アイデア出しなどを実践しながら、対話型AIから有益な回答を引き出すコツを身につけます。生成AI活用の入口としてご活用いただけます。

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AIエージェント基礎研修~自分専用の生成AIで業務を自動化する

Microsoft Copilotのエージェント機能を活用し、自分や自部署の業務に合わせたAIエージェントの作成方法を学ぶ研修です。文章添削、社内マニュアル参照、アンケート分析などの事例を通じて、生成AIを日常業務に組み込むための考え方と操作方法を身につけます。シニア人材の新スキル習得やIT適応を支援する研修としてご活用いただけます。

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管理職向けコミュニケーション研修~シニア人材と良好な関係を築く編

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役職定年者の心構え研修~信頼される「部下」になる

役職定年を迎えた方に求められる仕事への向き合い方や、職場で信頼されるふるまいを考える研修です。再び部下の立場で活躍するためのフォロワーシップや、職場の先輩として周囲と気持ちよく働くための姿勢を学びます。役割の変化に伴う戸惑いを乗り越え、組織の中で前向きに力を発揮するための支援として活用できます。

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エイジダイバーシティ推進研修~年齢・世代を問わず活躍できる組織作り

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