DX推進の停滞を防ぐ4つのカギ~「プロジェクトの型」「批判的思考」「問題解決」「文化改革」
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DX(デジタルトランスフォーメーション)推進は、単に最新技術やシステムを導入するだけで完了するものではありません。現場では、「タスクが思うように進まず、スケジュールがずれてしまう」「複雑な問題が発生したが、どこから手を付けていいか分からない」といった課題に直面することも少なくありません。
DXの本質は、組織全体の業務の進め方や思考の在り方を変革することにあります。本記事では、DX推進を計画的に進めるために欠かせない1.プロジェクト管理の型/2.クリティカルシンキング/3.問題解決の思考プロセス/4.柔軟な思考(アンラーニング)という4つの観点から、すぐに取り組める実践法をご紹介します。
1.プロジェクトを計画通りに進めるために「型」を整える
DX推進プロジェクトは、多部署にまたがる利害関係者が関わるため、通常業務以上に管理が複雑になりやすいものです。技術的な難易度よりも、実は「進め方」が定まっていないことが停滞の要因になっているケースが多くあります。
まずは、以下の4ステップで進め方の共通認識をつくりましょう。
ステップ① 目的・ゴールを明確にし、ルールを設定する
- 「何を実現したいのか」「成功の定義は何か」をチーム全体で合意する
- 意思決定のルールや責任分担、情報共有の方法・頻度も明確にする
- 序盤の合意形成が、進行のスピードと精度を左右する
ステップ② タスクを洗い出し、現実的な計画を立てる
- 目的達成に必要な作業を洗い出し、タスク化・スケジュール化する
- 「誰が・いつまでに・どの粒度で」実施するかを明確にする
- 優先度や依存関係を整理してリスクに備える
ステップ③ 実施状況を可視化し、進捗管理を徹底する
- 進捗を見える化し、全体像を常に把握する
- 定期的な進捗会議やタスク管理ツールで進捗を管理する
- 遅れているタスクや支援が必要な箇所を早期に把握する
ステップ④ 成果を振り返り、知見を次に活かす
- 成果・課題・成功/失敗要因を整理し、振り返りを実施する
- 経験をナレッジ化し、次回以降の精度・スピードを高める
- 組織に学習サイクルを根づかせる
2.複雑な状況を整理し、本質を見極める「クリティカルシンキング」
DX推進の現場では、予期せぬトラブルや想定外の課題がつきものです。そうした状況で求められるのが、思い込みにとらわれずに物事を多面的・構造的に捉え、本質的な課題を見極める力――クリティカルシンキングです。クリティカルシンキングは、単なる「論理的思考」ではありません。
事実を中立に吟味し、前提や思い込みをいったん脇に置いたうえで、批判 → 分析 → 再構築という思考のプロセスをたどることで、より妥当性の高い判断や解決策にたどり着くことを目指します。
クリティカルシンキングの3ステップ
- 「批判」~疑ってみる
事実・解釈・推測を切り分け、見落としている点や反例がないかを確認する - 「分析」~視点を変える
問題を要素ごとに分解(Who/When/Where/What/How)し、比較・因果・仮説検証などで多角的に考える - 「再構築」~結論を組み直す
複数の仮説や代替案を比較し、副作用や実行条件まで含めて結論を練り直し、次のアクションと評価指標を定義する
3.論理的に構想し、解決策を導く「問題解決の思考プロセス」
DX推進のための課題を見極めた後は、論理的な思考プロセスに沿って解決策を構想する力が求められます。
場当たり的に思いついた施策ではなく、根拠に基づいて検証・選択することで、再現性とスピードの高い成果につながります。技術的側面だけでなく「現場が受け入れやすいか」「長期的に運用できるか」という点を評価することも重要です。
問題解決の4ステップ
- 課題設定:解決すべき目標や到達状態を明確にする
- 要因分析:真因を特定し、影響度や実現可能性を整理する
- 施策立案・選定:複数案を出し、効果・コスト・実行可能性を評価して決定する
- 実行と効果検証:小さく試し、結果を測定しながら改善を繰り返す
4.変化に適応する組織をつくる「アンラーニング(学びほぐし)」
DX推進は、単なる業務効率化ではなく、組織全体の価値観や行動様式そのものをアップデートする取り組みです。そのためには、新しい知識やスキルを積み重ねるだけでなく、これまでの常識や成功体験をいったん手放し、必要な学びに入れ替えていく「アンラーニング(学びほぐし)」が欠かせません。
