研修とワークショップは何が違う?成果を最大化するための選び方と設計のコツは「ゴールを先に決める」

「人材育成のために学びの場を設けたい。でも、研修とワークショップのどちらを選べば効果的なのか分からない」
人事・教育担当者、部門長、形成、そして現場の推進役の方から、よく寄せられる悩みです。どちらも学びと成長を目的にしていますが、到達したいゴールと参加者の状態によって最適解は変わります。目的と設計思想を取り違えると、せっかくの投資が「知識は増えたけれど現場は変わらない」という残念な結末に陥りがちです。
本記事では、研修とワークショップの違いを、目的・進め方・成果の出し方の観点から整理し、現場で活用できる選び方と設計のコツを解説します。最後に、両者を組み合わせて学習効果を高める方法も取り上げます。
研修は「正しい手順を再現できる状態」をつくる学びの場
研修は、定義が明確な知識や手順を体系的に学び、確実に遂行してほしい行動を習得することを主眼としています。経験豊富で専門性の高い講師が担当することで、確実な理解と習得を積み上げていきます。100人の受講者に対して100人が同一のアウトプットを同一のプロセスで繰り返し出力することを目指しています。
典型例
- 新入社員のビジネスマナー研修
- セキュリティ教育
- 特定ツールの使い方研修
- 法務・コンプライアンスの基礎
事例
ある製造業企業では、品質管理の基本手法を研修で学びました。講義と演習を組み合わせ、現場で使える計算や記録の取り方をスモールステップによって短時間で確実に習得しました。研修後すぐに現場での的確な実行により不良検出率が改善し、「正しいやり方」を共通認識にできたことが成果につながりました。研修は、再現性の高い確実な知識理解・スキル習得に強いのです。
ワークショップは「新しい解決策を共に生み出す」協働型の場
一方でワークショップは、参加者主体で進みます。対話、観察、発想、試作、ふりかえりといったプロセスを通じて、複数の視点から課題を捉え直し、新しい解決策やアイデアを共に生み出すことが目的です。よって、100人の受講者が100通りのアウトプットを100通りのプロセスで生み出しながら、最終的な解答はチームやグループごとに最も納得感のあるものを主体的に選択し、決断することを目指します。
この受講者の主体性を最大限に引き出すことに講師であるプロフェッショナル・ファシリテーターの専門性があります。
典型例
- 新規事業構想
- 顧客体験の改善
- 業務プロセスの再設計
- チームの合意形成
事例
あるSaaS企業では、カスタマーサクセスの停滞に直面し、部門横断のワークショップを実施しました。マーケ・営業・CS・プロダクトが同じ顧客事例をもとにカスタマージャーニーを描き直し、摩擦点を特定。ファシリテーターからの問いかけに応じるプロセスの中で見えていなかった視点に気づき、ワークショップの場で「オンボーディング90日プラン」のプロトタイプを作りました。
その後、その成果を実運用でA/Bテストを実施。その結果、継続率が改善し、部門の壁を越えて顧客価値を再定義できたことが最大の成果となりました。
研修とワークショップの違い~目的・主体・アウトカムで捉える
研修は講師主体で実施し、知識理解やスキル習得を目的とします。理解を深めるとともに、実際の現場で発揮できる再現性を高める内容とします。一方、ワークショップは、アイデア創出や対話を通じた合意形成を目的とし、新しいアイデアの発掘や、協働関係を築くために実施します。
重要な違いは以下の通りです。
- 研修:既知の正解を確実に届ける
- ワークショップ:未知の正解を共に生み出し、決断する
既知の正解なら研修、新しい解を探すならワークショップを選ぶ
選択の基準はシンプルで、「ゴールを先に決める」です。
判断のための問い
- 目標は、既知の知識・手順の浸透か、それとも新しい解の発見か。
- 成果を測る指標は、理解度・再現度か、それとも新しいアイデア・協働関係か。
- 関係者間の合意形成が必要か。必要ならワークショップが不可欠。
例:カスタマーサポートの品質向上を目指す場合
- 対応基準を学ぶ:研修
- 実際のログを使い改善案を試作:ワークショップ
よくある落とし穴と失敗を避けるための具体ポイント
研修においては、「研修風ワークショップ」のような、意見だけ出させておいて正解を伝えず、モヤモヤだけを残す内容になってしまうことがあります
研修設計のコツ
- 研修内容が経営目標を見据えたゴール設定となっているか
- 実務現場に即した演習となっているか
- 研修後に現場で実践する機会がある内容を扱えているか
ワークショップでは、「ワークショップ風研修」のような意見を出させておいて尊重せず、結局正解を押し付けるということも見受けられます。
ワークショップ設計のコツ
- 研修内容が経営目標を見据えたゴール設定となっているか
