言いづらさをどう克服するか~自分への評価不安編|「伝わらない・かみ合わない」を防ぐシリーズ4

インソースが実施したコミュニケーション研修における事前課題アンケートには、次のような声が寄せられました。
- 相手の言い分ばかり聞いてしまい、自分の主張を取り下げてしまう。結果的に、同じ交渉を何度も繰り返し、無駄な打ち合わせが増えてしまう
- 少しでもネガティブに受け取られそうだと、意見を言うのをためらってしまう
- 上司や先輩にいつ話しかけるべきか悩み、簡潔に話そうとするほど緊張して、うまく伝えられなくなる
- 強く主張されると、波風を立てたくないので、たとえ無理な主張であっても、受け入れてしまう
これらの「職場で感じる言いづらさ」に関する悩みを分類すると、大きく2つの要因に分けられます。自分への評価不安と、他者へ配慮しすぎることです。
本コラムでは、職場で多くの人が感じる「自分への評価不安」に焦点を当て、その正体と向き合い方を整理します。もう1つの要因については、シリーズ5で書きます。
評価不安とは何か~自分が他者からどう評価されるかの不安
評価不安とは、自分の発言や行動が、他者からどう評価されるかに対する過度な意識です。この評価不安は、能力や経験の有無に関係なく、誰の中にも生まれるものです。「これを言って、間違っていると思われたらどうしよう」「評価を下げてしまうのではないか」。そんな思いが頭をよぎり、言葉を飲み込んだ経験は少なくないはずです。
職場でのコミュニケーションにおいては、次のような形で表れやすくなります。
- 無能だと思われないか
- 仕事ができない人だと見なされそう
- 面倒な人、空気を読めない人だと思われそう
- 声の大きい人に否定されるのが怖い
これらはすべて、コミュニケーションの「内容」よりも評価される自分に意識が向いている状態です。この場合の「言いづらさ」を克服するには、自分の心=気持ちをうまく扱うスキルが必要です。
評価不安を和らげるには状況・出来事を客観的に捉える
評価不安を和らげるうえで有効なのが、出来事と自分の解釈を分けて客観的に考える視点です。
米国の心理学者アルバート・エリスが提唱したABC理論では、出来事そのものではなく、それに対する考え方が感情や行動を生み出すとされます。
- A(Activating Event):起きた出来事
- B(Belief):その出来事をどう捉えたか
- C(Consequence):その結果生まれる感情や行動
と区別して考えます。
ABC理論の具体例

- A:上司に報告書を指摘された
- B:「指摘されるのは、自分が未熟な証拠」
- C:自信喪失。報告書なんて作れない
このとき問題になっているのはAの出来事ではなく、Bの捉え方です。「自分が未熟」は事実ではなく、あくまで予測にすぎません。では、Aは同じでもBを変えるとどうでしょうか。
- A:上司に報告書を指摘された
- B:「指摘は成長のきっかけになる」
- C:指摘はありがたい。質問や相談もしてみよう
両者には大きな違いが出ることが分かります。まずは、自分が客観的に物事を解釈できているかに気づくことが重要です。
評価不安を乗り越えるために
評価不安を克服するにあたっては、次の二つの視点が有効といえます。
- 客観的な捉え方(相手視点を含む)を身につける
- スキルアップで自信をつける
出来事を客観的に捉えられるようになると、「どう見られるか」だけでなく、相手は何を目的にその発言をしたのかという視点が入ってきます。また、業務スキルや経験が積み重なることで、「多少指摘されても立て直せる」という感覚が育ち、評価不安に振り回されにくくなります。
相手が評価不安を抱えている場合
評価不安は、自分の中だけにあるとは限りません。相手自身が評価不安を抱えている場合も少なくありません。評価不安があるとき、相手は指摘を「否定」や「攻撃」と受け取りやすく、自分を守るために、強い言い方や防衛的な態度を取るといった反応を示すことがあります。
ここで意識したいのが、心理的安全性という考え方です。心理的安全性とは、メンバー一人ひとりがチームに対して気兼ねなく発言でき、自然体でいられる環境・雰囲気を指します。相手が評価不安を抱えている場合、発言内容の正しさ以上に、「この場でどう扱われるか」に敏感になっています。
心理的安全性が低い職場

心理的安全性が高い職場

出されたアイデアに対し、可否を断じるだけではなく「私にはないアイデアです」「こうしたら実現できそう」など、前向きな言葉が出るような環境があることが前提になるということです。
評価不安は誰にでもある
自分が評価不安と向き合い、客観的な捉え方(相手視点を含む)を身につけていくことは、相手の評価不安に配慮した関わり方にもつながります。
評価不安は、誰か一人の問題ではありません。互いに不安を抱えうる存在だと理解したとき、「言いづらさ」は少しずつ、対話できるものへと変わっていきます。
ビジネスゲームで学ぶ心理的安全性向上研修~ドミノ電鉄編(半日間)
本研修では、若手・中堅の方を対象に、ビジネスゲーム「ドミノ電鉄」を通じて、チームの心理的安全性を高めるために自分に何ができるのか、考えていただきます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 若手・中堅に中核メンバーとして、積極的にチームに関わってもらいたい
- 受け身で消極的な姿勢の若手・中堅が多い
- 心理的安全性の高いチームにするために、一人ひとり何ができるかメンバーに考えてもらいたい
本研修のゴール
- 心理的安全性の高い職場・チームとは何かを理解する
- 自分の言動がチームの心理的安全性に影響を与えていることを理解する
- チームの心理的安全性を高めるために、自分にできることを考える
セットでおすすめの研修・サービス
対人関係構築研修~円滑なコミュニケーションのためのスキルを習得する
対人関係の構築を促進するためのテクニックや考え方を身につけていただく研修です。 相手と適切な距離感を保ち、良い関係を築くには具体的にどのような行動をすれば良いのかを、明日から取り組める基本的なものからタイプ別の対応法まで、じっくりワークを通じて学んでいただきます。
(半日研修)部下指導力強化研修~怒りのマネジメントの手法を身に付ける
怒りの感情をコントロールし、うまく「怒り」の感情とつきあっていく方法を身につけていただく研修です。
怒りの原因や種類などの正しい知識をつけ、自身の「怒り方」も客観的に考えていただきます。自身の行動パターンを理解することで、怒りを効果的な指導に変換させることが期待できます。






