忘却曲線を味方にする！～学習効果を長続きさせる研修設計

研修や教育プログラムを実施した際、受講者が学んだ内容をどれだけ活かせているかは、教育担当者にとって大きな関心事です。

しかし、どれほど丁寧に研修を行っても、多くの内容は時間とともに忘れられてしまいます。この現象は心理学で「忘却曲線」と呼ばれるもので、学習内容の定着を考える上で重要な指標となります。

今回は、忘却曲線の仕組みについて述べた上で、受講者の記憶を効率的に定着させるための復習のポイントについて解説します。

忘却曲線とは

忘却曲線は、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスによって提唱された理論です。人は時間の経過とともに学習したことを忘れていく傾向がありますが、忘却曲線はその「どのくらいのスピードで忘れるか」を、再学習にかかる時間の節約率（どれだけ短時間で再び覚えられるか）として示したものです。つまり、直ぐに反復して学習することで、定着するだけでなく、思い出すのにかかる時間を節約できるという現象を表しています。

エビングハウスの忘却曲線

記憶の定着を高める復習のポイント

研修や講座で一度学んだ内容も、時間が経つと忘れられてしまうことは避けられません。しかし、忘却曲線の特性を理解することで、復習のタイミングや方法を工夫し、記憶の定着率を高めることが可能です。

適切なタイミングでの復習が重要

記憶の定着には、適切なタイミングでの復習を行うことが最も効果的です。忘却曲線に基づいた復習の目安は、次の通りです。

１日後に10分間ほど復習する
１週間後に５分間ほど復習する
１か月後に２～４分ほど復習する

間隔をあけた復習を複数回行うことで、長期記憶として定着しやすくなります。この「間隔をあけた反復」を意識することが、忘却曲線に基づく効果的な復習のポイントです。

復習内容はアウトプットを意識する

ただ内容を読むだけの復習では、定着効果が限定的です。記憶を定着させるには、学んだ内容を自分の言葉で説明する、問題を解く、短いまとめを作るなど、アウトプットを伴う復習が有効です。受講者が主体的に取り組める復習方法を提供することで、記憶はより確実に定着します。

日常業務に関連づける

学んだ内容を日常業務に関連づけて復習することも、記憶定着に有効です。研修で学んだスキルや知識を実務で活用する場面を設ける、具体的な業務課題に関連付けて振り返りを行うなど、実務と結びついた復習を設計することで、学習内容が単なる知識にとどまらず、実務に生かされる定着したスキルとして残ります。

ＬＭＳを活用した復習の仕組み化

研修の効果を最大化するためには、個人任せの復習ではなく、組織として仕組み化することが重要です。弊社、インソースのＬＭＳ「Leaf Lightning」には、復習を支援するさまざまな機能が備わっています。

課題・アンケート機能では、復習課題を設定でき、忘却曲線に基づいた復習のタイミングを指定することも可能です。また、研修動画は受講後も見放題のため、隙間時間で手軽に復習できます。特に１～５分程度の短い動画が多く、負担なく続けられます。さらに、コミュニケーションボード機能では、掲示板形式で受講者同士が意見を共有できます。ｅラーニング後に感想を投稿し合うことで、自分の言葉で説明する「アウトプット型復習」が自然に促されます。

研修で学んだ内容を定着させるには、忘却曲線を意識した復習設計と、それを支える仕組みの両立が不可欠です。「Leaf Lightning」を活用すれば、研修後の復習を効率化し、記憶の定着を組織全体で促すことが可能です。