メンバーへの伝え方に悩むリーダーが身につけたい「アサーティブコミュニケーション」
チームのリーダーとして「ちゃんと伝えなければ」と思っているのに、気づけば言葉を飲み込んでいる―そんな経験をしたことがあるリーダーも多いのではないでしょうか。
言いたいことが言えないリーダーの葛藤
リーダーとして言いたいことが言えないと、ストレスや人間関係の悪化、業務への支障にもつながってしまいます。しかし、思い切って強く言うとパワハラと捉えられてしまうかもしれない...このような両極端のコミュニケーションに悩むリーダーは、少なくありません。
「自分の意見も大事にしながら、相手との関係性も壊さない」
そんな伝え方のヒントとなるのが「アサーティブコミュニケーション」です。
自分も相手も大切にする「アサーティブコミュニケーション」
人の考え方、行動は大きく以下の4つのパターンにわけられます。
内容 | 例 | |
---|---|---|
非主張的 | 自分の考えや気持ちを抑え相手に言わない | 「上司に文句を言ったら自分の立場が悪くなるかもしれない」と考え、大勢の人の前で怒鳴られても我慢する |
攻撃的 | 自分の考えや気持ちを第一に考え相手に主張する | 「後輩に指導するのは先輩として当然」と考え、自分のやり方を押しつける。無視されると「さっさとやれよ!」と命令し、イライラする感情をぶつける |
作為的 | まわりくどい言い方や態度で作為的に相手に結論を言わせようとする | 残業を頼まれてしまったが、本当は早く帰りたい。そこで、依頼者の前で体調が悪そうにして、「今日は帰っていいよ」と言わせる |
アサーティブ | 自分と相手双方の考え・気持ちを同等に扱い、正直、素直に相手に伝える | 相手に仕事の仕方を変えてほしいときに「〇〇さんの丁寧さは信頼しています。ただ、今のスピードでは納期が厳しいので、優先順位を一緒に見直せませんか?」と伝える |
アサーティブコミュニケーションとは、相手を尊重しつつ、自分の意見や気持ちも率直に表現するコミュニケーションのことです。非主張的、攻撃的、作為的のパターンは、どれも結果として人間関係によい影響を与えません。自他ともに尊重し、正直に素直に伝える「アサーティブ」こそ、長期的に健全な人間関係を保つベストな方法といえます。だからこそ、リーダーが習得すべきスキルなのです。
「依頼/注意/説得・交渉」それぞれの場面で使えるアサーティブ
アサーティブの力は日常のあらゆるシーンで発揮できます。特に、お願いをするとき、注意をするとき、説得するときなどの「相手の反応が怖い」「どう言えば伝わるかわからない」と悩む瞬間に有効です。各シーンのポイントを以下で紹介します。
依頼のポイント:「長所の描写」と「期待の伝え方」
例えば、受け身の部下に対しては、「あなたは細部まで正確に仕事をこなす能力がある」と長所を認めます。そのうえで「だからこそ、この業務でその強みを活かしてほしい」と期待を伝えます。これにより、相手は自分の価値を認められたと感じ、前向きに取り組みやすくなります。
注意のポイント:「敬意の表明」と「ともに導く解決策」
例えば、年上の部下にミスを指摘する際、まずは「あなたのスピード感のある仕事の進め方は若手メンバーのお手本となる行動で、いつも感謝しています」と敬意を示しましょう。その後「ミスが少なくなるとより仕事の質が上がるので、どのようにミスを減らせるか一緒に考えましょう」と協働の姿勢で解決策を提案します。これにより、相手の尊厳を傷つけずに改善を促すことができます。
説得・交渉のポイント:「覚悟・本気の表明」と「共通項づくり」
保守的な上司に新企画を提案する際には「このプロジェクトには全責任を持って取り組みます」という覚悟を示しつつ、上司の価値観と企画の目的の共通点を見出します。「コスト削減と顧客満足度向上の両方を実現できる」など、双方にとってのメリットを明確にすることで、賛同を得やすくなります。
リーダーのためのアサーティブコミュニケーション研修
本研修は、上司やメンバー、他部署など、リーダーを取り巻くさまざまな関係者に対して、よい関係を保ちながら主張をするためのアサーティブなコミュニケーションスキルを学ぶ研修です。
アサーティブコミュニケーションを習得することで、リーダーとしての悩みを解消し、チームの信頼と成果を高めることができます。自分の考えをしっかりと伝えつつ、相手の意見も尊重することで、共通の目標達成に向けて仕事を進めることができるリーダーを目指しましょう。
研修のゴール
- アサーティブコミュニケーションの基本を理解し、活用できるようになる
- 依頼、注意、提案、交渉といった、難しいコミュニケーションの場面での打開策を獲得する
- ストレスを溜めず、相手と良好な関係を築きながら、意見を伝える方法を学ぶ
受講者の声
- 年上年下を問わず、アサーティブに接していきたい
- 社内だけでなく、日常的なコミュニケーション・交渉でも役立つと感じた
- 無意識に主観的な言葉を使って相手に依頼したり、指導したりしていた。これからは、客観的にを意識していく
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