アンラーニングとは、過去の知識や経験を「すべて捨てる」のではなく、今の環境に必要なものとそうでないものを選び直し、自分や組織を再構築していく思考プロセスです。変化の激しい環境では、これまでの正解が通用しなくなる場面も多いため、経験豊富な人ほど意識的に取り組む必要があります。
ステップ① 「内省」~硬直化した自分の思考を振り返る
- 自分の判断や行動に影響を与えている固定観念や成功体験を棚卸しする
- その考え方が現在の環境でも有効かを点検する
ステップ② 「選別」~本質だけをクリティカルに見極める
- 今の環境に適している知識や手法だけを選び直す
- 事実と解釈を切り分け、前提や習慣を必要・不要で仕分けする
ステップ③ 「行動」~敢えて違うやり方を自分に強制する
- 違和感のあるやり方や新しい手法を小さく試して結果を検証する
- 学び直した知識や新しい手法を日常業務に取り入れ、定着させる
DX推進は「型・思考・文化」を同時に整えることが成功の鍵
DX推進を成功に導くためには、最新技術の導入にとどまらず、「型」「思考」「文化」の3つをそろえて整えることが重要です。
- 型(進め方):成果を振り返って次に活かすためのフレームワークやルールを整える
- 思考(考え方):複雑な状況を整理し本質的な課題を見極めるべく考える
- 文化(風土):適切な「型」や「思考」を柔軟に取り入れる風土を育む
「型」「思考」「文化」が揃うことで、DXは単なる技術導入にとどまらず、持続的な成長を支える「組織の力」へと発展していきます。DX推進を担うのは、経営層や専門部署だけではありません。日常業務を担う現場の一人ひとりが、足並みをそろえて取り組むことで、改善の文化が浸透し、DX推進は加速します。
こうした足並みをそろえる取り組みを支えるのが、動画研修です。基礎から実践までを繰り返し学ぶことで、誰もが同じ認識を持ち、組織全体でのDX推進を確かなものにできます。すべてを一度に整える必要はありません。小さな取り組みでも、「型」「思考」「文化」を意識することで、確かな変化が生まれます。身近な一歩から、DX推進を始めてみてはいかがでしょうか。
身近なDX推進パッケージ~プロジェクトの進め方と課題解決編
本パッケージは、DX推進に必要な実践的スキルを学べる動画が4つセットになっています。業務プロジェクトの進行管理や課題解決能力、クリティカルシンキング、アンラーニングなどのスキルを習得し、変化に適応しやすい組織づくりを促進します。
これにより、DXプロジェクトを円滑かつ効率的に進めることを目指します。
セット内容
本動画のゴール
- DX推進プロジェクトを効率的に進めるため、計画策定や実施管理の方法を理解し、実践できるようになる
- 課題に直面した際に迅速に対応できるよう、問題発見から解決策の実行までのプロセスを学ぶ
- 複雑な問題を分析し、効果的な解決策を見出すための思考法を習得する
- アンラーニングを通じて柔軟な思考を促し、組織全体が変化に迅速に適応できるようになる
よくあるお悩み・ニーズ
- DX推進を目指してプロジェクトを進めるものの、タスクの進捗管理やスケジュール調整に課題を感じ、計画通りに進められない
- 複雑な問題に対し、根本的な解決策を迅速に見つけ、解決するスキルを求めている
- 複雑な問題を多角的に分析して解決策を見つけるための思考法を習得したい
- 組織全体のDXへの適応力を高めたい
セットでおすすめの研修・サービス
身近なDX推進パッケージ~基礎知識と活用ツールの理解編
本パッケージは、誰もが身近な部分からDX推進に貢献することができる動画が4つセットになっています。DXの基礎知識や、データ整理・Excelの基本操作・情報活用スキルなど、業務改善に役立つ実践的なスキルを段階的に学べる構成となっています。
本記事でご紹介している身近なDX推進パッケージ~プロジェクトの進め方と課題解決編に取り組む前に、まずは本パッケージで基礎を学び、土台を固めておくことをおすすめします。
プロマネ養成シリーズ
プロマネ養成シリーズは、プロジェクトを組んで遂行する上で欠かせないプロジェクトマネジメント力を身につけるシリーズです。顧客向けのサービス提供はもちろん、自社の新製品やシステム開発、さらには社内イベントの企画や業務改善活動なども含め、あらゆる組織横断的な活動に必要なスキルをまとめて学ぶことが可能です。





