「架電6回、メール150通」でお問い合わせをもらえる~売れるまでの4ステップ|営業活動・業績拡大の方法論1

売上アップは企業の経営者・マネージャーにとって常に課題です。昨今では、大学や自治体などの非営利団体からも営業研修の依頼が来るようになりました。その中で常々、営業活動はちょっと誤解されているなという想いがあります。「特別な方法がある」「ノウハウを持った人しかできない」「とても辛い仕事」どれも本質ではありません。私自身、営業はほぼ素人で起業しましたが、営業活動の本質に則って、少しの工夫と努力で創業23年間、コロナ禍の2020年の1年を除き、22年間、年率15%以上の成長を実現してきました。
そうは言っても、数千億円の売上・利益を作った訳ではないので、ちょっとおこがましいとは思いますが、私なりに、すべてのマネージャーに営業活動の基本として知ってもらいたい事を大きく以下の3点にまとめました。
- 営業活動の基本概念
- 認知度曲線を知る~営業の仕事は認知の獲得・維持
- 営業アプローチの「数」を増やせば勝てる
補足:自社開発の顧客管理CRMシステムPlants12について - 生成AI時代は自社Webに営業してもらう
- 現代の営業はメディアミックスアプローチ
- 営業マネージャーのマネジメント~釣り堀、えさ、腕、生産性
- 顧客リスト(釣り堀)の整備~営業マネージャー自らが汗をかいて整備・管理する
- 提案書(えさ)~一番優秀な人材が作成し共有する
- 営業スキル(腕)~優秀な営業担当者を育成する
- 営業生産性の向上~チームの行動管理
- 売上不振時の対処策~あらゆるマネージャーに知って欲しい6つの回復ステップ
- 全社的な総合対策を行う~すぐに行動する
- 「誰か」「何か」のせいにしてはいけない
補足:全社一丸営業の超カンタンな方法~セールスメールを送ってみる
今回は、「1.営業活動の基本概念」の前半、「1-1.認知度曲線」と「1-2.アプローチの数」についてご説明します。
1ー1.営業活動の基本概念:認知度曲線を知る~営業の仕事は認知の獲得・維持
倒産寸前から窮地を脱する中で認知度曲線の存在に気付いた
インソース創業1年目の2003年末、預金口座には数万円しかなく、倒産寸前に陥りました。できる事と言えば、テレアポ(電話営業)しかなく、100本架電して、やっと1社訪問できる様な厳しい状況でした。そんな状況でしたが、営業活動を続けるうちに3年目には売上1億円、4年目には2億円と徐々に売上が増えていき、なんとか窮地を脱する事ができました。
そんな中で新規顧客へのアプローチから売上が獲得できるまでに法則性の様なものがあることに気づきました。それが「認知度曲線」です(図は曲線になっていませんが)。認知度曲線には、最初のアプローチから売れるまでには4つのステップがあることが分かりました。

