ストレスチェックの信頼性を高めるには~嘘回答を防ぐ説明とフォローの工夫

ストレスチェックは匿名性が担保されている制度ですが、従業員からすると「本当に匿名なのか」「評価に影響しないのか」といった不安が拭いきれません。その結果、無難な回答をしてしまうケースが起こり得ます。
嘘の回答を防ぎ、回答の信頼性を高めるためには、「なぜストレスチェックを行うのか」「結果をどう活用するのか」を明確に伝えること、そして実施後に誠実なフィードバックを行うことが重要です。
ストレスチェック前に信頼を得る3つの説明ポイント
1.制度の目的を丁寧に説明する
「従業員の健康維持」と「職場環境の改善」という、組織と個人双方の意義を明確に伝えます。また、特定の疾患を見つけることが目的ではないこと、事業者には実施義務がある一方で回答は任意であり、不利益は生じないことを説明することで、安心して受検できる環境を整えられます。
2.人事評価と無関係であることを保証する
ストレスチェックの結果を人事評価に用いることは法律で禁止されています。昇進・異動・査定に影響しないことを明確に伝えることで、「本音で答えても大丈夫」という心理的安全性を高められます。管理職層にもこの原則を徹底し、従業員の信頼を損なわない運用を行いましょう。
3.回答データの取扱いを透明化する
誰がどの範囲でデータを閲覧できるのかを明確に伝えることが欠かせません。個人が特定されない仕組みであること、プライバシーが守られることを具体的に説明し、「見えない不安」を可視化して解消することが大切です。
「なぜ今やるのか」を伝えると納得感が変わる
ストレスチェックを「毎年の恒例行事」にせず、「なぜ今必要なのか」を明確にすることで、従業員の受け止め方は大きく変わります。
例えば、長時間労働やリモートワークによる孤立感が話題になっているタイミングで「働き方の変化に伴う負担を把握するため」と理由付けをすることで、従業員は「自分たちの現状を知るためにやっている」と理解できます。
ストレスチェックを実施して終わりにせず、結果をどう活用したかを伝えることが信頼構築の鍵です。「回答が職場改善につながった」と従業員が実感できれば、翌年以降のストレスチェックでも、より率直な回答が得られます。
個人と職場、2つのフォローで信頼を定着させる
- 個人へのフォロー
高ストレスと判定された従業員には、産業医やカウンセラーによる面談を実施する必要があります。一方で、そうでない従業員にも、平常時の相談窓口やセルフケアの学習機会を案内することが効果的です。短時間で学べるeラーニング型のセルフケア研修などを活用すると、心理的サポートを継続的に提供できます。 - 職場環境へのフィードバック
集団分析で、ストレスが高い結果が出た職場(部署等)に対し、業務量の調整やコミュニケーション改善などの具体的な対策を検討します。「組織として、分析結果を踏まえた改善活動に取り組もうとしている」という姿勢そのものが、次回以降の受検意欲を高めます。 - 実施内容の共有
「今年度の受検率は○%」「前年に比べて総合健康リスク値が改善した」など、結果や改善施策を社内で共有します。透明性を持って発信することで、従業員の信頼を得ると同時に、組織全体の健康経営意識を高められます。

ストレスチェックの本当の価値は「事後」にある
ストレスチェックは、単なる「不調の早期発見ツール」ではありません。結果を正しく読み解き、改善につなげることで、組織全体のストレスを減らすマネジメント手法です。制度を"形式"ではなく"信頼の仕組み"として機能させるために、ぜひ事後のフォローと環境改善までしっかりと取り組みましょう。
インソースの「ストレスチェック」に関するサービスはこちら
ストレスチェック支援サービス~実施から職場環境改善まで
eラーニングシステム「Leaf」を活用したストレスチェックサービスでは、従業員が安心して回答できる仕組みを整えつつ、ストレスチェックの実施から結果の集計・分析までを一括でサポートします。
集団分析の結果を基に、職場改善施策の提案やフォロー施策の実施が可能で、高ストレス者への産業医面談や全従業員向けのセルフケア支援も提供します。さらに、管理職や人事が組織全体の健康リスクを把握できるよう結果を可視化し、事前説明会や運用支援サービスも併せて提供することで、制度導入を全面的にサポートします。
ストレスチェックの効果的な活用方法
ストレスチェックの実施から結果の活用までを体系的にサポートするサービスを紹介しています。具体的には、従業員向けのセルフケア研修や、管理職向けの職場環境改善プログラムを提供し、集団分析結果を基にした職場改善を促進します。
また、個人結果票にセルフケアリーフレットを同封するオプションもあり、組織全体でのメンタルヘルス向上を目指しています。
ストレスチェック後の職場改善プログラム
ストレスチェック結果を活用し、職場と個人の両面から改善を進める研修・支援プログラムを紹介しています。
集団分析で職場課題を抽出し、管理職向けの改善計画研修や、従業員が自分の結果を理解してセルフケア行動を促すプログラムなど、対象別に内容が構成されています。チェック後の「分析・共有・改善」を一連の流れで支援するのが特徴です。
セットでおすすめの研修・サービス
メンタルヘルス研修~セルフケア
働くうえで重要となる健康を維持するには、風邪や怪我の予防といった体の管理だけでなく、精神(メンタル)の管理も不可欠です。
本研修では、メンタルヘルス及びストレスに関する適切な知識を身につけ、自身のストレスをコントロールする方法を考えます。
管理職向けストレスチェック制度導入前研修(1日間)
管理職の方向けの研修です。ストレスチェック制度を「職場のメンタルヘルス改善」のツールとして有効活用するために、制度の概要や意義、職場づくりのポイントを学んでいただきます。
具体的にはまず、ストレスチェックにおけるステークホルダー・実施フローなどの制度の概要と、ストレスチェックの意義(メンバーが心身ともに健康な状態を保ち、生産性をあげる)を理解します。そのうえで、職場に高ストレス者を生まないために管理職としてとるべき行動を、講義とケーススタディを通じて学んでいきます。また最後には、自分のストレスと付き合う方法について学び、自身のメンタルヘルスケアについても考えます。







