インソース グループ営業統括室

優秀な中堅ほど「やる気を失う構造」とは?組織が奪っている2つの感覚と3つの処方箋

皆さまの職場には、仕事にも慣れ、一定の成果を出しているにもかかわらず、「以前ほど成長している実感がない」「仕事に新鮮さを感じない」と語る中堅社員が増えていませんか。

こうした状態はしばしば「キャリアの踊り場」と呼ばれます。この現象は決して能力不足や意欲の低下が原因とは限りません。

かつて、ソニーの創業者・井深大氏は「仕事の報酬は仕事である」と語りました。この言葉は、次の挑戦につながる仕事そのものが、人を成長させる原動力になることを示唆しています。しかし実際の職場では、そのような実感を得にくい状況が生まれているのではないでしょうか。人材不足が深刻化する現在、中堅社員は現場の質を支える重要な存在です。本記事では、この停滞を乗り越え、中堅社員の力を引き出す組織の工夫について考えていきます。

なぜ「できる中堅」ほど成長実感を失うのか

アメリカの心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱した自己決定理論では、人が主体的に行動するためには「内発的動機付け」が重要だとされています。その中心となるのが、次の二つの感覚です。

  • 自律性(Autonomy):自分の意思で仕事を進めている感覚
  • 有能感(Competence):自分の工夫が成果につながる実感

人はこの二つを感じるとき、仕事に主体的に取り組み、成長を実感しやすくなります。しかし実際の職場では、優秀な中堅社員ほど仕事は効率化され、業務はルーチン化していきます。その結果、自律性や有能感を感じる機会が減減少、成長を実感しにくい構造が生まれてしまうのです。

自律性と有能感を取り戻す3つの打ち手

そこで組織としては、自律性と有能感を取り戻す環境を意図的につくる必要があります。そのための具体的なアプローチが、次の3つです。

1.挑戦を後押しする環境をつくり、中堅社員の「心理的ブレーキ」を外す

多くの中堅社員は

  • 改善提案が却下された
  • 効率化しても仕事が増えただけだった

といった経験を持っています。こうした経験は、「変えようとすると損をする」という心理的なブレーキを生み出します。この状態を変えるには、次のような組織の取り組みが有効です。

  • 試行錯誤のプロセスを評価する
  • 上司の役割を「管理」から「支援」へ変える
  • 挑戦や改善を歓迎するメッセージを発信する

こうした環境の変化があって初めて、個人の行動も変わり始めます。まずは組織側の環境づくりが不可欠です。

2.ジョブ・クラフティングで「仕事の余白」をつくる

その次に重要となるのが、仕事の設計そのものを見直すことです。取り入れたいのが、職種を変えるのではなく、今の役割のまま、仕事のやり方や関わり方を自分なりに工夫し、より良い形にしていく「ジョブ・クラフティング」の考え方です。

今の職場の中でジョブ・クラフティングを実践できるよう、人事や上司が意識したいのは、正解が決まっていない仕事を意図的に任せることです。

  • 改善の余地がある業務:
    「今まで通り」を疑い、業務を作り替える権限を与える
  • やり方を任せられるタスク:
    納期と成果物だけを定義し、プロセスは本人に委ねる
  • 複数の正解があるテーマ:
    独自の工夫や仮説が求められる課題に挑戦させる

このような「余白」のある仕事を任せることで、「挑戦してもよい」という安心感を生み、自律性と有能感の両方を自然に引き出します。

3.生成AIを「能力拡張のパートナー」として活用できる環境をつくる

近年、こうした変化を後押しする手段として注目されているのが生成AIの活用です。重要なのは、生成AIを単なる効率化ツールとしてではなく、個人の能力を広げる「パートナー」として位置づけることです。

例えば、資料作成や情報収集などの定型業務を任せることで、人は顧客課題の分析や提案検討といった、より価値の高い業務に時間を使えます。また、要約や整理を補助させることで、専門的な情報の理解や論点整理が容易になり、これまで経験のなかった領域にも取り組みやすくなります。

こうした効果を引き出すためには、生成AIの活用を個人任せにせず、事例共有やガイドライン整備を進めることが重要です。あわせて、こうしたスキルを体系的に学ぶ機会を設けることで、組織全体で能力拡張の効果を高めることができます。

中堅社員を「自走できる実務の担い手」へ

中堅社員は、現場を最も理解し、仕事の質を高められる組織の重要な資産です。彼らが停滞から抜け出す鍵は、人事や上司が「仕事を作り替えてよい余地」をどれだけ信じて渡せるかにあります。

心理的なブレーキを外し、仕事に余白をつくり、AIで能力を拡張する。こうした環境が整ったとき、中堅社員は再び成長の実感を取り戻します。そしてそのとき、彼らは単なる経験豊富な担当者ではなく、自走する実務の担い手として組織を支える存在になっていくのです。

中堅社員向けジョブクラフティング研修~目の前の仕事が、やりがいのある仕事に変わる

任せられる仕事が増える中で「こなす仕事」になりがちな中堅社員に対し、仕事の意味や役割を再定義し、自身の業務を主体的に捉え直すことでやりがいを引き出す研修です。

「仕事に余白をつくる」「意味づけを変える」というアプローチを実務レベルで学び、キャリアの踊り場にいる中堅社員の自律性と有能感を取り戻します。

よくあるニーズ・お悩み

  • 仕事の成果や変化が見えづらく、やりがいを感じにくい
  • 日々の業務の忙しさで、モチベーションを上手く保てない
  • 中堅層のモチベーションや仕事への意識をもっと高めたい

本研修の目標

  • 自身のこれまでの仕事の成果を振り返り、成長を実感する
  • 自身の仕事の意義を考え、仕事をやりがいのあるものに変える考え方を学ぶ
  • 自身の仕事でできる創意工夫を考える

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セットでおすすめの研修・サービス

部下とのコミュニケーション実践研修~心理的安全性の高い職場を作る

上司の関わり方を見直すことで、部下が安心して意見や挑戦を発信できる職場をつくるための研修です。

傾聴や承認、フィードバックの実践を通じて心理的安全性を高め、中堅社員の挑戦を後押しするコミュニケーション力を強化します。

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(半日研修)アンコンシャス・バイアス研修~無意識の決めつけ・思いこみを打破し、 改めて職場風土を考える

無意識の思い込みや固定観念が、挑戦や発言をためらわせる「心理的ブレーキ」になる点に着目し、その影響を見直す研修です。

多様な価値観を受け入れる風土づくりを通じて、挑戦を後押しする職場環境の実現を目指します。

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適切な指示の出し方や役割分担を学び、業務の質とスピードを高めながら、個人の生産性と発想力を引き出します。

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