- 参加者の専門性・多様性を考慮したグループワークとなっているか
- アウトプットの質を価値判断する基準はあるか
回避策として有効なのが、研修→ワークショップ→フォローアップの三段構えです。まず研修で基礎知識をしっかりとインプットし、その後ワークショップで実践的に活用することで、学びが現場に定着しやすくなります。さらにフォローアップを行うことで、行動の継続や改善につながります。実際に、IT企業において研修とワークショップを組み合わせた結果、提案通過率が向上した事例もあります。
目的にあわせて、研修とワークショップを使い分ける
研修とワークショップは、どちらが優れているかではなく、目的に対してどちらが適しているかで選ぶものです。両者の違いを「実施する目的」「ゴールの性質」「学びの進め方」などの観点で整理すると、判断はぐっとシンプルになります。
| 項目 | 研修 | ワークショップ |
|---|---|---|
| 実施する目的 | 知識や手順を正しく理解させ、現場で同じ行動をとれるようにする | 課題に向き合い、新しい解決策や次のアクションを参加者自身で見出す |
| ゴールの性質 | 正解があらかじめ定まっている | 正解を探しながら形にしていく |
| 講師・ファシリテーターの役割 | 正しい知識や方法を伝え、理解を導く | 対話と思考を促し、意思決定を支える |
| 学びの進め方 | 講義+演習によるインプットと反復 | 対話・観察・発想・試作・ふりかえり |
| 参加者に求められる姿勢 | 教わり、理解し、試してみる | 考え、話し合い、自ら決める |
まとめ
インソースグループでは、研修とワークショップの双方を提供しています。現在抱えている課題に対して、どちらの方法が適しているか迷われた際は、ぜひお気軽にご相談ください。
以下より、ワークショップと研修についてそれぞれ詳しくご覧いただけます。
ワークショップについて
ワークショップを人材育成に取り入れたい方には、インソースが展開する多様なプログラムが役立ちます。参加者の主体性を引き出す設計や、対話・観察・発想を組み合わせた進め方など、実務に直結する手法を幅広く提供しています。
テーマ設定も豊富で、キャリア形成、組織づくり、業務改善、新規アイデア創出など、目的に応じて選べる構成となっています。また、ファシリテーションの専門性を生かし、参加者同士の協働を促す場づくりにも強みがあります。
研修(オーダーメイド講師派遣)について
研修を自組織の課題に合わせて設計したい方には、オーダーメイド型の講師派遣研修が適しています。業界や職種、受講者の経験値に応じて内容を柔軟に調整でき、現場で求められるスキルや行動につながる学びを提供できます。
講義だけでなく、演習やディスカッションを組み合わせることで、理解と実践の両面を強化できる点も特長です。また、事前課題の分析やテキストの調整、研修後の振り返り支援など、学びを定着させるためのプロセスも整っています
セットでおすすめのサービス
キャリアをテーマとしたおすすめのワークショップと研修の一例をご紹介します。
キャリアビジョン探求ワークショップ~レゴ®ブロックを活用して理想の働き方を見つける
自分の価値観や理想の働き方をレゴ®ブロックで「見える化」することで、自己理解を深め、将来のキャリア観を明確にします。
さらに、自身の目標と組織のビジョンを結びつけることで、チームへの貢献意識とモチベーションを高め、組織力の強化と長期的な成長を目指します。
壁を乗り越えるワークショップ
社会人が抱える不安や悩み、漠然とした違和感を「壁」と定義し、本プログラムでは年齢や立場に応じた共通の課題だけでなく、一人ひとりに固有の「壁」が存在することを前提としています。
ワークを通じて個々の状況に向き合うとともに、ブロックやグラフなどを用いた感覚的な手法により、参加者自身も気づいていなかった課題を可視化できるよう設計されています。
主体的なキャリア形成研修(1日間)
本研修は、中堅層・リーダー層・管理職を対象に、自らキャリアを築くための考え方と行動を整理する研修です。今後求められるスキルや組織からの期待を整理し、主体的なキャリア形成を支援します。
自己理解を深めながら不足しているスキルや知識を明確にし、キャリアに対する不安を具体的な行動につなげます。
ワークライフ・インテグレーション研修(1日間)
ワークライフ・インテグレーションとは、仕事は人生の一部と捉え、その他のさまざまな要素を統合し充実度を高めるという考え方です。
研修ではまず、これまで身につけたスキルを棚卸し、自分や組織が大切にしている価値観を洗い出して共通点を探します。世代ごとに変わってくる生活・マネーについて解説した後で、今後30年のライフプランを具体的に考えます。
最後には、人生で重視したい要素と10年後までに実行することを明確にし、ワークライフ・インテグレーションの実現を目指します。








