健康経営&DX時代に欠かせないメンタルヘルス対策~セルフケアを職場文化に根付かせる方法
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社員のストレスやメンタル不調が、個人の健康だけでなく組織の生産性や定着率に大きく影響することは、多くの企業で共通認識となっています。
一方で、働き方が多様化し、テレワークやハイブリッド勤務が広がるなどDXが進む中では、従来の対面中心のケアだけでは十分に対応しきれない場面も生じています。
そこで重要になるのが、健康経営の観点をもって、「セルフケア」を促す制度やツールを導入し、組織全体でメンタルヘルスを持続可能なものにすることです。本コラムでは、「セルフケアを組織文化に根付かせる具体的方法」と、DXツールを活用して無理なく実践するヒントを整理します。
社員が自分で整える時代~セルフケアが必須スキルになる構造
セルフケアとは、ストレスや心の不調を感じたときに、自らの行動で予防・軽減を図る取り組みです。単なる自己対応ではなく、心身の変化に気づく「自己認知(ストレスの自覚や気づき)」、状況に応じた「行動選択(ストレス緩和のための具体的な方法を取ること)」、そして実践を習慣化する「継続」の3要素が重要となります。
メンタルヘルス対策を外部に依存しすぎると対応が後手に回りやすく、個々の意識も育ちません。健康経営を推進する企業においては、セルフケアを社員自身のスキルと意識として育成し、組織全体のストレス耐性を高めることが大切です。
社員が動くセルフケア施策~整備すべき土台と支援策
セルフケアを組織文化として取り込む、また、従業員個人のスキルとして身に着けてもらうには、次のようなステップを踏むことがおすすめです。
1.ストレス可視化・測定の仕組みを整える
- 1年に1回のストレスチェック制度を活用し、組織としてのストレス度合いを定点観測する
- 集団分析で、どのような項目がストレス要因かを把握する
- 可視化された分析結果を、どのような場で話し合い、どう活用するか体制を検討する(例:安全衛生委員会で集団分析結果を共有・所属長に結果のフィードバックを行うこととする、など)
2.セルフケアに関する教育・情報提供を行う
- ストレスチェック実施後に、セルフケアの基本を学ぶ機会を設ける(例:結果票にセルフケアを学ぶ資料を同封する・Web受検システム上で、セルフケアを学ぶeラーニングを配信するなど)
- コミュニケーション方法、メンタルの不調に気づいたときにどう話すか、どう対応するかなどを学ぶ
- 結果の配布と共に、全従業員に外部/内部相談窓口の存在を周知する
3.フォローアップと継続性を確保する
- 集団分析の結果、業務負荷の高い部署で職場環境改善案を起案、実行する
- 部署長・管理職に対して、部下のメンタルヘルスのサポートの仕方を教育する/ラインケア教育を行う
- 産業医や外部講師などに、高ストレス所属の職場巡視と、改善施策の実効性を定期的に確認してもらう
ストレスチェックでは、個人だけでなく部署や課といった集団単位でのストレス傾向も把握できます。分析結果には、職場のストレス要因や改善のヒントが多く含まれており、まさに「職場改善の宝庫」といえます。
環境改善やセルフケア一度きりではなく、継続が重要です。産業医や講師の助言に加え、管理職や現場の社員自身が、無理なく実行できる施策を考え、継続することがポイントです。
テクノロジーで広がるセルフケア実践~可視化と継続の仕組み
多様な勤務形態がある昨今、従来の対面でのケアだけではカバーできない部分が増えてきます。このような状況下では、より意識して職場内コミュニケーションを促進することと、メンタルヘルス不調を早期に発見、対策することが重要です。
DXツールはその問題を解決し、体制を整えるためのツールとして活用していきましょう。
- 例1:オンライン学習(eラーニング)を使い、場所・時間にとらわれず学習機会を提供する
- 例2:eラーニング実施時は視聴履歴、参加状況を可視化し、未視聴者に対してリマインドメールを送り、受講を徹底させる
- 例3:集合型研修と、欠席者用のeラーニングを使ったハイブリッド型でセルフケア教育を行う
- 例4:Webシステムを使って、職場環境改善活動の前後で感想・アンケートを収集し、改善活動の継続に活用する
事例で分かるセルフケア浸透のチェックポイント
