インソース 第四営業本部

難しいお客さまを乗り切る力を身につける~揺れない対応力でハードクレームを「チャンス」に変える

ホテル・旅館・ブランドショップなど、サービス業では日々さまざまなお客さまのご要望に向き合います。中には、強い感情を伴う苦情や、要求が複雑なケースもあります。

こうした「ハードクレーム」への適切な対応は、担当者自身を守りながら、企業への信頼を大きく高める機会にもなります。

ハードクレームの現場で「揺れない人」になるということ

ハードクレームで難しさを感じる場面は、相手の態度そのものよりも、自分の判断が揺らぐ瞬間にあります。「このまま続けていいのか」「どこまで応じるのが正しいのか」そんな迷いが生まれたとき、対応は一気に不安定になります。

こんなとき、必要なのが次の3つの要素、判断軸・適応力・交渉力です。

要素1.迷わないための「判断軸」

自分の組織では何を優先するのか、どこからが譲れないのか。その基準がはっきりしているだけで、対応の質は大きく変わります。「お客さま第一」のように広く知られた判断軸は、多くの組織で基本姿勢として共有されています。一方で、現場の負担や状況に応じて「私たちは何を守るのか」をより具体的に、たとえば、「スタッフも守る」という独自の価値基準定める企業も増えています。

こうした多様な判断軸を行動につなげるための小さなステップをまとめます。

  • 優先順位を言語化する:まず「何を最優先に守るか」を短い言葉で定め、共有する。
  • 迷った時の基準を1つだけ決める:「どちらがより影響が大きいか」「再発を防げるか」など、一貫した判断基準を設定。
  • 日常の小さな場面で練習する:軽微な問い合わせや決裁でも、毎回その軸を当てて考え、筋力をつける。
  • 判断理由を言語化するクセをつける:結果ではなく「どう考えたか」を振り返り、軸への適合度を確認する。

要素2.感情の波にのまれない「適応力」

ハードクレームでは、相手が「合理的な解決」を求めていないことがあります。強い感情が目的そのものになっているケースです。そんな場面では、相手を変えるより、自分の落ち着きを保ちながら状況に合わせる力が要になります。感情の高ぶりを静める方法、相手の「ねらい」を読む視点、そして、そろそろ対応方針を切り替えるべきかどうかの判断などです。

ホテルやブランド店舗のように、状況変化が激しい現場では、型通りの対応だけでは限界があります。適応力を養うためには、次のような準備が効果的です。

  • 周辺部署との連携ルートを普段から明確にしておく
  • 店舗・施設内の導線、設備、在庫の情報を常に把握しておく
  • トラブルが発生した際の「代替策リスト」を事前に整えておく

要素3.建設的な方向に導くための「交渉力」

ハードクレームへの対応は、ただ耐えるべきものではありません。適切な落としどころに向けて、こちらから組み立てていくべきものです。強い要求や感情に押される場面こそ、相手のペースに巻き込まれず、こちらが交渉の土台を整えることが大切です。何を軸に伝え、どこで線を引き、どう現実的な着地点へ導くか。実際の場面で迷わないための「組み立て方」を具体例で確認します。

相手の要求が広がり続けるとき → 論点を一つに戻す

クレームの例:
お客さまが「返金しろ」「上司を呼べ」「担当を替えろ」と要求を次々積み増す。そのまま受けると永遠に終わらない。

組み立て方の例:

  • 「まず、本日お困りの点を一つに絞らせてください」
  • 「返金をご希望という理解でよろしいでしょうか」
  • 「そのうえでご説明させていただきます」

→ 論点を「ひとつ」に固定し、落としどころを設定する。

感情が強すぎて話が進まないとき→段階を踏んで案内する

クレームの例:
怒りが強く、言葉も遮り、事実確認に入ることすらできない。

組み立て方の例:

  • 「いま、まずはお気持ちを受け止めます」
  • 「次に、状況を整理させてください」
  • 「そのうえで、可能な対応をご提案します」

→ 話の「順番」をこちらが決め、段階を踏むことで着地点までの道筋をつくる。

相手が「無理な要求」を譲らないとき→代替案で現実的な出口を示す

クレームの例:
「全額補償しろ」「担当を処罰しろ」など、対応できない要求を繰り返す。

組み立て方の例:

  • 「ご希望の○○はお約束できませんが、現実的にできるのはこの2つです」
  • 「交換か、割引での再購入。いずれかであれば、すぐに対応できます」
  • 「まずはできる方法から整理させてください」

→「できない」を伝えるだけでなく、選べる落としどころを用意し、相手が現実ラインに降りられる道を作る。

揺らぎにくい基準が複雑な対応を可能にする

ハードクレーム対応は、判断・適応・交渉の3つの要素が複雑に重なります。「なぜここで立ち止まったのか」「どんな基準があれば迷わずに済んだのか」そんな問いを重ねる時間こそが、現場で使える「揺らぎにくい基準」を形づくります。

言葉にして初めて自分の判断は鍛えられます。小さくても一つ、あなたご自身のケースを振り返ってみることも、実践の第一歩になります。

ハードクレーム対応研修~「判断力」「適応力」「交渉力」で困難な苦情に対処する

感情的なクレームや一般常識を超える無理・要望に対応するには、個人のスキルだけでなく組織としての明確な基準が欠かせません。本研修では、判断力・適応力・交渉力の3つのスキルを、実際に起こりうる困難クレームを想定したケーススタディで実践的に学びます。

対象者

  • クレーム対応の「上級編」を学びたい方、クレームの2次対応をされる上司の方

よくあるお悩み・ニーズ

  • 感情をぶつけてくるようなクレームを上手に解決できない
  • 解決策を決める際の判断軸があいまいなため、明確な姿勢で対応できない
  • 相手に納得してもらえる交渉方法を身につけたい

本研修の目標

  • 困難クレームが発生した際、とるべき対応・解決策を決めるための判断軸を理解する
  • お客さまの感情の高ぶりを鎮める方法や、通常対応から特別な対応に切り替える基準を習得する
  • 交渉を通じて、組織とお客さまの双方が合意できる、より良い着地点に収束できるようになる

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セットでおすすめの研修・サービス

クレーム対応研修~苦情対応の正しい手順を学ぶ

本研修では、クレーム1次対応に必要な心構えから、背景を聴いて怒りを鎮める手法、ご要望を的確に訊き寄り添った代替案を伝える流れまでを習得します。

多くのロールプレイングを行うことで、明日から使える実践力を高めます。

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カスタマーハラスメント防止研修~正しい知識を味方につける

本研修では、カスタマーハラスメントの基礎知識、現場での対応スキル、組織としての防衛策を学びます。

通常のクレームと異なる点とハラスメントの要素をあわせ持つカスタマーハラスメントを理解し、実際の現場でも自信をもって対処できる力を身につけます。

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インソースのアセスメントサービス CS(顧客満足度)店舗調査サービス

「プロ目線」または「お客さま目線」で現場の顧客満足度を調査し、スタッフの対応状況の的確な把握をお手伝いします。

業種別の具体的なチェック項目で「できている/できていない」を明確化し、競合店舗との比較も可能。結果に基づき、最適な研修もあわせて実施します。

>CS(顧客満足度)店舗調査サービスの詳細はこちら

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