株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

マネージャーが仕掛けるべき「チームの勢い」の作り方|コミュニケーションの方法論4

同シリーズでは、インソース社長である私の「コミュニケーションの目的=情報の流通量を最大化すること」という考え方に基づく実践を紹介しています。今回のテーマは、報連相と指示です。

職場コミュニケーションの基本は報連相+指示

職場の日常のコミュニケーションは、報連相+指示で成り立っています。上司に報告、同僚や部下に連絡、課題があれば上司や周囲の人に相談、部下には定期的に指示を出す、が基本です。

①コミュニケーションが苦手なら、報連相+指示を書き出してみる

マネージャーとしてのコミュニケーションが苦手と考える人は、報連相や指示すべき事が明確になっていないのが原因ではないかと思います。そんな時は報連相や指示すべき事を書き出してみてください。書き出してみると、どんどん思いつくはずです。それさえ明確になれば、コミュニケーションのスタートラインに立てます。

②話しかけるのが億劫な人は朝礼、会議の活用を!

伝えるタイミングを作るのが苦手、話しかけるのが億劫な部下がいるマネージャーもいると思います。そんな人は臆せず、定期的なコミュニケーションの場として、朝礼、会議を設定するのです。そのような場であれば、機会を逃さず伝えることができます。

とはいえ、やはりメンバーと1対1の信頼関係を築くのが基本なので、がんばって面談を実施するのをオススメします。

仕事は「勢いで」劇的にはかどる

私は勢いに任せて、みんなで仕事を一気に片付けるのが好きです。メンバーが集まってわいわいやりつつ仕事をすれば、一人では不可能な仕事も劇的にはかどります。このことは、銀行でSEをやっていた時のトラブル対応経験からの気付きです。

当時振込に関する大きなトラブルが発生し、私も対応に駆り出され、20名ぐらいが同じ部屋に集められました。一人1万件の送金データの正誤を8時間でチェックせよという、しんどい作業でしたが、みんなで時々ぶつぶつ言いながら作業すると驚くことに、わずか6時間で終わりました。皆で集まって作業すると成果が出るものだと思ったものです。

そんな思いから、以下の様な事を、わいわいとコミュニケーションを取りながらやるのが好きです。

【勢いで行うといい仕事1】一人でやると「めげる仕事」~電話営業、清掃など

電話営業を月1回、全国の営業担当者が同時に実施する日を作っています。同時に実施すると「営業するぞ」と勢いが出て通常の2倍ぐらい架電できます。また、本社周辺の清掃作業を、部署が違うメンバー3名1チームで実施しています。清掃の順番は2ヶ月に1回程度しか回ってこないので負担感は少なく、意外と達成感があり、気持ちがいいものです。

【勢いで行うといい仕事2】クリエイティブな仕事~新作研修のアイデア出しなど

インソースでは年間400タイトルの新作研修を開発していますが、新作研修などのコンセプト出しなど、クリエイティブワークは部屋に集まって、みんなで顔を突き合わせてやっています。

多様な視点から、どんどんアイデアを出す中で「ひらめき」が生まれます。勢いがないとアイデアの量が出ません。

【勢いで行うといい仕事3】事務作業~知らないと「はかどらない仕事」

インソースの仕事は、お客さまの要望に対応し、ぴったりの研修を提供する非定型的な仕事で、こまごまとした調整が入ります。こういった調整は若手だと判断に迷う事が多いので、若手とできるベテランが同じ時間、同じ場所で一緒に仕事をすることでスピードアップしています。分からない事をすぐ質問できれば、仕事ははかどります。

勢いをプロデュースするのがマネージャー

「兵は詭道なり」で有名な『孫子』の中に、「勢」が勝敗を左右すると説く一節があります。「勢」とは、自然に勝利へと転がり落ちていくエネルギーのことを指します。たとえ個々の兵士の有能さが不足していても、一丸となって勢いに乗っていけば勝つことができるのです。

マネージャーとメンバーが一丸となり、勢いに乗れる様に仕向けていく様にコミュニケーションを取っていくのが大事だと思います。優秀なマネージャーでも、一人でできることは知れています。

チームの勢いで効率もやる気も上がる

部下との信頼関係を築き、チームの勢いを生むのはマネージャーの役割です。

報連相や指示を明確にし、朝礼や会議など定期的な場でコミュニケーションを仕掛けましょう。仕事は一人でやるより皆で進めたほうが効率もやる気も上がります。

管理職のための報連相研修~仕事におけるコミュニケーションのハブとなる

本コラムにあるとおり、管理職にとって「報連相」は重要なコミュニケーションスキルといえます。むしろ、若手よりも多方面のステークホルダーとやり取りをすることが増えてくるため、管理職自身の報連相次第で仕事の成果も大きく変わってきます。

管理職が直面する具体的なコミュニケーションシーンの中で、報連相の要点をお伝えする研修を紹介します。

よくあるニーズ・お悩み

  • 報連相が不十分な部下にどのように指導すればよいか知りたい
  • 様々な立場・階層の上司に報告する際のポイントを知りたい
  • 上下関係にない人たちと一緒に仕事をする際の報連相の在り方を知りたい

本研修のゴール

  • 管理職として部下やメンバーに対する報連相の重要性を理解する
  • 上司の立場や階層に応じたメリハリのある報連相ができるようになる
  • プロジェクトの中での報連相の在り方について理解する

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<本記事の筆者>
株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

1964年生まれ。神戸大学経営学部商学科卒業後、株式会社三和銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行し、システム開発や新商品開発を担当。店頭公開流通業で新規事業開発を担当後、教育・研修のコンサルティング会社である株式会社インソースを2002年に設立。2016年に東証マザーズ市場に上場、2017年には東証第一部市場(現プライム市場)に市場変更。

セットでおすすめの研修・サービス

リーダーのためのコミュニケーション実践シリーズ

ケーススタディをもとに受講者同士でディスカッションを行い、自身の対応力・判断力を深める形式の研修です。ケースは現場で直面しがちな複雑で悩ましい場面を想定した内容で、「組織展開・調整編」「トラブル解決編」「新規開発・価値創造編」の3テーマを選定しています。

コミュニケーション理論に基づいた知識習得ではなく、より現場のお悩みに即した形で、上手に周囲を巻き込みながら日々の課題に対処し、チーム・組織として成果を向上するためのヒントを得るような内容になっています。

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組織の拡大に対して組織力とチームワークを強化するプラン

組織のお悩みや課題に合わせて、最適な提案をするコア・ソリューションプランの一つです。

各階層に応じた役割認識や仕事を円滑に進めるスキルを習得する研修をそれぞれに実施します。コミュニケーション不足を解消し、チームワークを向上させるプランです。

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階層別テスト|ビジネスで必要な「知識」と「活用力」を測定するテスト

各階層に求められるスキルや能力をテストで問うことにより個々人のスキルレベルを数値で把握します。個人個人の「能力やスキル」だけではなく「特性(らしさ)」を見える化するのがポイントです。

多くの人材が活躍できるような人事戦略を遂行していくことが、長期的に組織が成長していくエネルギー(資産)になります。そのきっかけの一つとして、まずは階層別テストを試してみませんか。

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コミュニケーションの方法論シリーズ

  1. 本当にあった「朝礼の導入」で業績が伸びた話|コミュニケーションの方法論1
  2. 会議はムダ?答えはNO、やり方次第ではマネージャー最大の武器に|コミュニケーションの方法論2
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