認知している顧客を増やす事が営業担当者の仕事~あせらずアプローチする
生命保険の業界には販売手数料収入が数億円という方がいます。その昔、いったいどうやってこんなにたくさん契約を取っているのかな?と不思議に思っていました。しかし、認知度曲線の存在に気付いてから、その謎が解けました。認知顧客が数百名いれば、毎日の様に保険を新規契約できます。認知を維持している見込顧客をだんだんと増やしていくことが営業担当者の仕事なのです。あせることなく、新規顧客へのアプローチ数を増やし、認知顧客を増やしていけば売上はアップするのです。
認知度曲線~アプローチからクロージングまでの4つのステップ
- 新規アプローチ開始
新規ターゲット企業の電話番号をWebなどから調べアプローチします。ガチャ切りされても邪険にされても、月に1度くらい定期的に架電して顧客の認知獲得を目指します。 - 認知
認知は勇気を持って定期的にアプローチを続けいけば必ずどこかのタイミングで獲得できます。嫌がられない程度に粘り強くアプローチを続けていけば、ターゲット企業の担当者を訪問して、名刺交換ができるようになります。そして「インソースは研修を売っている会社らしい」ということがお客様に認知されます。 - 認知の維持
認知されたらすぐ売れるわけはないので、お客様のニーズ発生までフォローします。顧客接点を絶対に切らさないのが重要です。「接触頻度×質」が信頼や受注確度に直結します。具体的には、最低限、月1回でも、メール・電話・訪問を組み合わせ「顧客があなたの存在を忘れない」状態を維持することです。これが簡単そうに見えてなかなかできません。関係は時間とともに自然消滅するので維持する意思と仕組みが必要です。 - クロージング
これは社会人教育業界や金融業界特有かもしれませんが、お客様に強いニーズが発生しない限り売れません。つまり、需要を掘り起こすのはかなり難しいと感じています。なので、お客様に強いニーズが発生した際に、必ずインソースの事を思い出していただける様に認知を維持する事が極めて重要です。ニーズが発生したタイミングでやっと売れるチャンスが到来します。顧客の要望にしっかり応えて、スピードと集中でクロージングします。
1ー2.営業活動の基本概念:営業アプローチの「数」を増やせば勝てる
営業はサイエンス~暗黙知の世界ではない
最近、営業職は学生に不人気な職種だそうです。売上を上げないと叱られるとか、ひどい目にあうという様な話が若い人の中で広まっているようです。営業職が敬遠されるのは、営業が「暗黙知」の世界であり、具体的な方法論がわかりにくい点にあると思います。
営業活動の暗黙知は、統計的に説明でき、誰にでも再現可能なスキルであると私は考えています。営業はサイエンスなのです。
私はエンジニア、商品開発担当、そして経営者といろんなキャリアを経て今がありますが、営業ほど面白い仕事はないと考えています。
営業活動の基本は「数」
①6回架電すれば会える(認知の獲得)
創業期、お電話して営業訪問のアポイントを取ろうとしても、なかなか訪問のアポイントが取れませんでした。実績もない怪しい会社からの電話なので当然かもしれませんが。諦めずに粘り強く、誠実な内容の架電を続けていると少しずつ訪問のアポイントが取れるようになりました。そこで何回架電すればいいのかを数えてみると、平均6回で訪問できることが分かりました。訪問数でなく、架電数をKPIにすることで新規営業が楽になりました。
②150通メールを送れば「お問合せ」がくる(ニーズ発生が分かる)
ただ、訪問できたとしても、お客様にニーズがないと買っていただけません。訪問後、メールで情報提供を続け、認知を維持し続けた結果、顧客の「買いたい」タイミングでお問い合わせをもらえる様になりました。こちらも数えてみた結果、平均150通送付後、期間としてはだいたい初回訪問から1年半後でした。また一つ、営業の法則性が分かりました。
売上決定の最大要因はアプローチ数~数える事が営業管理、営業は統計学
これらの法則性を知るのに役立ったのは、顧客情報を管理し、架電や訪問などのアプローチを記録し、セールスメールを自動で送付するために開発したシンプルなシステム(システム名Plants)でした。このシステムで架電やメール送付を数えた結果「架電6回、メール150通でお問い合わせをもらえる」という法則性でした。
補足:自社開発の顧客管理CRMシステムPlants12について
このシステムに興味のある方もいらっしゃると思うので、少し解説しておきます。当初はA4用紙1枚に1社の顧客カードを作り、手書きで情報管理をしていました。しかし煩雑になってきたので創業3年目にAccessでシステム化しました。開発期間は3週間でごくシンプルなものでした(その後20年間で累計20億円も投資してしまいました。)
営業システムは利用させる工夫が必要~楽なシステムを開発
実はPlantsを開発する前、他社のシステムを導入しましたが、入力項目が多く一部の営業担当者以外は交渉経緯を残してくれませんでした。選択式の入力項目が多い、一見簡単なシステムでしたが、営業活動で重要性の低い入力項目や入力に迷う選択肢が多く、担当者からは不評でした。そこで、入力項目を最低限の5項目とし、重要な内容は文字入力にしました。加えて、入力メリットがあるように、登録先にはメールやFAXで自動的に営業する機能を開発し、見込客を確保できる様にするなどし、利用を促進しました。(図Plants12の説明ご参照)



受注額を営業のKPIだけにすると途端に営業活動はつらくなる
売上や受注といった営業成果はお客様次第であり、コントロールが難しく、これらだけをKPIとすると営業活動は苦しいものになります。一方、架電数やメール送付数はコントロール可能なので、営業活動が気楽になりました。がんばれば確実に繋がる事が分かったからです。これは、当社以外でも少なくともBtoBの業界では応用できる話だと思います。
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<本記事の筆者>
株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)
1964年生まれ。神戸大学経営学部商学科卒業後、株式会社三和銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行し、システム開発や新商品開発を担当。店頭公開流通業で新規事業開発を担当後、教育・研修のコンサルティング会社である株式会社インソースを2002年に設立。2016年に東証マザーズ市場に上場、2017年には東証第一部市場(現プライム市場)に市場変更。
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