行政のストレスチェックを「小さなDX」で改善する~完全アナログから脱却するためのスモールスタート

自治体におけるストレスチェック制度は、職員のメンタルヘルス対策や働きやすい職場環境づくりのために、法律で義務づけられた重要な取り組みです。
しかし実際には、受検率の確保や運用体制、結果の活用など、多くの自治体で運用上の課題が残っています。
また、ストレスチェックに限らずですが、諸々の業務をデジタル化させたくとも、DX(デジタル・トランスフォーメーション)のための人材確保やセキュリティ面の課題があり、なかなか進まないという課題も伺います。本記事では、自治体が直面しやすい課題を整理し、具体的な改善策をご紹介いたします。
自治体がストレスチェックでつまずく3大ポイント
自治体がストレスチェックを運用する際に、特に以下のような点で課題を抱えることが多いです。
1. 受検率が上がらない
受検対象者の職員が「結果が人事評価や昇進・降格に影響するのでは」と懸念する、個人情報の取扱いが分かりづらい、案内文に「義務だからやっている」感があり、受検のメリットが感じられないなどで積極的な受検が進まない。
2. 物理的・環境的な制約があり、デジタル化が進まない
一部職員にPCや業務用の個人メールアドレスの付与がない、インターネット操作にも不慣れな職員がいるなどの理由でWeb受検の実施を断念しているケースがあります。その結果、紙での受検対応が必要となり、配布・回収の手間や紛失・破損リスクが発生し、回収率の低下につながっています。
3. 制度が形骸化している
「とりあえず去年通りに」と時期の見直しをすることなく進めていて、受検期間が繁忙期と重なっている所属は受検率がよくない、あるいは毎年高ストレス部署と判定されてしまうなどで、受検意欲がそがれてしまっている可能性があります。
職員と管理職の誤解をなくす説明戦略〜不安を解消して受検を促す
「毎年同じだから」と周知方法を見直していない場合も、ぜひ、その方法や文面から今一度見直すことをお勧めします。
- 例1:案内を調査票に同梱
ストレスチェックの目的や制度の意義、個人情報の取扱い、結果の活用方法を明確に示す案内を調査票に同梱する。 - 例2:管理職向け説明会の開催
管理職向けに制度の説明会を開催する。メンタルヘルスの重要性や分析結果を活用することで、職場全体の生産性が上がることを理解してもらう。
ストレスチェックが評価に影響せず、回答も保護されることを明確に伝える説明会や案内文で、受検者の心理的負担を軽減することが重要です。あわせて管理職にも意義と効果を理解させ、双方への働きかけで受検意識を高めましょう。より上位者にストレスチェックの意義を分かって、各所属で推進してもらうことも、受検促進の一つの方法です。
紙運用の負担を減らす小さなDX
紙で運用している自治体では、印刷・配布・回収・集計などに相当な手間がかかるものの「慣れているから」で運用面を見直しがされていない場合があります。しかし紙面での運用は印刷費や輸送費などコスト面でも年々厳しくなってきています。そこでおすすめなのは、「小さなDX推進」です。
- 例1:案内メール・通知文の文面改善
なぜ受検が必要なのか、受けるメリット、どこまでの情報が誰に見られるかなどを分かりやすく記述する。督促メールも時期を置いて複数回行う。 - 例2:受検方法の多様化
紙面の希望が強い方のみ紙面対応として、PC、スマートフォン、タブレットなどさまざまな端末による受検を推進する、紙・Web併用のハイブリッド方式を検討する。
「職員がメールを見る習慣がない」と、メールでの周知を諦めているご担当者さまも少なくありません。しかし、未受検者にだけ届く督促メールを送れば、「受検完了まで案内が届く」という認識が生まれ、目に留まる可能性が高まります。
また、本格的なWeb導入の前に、無料トライアル利用などを活用し、そもそも接続できるのか、セキュリティ面をクリアできる要素があるのかなどをチェックしておきましょう。
いきなり全職員向けに導入する前に、「担当部署だけお試しでWeb回答してみる」など、スモールスタートで試してみるのも、ささやかながらDX推進の一歩になります。お試し利用で操作性やセキュリティ面を確認しつつ、紙面運用時と比べて工数や費用をどれくらい削減できるか、自治体の担当者の負担を軽減できるかを検討してみましょう。
まとめ:ストレスチェックの改善は小さなDXから始まる
自治体のストレスチェックは職員の健康と環境改善に不可欠です。受検率確保やDX活用で効率化し、制度の意義を最大化できます。
まずは『庁舎内はWeb・その他は紙』などの併用実施や『二次元コードで選択式回答』など小さなDXから始めるのがおすすめです。Web受検に不安があれば無料トライアルやデモを活用し、運用改善につなげましょう。
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株式会社インソースでは、制度概要や体制説明を含む事前説明会、実施後の結果説明会の開催が可能です。
中央官庁や大手金融機関でも採用される高セキュリティなWeb受検システムを提供し、Webと紙の併用など柔軟な運用にも対応しています。
30日間の無料お試し利用では、受検者機能と管理者機能の両方をお試しいただけます。
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他の自治体での、ツールの導入やDXによる業務改善の事例を参考に、自組織でどのように取り組んでいくかを考えます。
また、新たな業務革新によるDX推進は負担が大きい傾向にあるため、既存の業務改善からスモールスタートできるように導く構成となっています。まずは無理なく業務改善に取り組み、DXの実現を目指していただきたいと考えます。
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具体的には、部下のメンタルヘルスを把握する意識を促し、取り組みやすく効果的なケアの手法として部下の話を「きく」スキルを身につけます。