事例1:eラーニングを活用した健康経営推進
【実施内容の工夫例】
- 全社員を対象に、メンタルヘルス・健康管理関連のeラーニングコースを「必修」として設定した
- スマホで受検できるようにし、通勤時間・休憩時間など「すき間時間」にもアクセスしやすくする工夫を行った
【得られる成果】
- 組織全体の健康意識が向上したとの組織内調査結果が得られた。特に「健康管理・メンタルヘルスに関する知識を持っているか」「自分でストレスを管理できると感じるか」といった項目で肯定的回答が増加した
事例2:メンタル不調予防に効く成功企業が実践するセルフケア法
【実施内容の工夫例】
- ストレスチェック結果の集団分析を行い、残業時間・部署ごとのストレス要因などを把握。これに基づいて職場改善策を検討する研修会を実施。
【得られる成果】
- 各自がメンタルヘルス不調の「予兆」に気付けるようになり、早めに通院するなど対策が取れるようになったことで、メンタルヘルス不調による退職者、長期休暇取得者が減った。
組織的セルフケア文化を醸成するための導入ポイント
どちらも共通する成功要因として、受検・研修のアクセスのしやすさ、フォローアップ体制の強化、集団分析・データに基づく職場改善、継続性と組織的な仕組み作り、経営層・管理職の理解と参画が挙げられます。すべてを一気に進めるのは難しくとも、少しずつでも導入できると、組織的なセルフケア文化の醸成に繋がります。
セルフケアeラーニング
動画形式で約18分のプログラムで、メンタルヘルスとストレスの関係・ストレス反応の理解・ストレス対処法・コミュニケーション・うつ病対応など、セルフケアに必要な要点を網羅しています。
ストレスチェック受検直後に個人分析結果とともに動画視聴が可能になっており、回答直後にケアを促す設計です。
「セルフケアeラーニング」のメリット
- Point.1 受検直後のセルフケア
当社のストレスチェック(WEB受検の場合)は、回答直後に自動で集計され、個人分析結果が見られるようになっています。個人結果が表示される画面上で動画再生できるので、すぐにセルフケアができます。 - Point.2 いつでもどこでも、自分のペースで
eラーニングであれば、スマホでも見ることが可能です。ご指定の期間中は、受講者さまのタイミングで何度でも講義内容を確認できます。 - Point.3 eラーニングの受講を徹底できる
ご希望がございましたら、視聴履歴の管理、あるいはリマインドを行うなど、徹底したフォローアップや管理も可能です。
セットでおすすめのサービス
メンタルヘルス研修~セルフケア
働くうえで重要となる健康を維持するには、風邪や怪我の予防といった体の管理だけでなく、精神(メンタル)の管理も不可欠です。
本研修では、メンタルヘルス及びストレスに関する適切な知識を身につけ、自身のストレスをコントロールする方法を考えます。
若手社員にどのような教育を行うか悩まれている研修ご担当者は多いです。若手社員特有の吸収力の高さを生かし、様々なデジタル技術を知り、ChatGPTを触ることで、情報感度を高め、業務効率化の考え方を養っていただきます。
(半日研修)DX理解研修
DXの基礎知識から人材育成方法、組織内のDX実現の具体例を学ぶプログラムです。言葉だけでは分かりづらいDXの定義や今これらが強く求められる社会的背景について改めて確認します。
そのうえで、実際にDXを成功させている組織の事例等を参照しながら、人材育成のポイントや推進のためにまず何から始めていけばいいかを考えます。
DXについて右も左も分からないという方でも、3時間で基本知識を身につけられる設計です。
(若手向け)DX入門研修~ChatGPTに触れ、業務効率化のマインドを獲得する
本研修では、ChatGPTを用いて、文章要約やプログラミングを体感することで、若手社員の情報感度を高め、業務効率化のマインドを獲得していただきます。
また、身近なデジタル技術に目を向ける機会を設け、データを活用したビジネスモデルの強みを学びます。
今後社内で活躍できる人材になるために、DXを理解し、デジタル技術を活用できることを目指していただきます。
講師による実演と学習用データを使った演習問題で、パソコン操作に慣れていただきます。そして基本のショートカットやファイル管理の方法など、業務をより効率的に進めるためのポイントについても習得いただきます。





