株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

離職防止を実現する面談のコツ~不幸・失敗が9割の自己開示でスタート|コミュニケーションの方法論3

同シリーズでは、インソース社長である私の「コミュニケーションの目的=情報の流通量を最大化すること」という考え方に基づく実践を紹介しています。今回のテーマは、面談です。

面談で部下との信頼感を醸成する

面談はメンバーを主役に進めるコミュニケーションです。

人は命令するだけでは動きません。自分が人間として認められ、お互いの間に共感が生まれた時はじめて、マネージャーの言う事に従って動いてみようと考えてくれます。そこで重要なのが面談です。

①週に1回15分間、部下の話を聞く場を作れば、退職は防止できる

20年以上前、研修業をスタートして間もない頃のことです。コールセンター運営のお客様から『週に1回15分間、メンバーの話を聞く場を作れば、退職は防止できる』という話をお聞きました。

話題はメンバーが話したいものであれば何でもいいようで、マネージャーが定期的に話を聞いてあげる事が大事だそうです。面談でメンバーは自分が大切にされていると安心し、ここでずっと働こうと考えてくれるそうです。コールセンターは退職率の高い職場なのですが、こんな方法があったのかと驚きでした。

面談力研修~私の好きな研修

この話を参考に、面談力の研修を開発しました。一言で言えば「部下の話をがまんして聞く技術を学ぶ研修」です。退職防止、エンゲージメント向上だけでなく、コンプライアンス向上、不祥事防止、生産性向上など、驚くほど多様な課題に効果がある不思議な研修です。

受講者の皆さんから『話を聞いてもらうと、心が落ち着いた』『安心する』『話を聞いてあげるだけでこんなに喜ばれるとは思わなかった』などの感想を毎回いただきます。4時間程度のトレーニングで、面談のスキルは驚くほど向上します。私が開発した研修の中でも好きな研修です。

②面談で部下を知る~相手に興味を持ち一対一で話を聞く

スキル云々は別として、とにかく面談を実施してみましょう。相手に興味を持ち、こちらから口をはさまずに話を聞いてあげましょう。メンバーの経歴、興味、希望、抱えている課題などを話してくれるまで1回、2回、3回とじっくり一対一で話をききます。

そして、できる事があれば、小さな事でいいので支援してあげましょう。そういったメンバーへの親切の積み重ねがマネージャーへの信頼となります。

面談はマネージャーの自己開示からスタート

「面談のスタートはどうやればいいか」、これに悩む方は多いようです。私は、マネージャーが差しさわりない範囲で自己開示をしてスタートするのが良いと思います。失敗談、自分の抱えている小さな悩み、健康の課題、子供の頃の話などを「おおらかに」話します。自慢話に聞こえる様なものはダメです。

人は悩みや弱さといった事に共感します。「9割が不幸・失敗、1割が成功」ぐらいの割合で話すのが良いでしょう。そうすれば、メンバーは安心して話してくれます。

部下との信頼関係を育てる最も効果的な場

面談は、部下との信頼関係を育てる最も効果的な場です。重要なのは、相手の話を遮らず興味をもって聴くこと、そして小さな手助けを積み重ねることです。まずは毎週15分、部下のために時間を使ってみてください。

本コラム「コミュニケーションの方法論」シリーズでは続いて、「職場コミュニケーションの基本は報連相+指示」についてお伝えします。

部下コミュニケーション向上研修~1対1面談を通した部下育成支援

職場を構成するメンバーの年齢層や雇用形態が多様化したことにより、メンバー個人の事情や制約に合わせたマネジメント・指導が求められてきています。

そのようなマネジメント・指導を実現させるためには、定期的な1対1面談を通して、メンバー1人1人と時間をかけて話し合うことが重要です。本研修では、1対1面談の意義、進め方を理解した上で、面談で取り上げるべき内容(自部署の目標や方向性、部下の働き方、体調、人間関係の悩み)を習得します。

よくあるニーズ・お悩み

  • 1対1面談を導入することになったが、どのように面談を進めていけばよいかわからない
  • 面談を通して、部下・後輩の仕事に対する意欲を高めたい
  • 1対1面談を取り入れているものの、その効果が実感できない

本研修のゴール

  • 1対1面談の意義や進め方を習得することで、上司・部下双方にとって有意義な1対1面談を実施できるようになる
  • 1対1面談を進める時のポイントを理解する
  • 部下のやる気を引き出す対話のコツを習得し、実践できる
  • チームに一体感を出すために、ビジョン・方向性を自分の言葉で語れるようになる
  • 部下・後輩の体調や悩みも聞くことで、リスクの芽を事前に摘み取ることができる

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<本記事の筆者>
株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

1964年生まれ。神戸大学経営学部商学科卒業後、株式会社三和銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行し、システム開発や新商品開発を担当。店頭公開流通業で新規事業開発を担当後、教育・研修のコンサルティング会社である株式会社インソースを2002年に設立。2016年に東証マザーズ市場に上場、2017年には東証第一部市場(現プライム市場)に市場変更。

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