人材ポートフォリオ分析から始める戦略的人材マネジメント

人材不足が深刻化する中、企業には限られた戦力で最大の成果を出すことが求められています。そのためには、人材育成を戦略的にとらえる「人材マネジメント」が重要です。
そこで、まず必要なのが「人材ポートフォリオ分析」です。これは、現状の組織の人材をポートフォリオとして可視化し、あるべき姿との差を明確にして、その差を埋めて行くという戦略的な考え方です。
戦略的な人材育成を実施するためには、人材育成の仕組み作り、人を動かす仕組み作りといった個別戦略が必要になってきます。メンバーをどう配置し教育するか、キャリアサポートはどうするか、また、メンバーのモチベーションはどうやって上げていくか、という「人材マネジメント」を進めていく必要があるのです。
現状の組織力を把握する人材ポートフォリオ分析
人材ポートフォリオ分析とは、企業が経営戦略を実現するために必要な人材の質(スキル・経験)と量(人数・配置)を「見える化」し、その構成を戦略的に管理する仕組みです。自社の人的資本の現状と理想(あるべき姿)を把握し、経営目標達成に向けて、採用・育成・配置などの人材マネジメント施策をデータに基づき最適化するために活用されます。
人材ポートフォリオを利用した分析の例
たとえば、ある組織の構成メンバーを「組織志向」/「個人志向」という軸と、「創造・変革」/「保守・実務」という軸の4つの象限で可視化してみると、下記の図のような人材バランスとなりました。

見えてきたこと
- 「実務者」タイプの人員が多く偏りがある
- 手堅い人材が多いが、新しいことを生み出せる、部署を変えられる「専門職」「変革リーダー」タイプの人材が少ない
- 「変革リーダー」が何かアクションを起こそうとしてもそれを支える人材=「専門職」が少ない
設定される課題
あるべき姿との差を埋めることが課題であり、この例の場合、「実務者から3名くらいプロフェッショナル(専門職)を育てなければいけない」といった、人材育成の明確な課題が設定されるのです。
育成の仕組み作りとは
戦略的な人材育成には、まず、中長期的な育成の仕組みが必要です。そこでまず必要なのは、メンバーそれぞれの個性を把握し、それぞれのキャリアビジョンを立てることが必要です。
キャリアはメンバー任せにしない
キャリアビジョンとは、将来「こんな自分になりたい」と描く仕事や人生における理想の姿、目標のことです。自分で意識していないことも多く、回りが引き出してやることで本人も自覚し、明確な目標となります。その実現に欠かせないのが、メンバーと会社が一緒になってキャリアビジョンを描き、その実現を支援する「キャリアサポート」です。
キャリアは個人の問題と捉えられがちですが、会社が関与しないままでは、メンバーは将来像を描きにくく、成長の方向性も定まりません。必要なのは、メンバーの思いや志向を引き出し、会社の事業方針や役割期待とすり合わせながら、現実的なキャリアビジョンを共に考える姿勢です。
一緒に描くからこそモチベーションがあがる
メンバーと会社が一緒にキャリアビジョンを描くことで、日々の業務や研修の意味が明確になります。「なぜこの仕事を任されているのか」「この経験がどんな成長につながるのか」が理解できるようになり、メンバーは主体的に学び、挑戦するようになります。メンバーは成長を実感しやすくなり、会社への信頼やエンゲージメントも高まります。その結果、スキル向上や定着率向上といった成果が生まれ、企業の持続的成長につながっていくのです。
人を動かす仕組み作りとは~人事評価を通じた人材育成
人事評価は、給与や昇格を決めるための制度と思われがちですが、本来はメンバーの成長を支援する重要な人材育成の仕組みです。評価を通じて「何を期待されているのか」「次に何を伸ばせばよいのか」を明確にすることで、メンバーの行動と成長を正しい方向へ導くことができます。
人事評価の基本的な手順と意義
人事評価の基本的な手順は、①目標設定、②期中の進捗確認、③評価、④フィードバックです。特に目標設定が重要で、面談などを通じて会社と本人がやるべきことをすり合わせるとが、人を動かす人事評価の一歩となります。
人事評価には、大きく分けて能力評価と業績評価があります。能力評価は、知識・スキル・行動姿勢など将来に向けた成長度合いを見るもので、業績評価は、目標達成度や成果を測るものです。この二つをバランスよく評価することで、短期成果と中長期育成の両立が可能となります。
評価面談でやるべきこと
評価面談は、評価結果を伝える場と言うよりも、会社と本人がやるべきことをすり合わせる場です。つまり、評価期間中のちょっとしたミスを指摘し、注意を与えたりする場ではなく、仕事の方向性を決めたり、確認する場なのです。
そのうえで、次に伸ばすべき課題や期待役割を整理し、今後の行動や成長目標を一緒に考える姿勢が求められます。評価面談は「過去の反省会」ではなく、「次に向けた育成の場」であることを忘れてはなりません。人事評価こそが「人を動かす仕組み」なのです。
人材マネジメント研修~人材ポートフォリオ分析、育成の仕組み作り、人を動かす、働く環境整備(2日間)
働き方の見直しによる勤務時間の減少、多様な属性(外国人、障がいのある方、シニアなど)、雇用形態の働き手との協働など、従来より労働環境が劇的に変化しています。
多様化する人材・変化する環境をふまえ、本研修では管理職に求められる「人材マネジメント」を、次の3つの視点から学んでいただく研修です。
- 経営理念・戦略を達成するための人材育成戦術
- 人的リソースのポテンシャルを最大限引き出す、活用するためのコミット、コミュニケーションの仕方
- メンバーが安全に,安心して働けるための労働環境の整備
よくあるお悩み・ニーズ
- 自部署のメンバーに対して、計画的で根拠をもって育成ができていない
- 部下の特性に合わせて育成やキャリアの支援ができるようになりたい
- 部下からの質問や相談に対して有効なフィードバックができていない
- 部内でリーダーシップを発揮していきたい
- 人事評価を育成に活かしきれていない
- 多様な雇用形態のメンバーに対し最適な業務管理やマネジメントができていない
本研修のゴール
- 自部署のメンバーを分析し、具体的な課題設定に基づいて計画的な人材育成方針を立てられるようになる
- 相手のこだわりややりがいを把握し相手に合わせた指導やキャリアサポートができるようになる
- 相手の質問や相談を受けて、より良い答えにたどり着いたり、より良い道筋で行動できるための適切なフィードバックができるようになる
- 自分の強みを活かしたリーダーシップの発揮の仕方や、状況に応じて臨機応変に効果的なリーダーシップを発揮できるようになる
- 人事評価のポイントや、外部リソースを投入して職場変革を行う方法を理解する
セットでおすすめの研修・サービス
段取り研修~管理職としての基本的マネジメントスキルを理解する
管理職に求められる役割を、上司・部下の視点から改めて認識していただく研修です。
そのうえで、成果をあげる管理職に必要な3つのマネジメントスキル「①部下指導・育成力、②業務管理力(推進・改善)、③リスク管理力」を習得していただきます。
(半日研修)人的資本経営を知る研修~ESGのS(社会)を重視する人材戦略
本研修は「人的資本経営」について学んでいただく研修です。人事部門だけでなく、経営層や経営管理部門、IR部門など、組織の経営に密接に携わっている方々に、まずは人的資本経営とは何かを知っていただきます。
これらを推進していくために必要なガイドラインやステップを学び、自組織に置き換えて考えていただくことを通して、今後の組織の経営戦略、人材戦略に活かせるようになっていただきます。





