研修を語る
2024/07/18更新
新規事業開発研修を語る ~ビジネスモデルキャンバスを使って新規開発を考える
ビジネスモデルキャンバスで新規事業開発を学ぶ「レア」な研修
―どんな研修内容になっているのか、一言でお願いします
「ビジネスモデルキャンバス」を活用し、新規事業開発を進める方法をお伝えする研修です。「ビジネスモデルキャンバス」とは、どのようなフレームワークなのかを詳しく学び、どうすれば新規事業開発に生かすことができるのか、研修のワークなどを通じて体験していただける内容です。
ビジネスモデルキャンバスは、どちらかというと既存のビジネスの分析に活用されることが多く、ビジネスモデルキャンバスを活用した新規事業開発の研修というのは珍しいかもしれません。ただ、顧客視点での発想がより強く求められる、今の時代ならではの開発ニーズに合った切り口の研修になっていると考えています。
―研修内容で、ほかにも特徴的な点はありますか
新規開発の視点として、「カスタマーエクスペリエンス(CX)発想」を前面に打ち出しているのもポイントです。
従来型の新規開発では、どちらかというと「今ある強み」からのアプローチが重視されていたと思います。すでにあるリソースを活用して、どう新しいものにつなげていけるかだったり、すでにあるチャネル、お客さまとの接点を生かしてさらにどんな事業に広げていくことができるかであったり、「企業側の視点」が中心でした。
こうした企業視点での新規事業開発も、まだまだ有効ではあると思いますが、ものづくりやサービス開発をめぐる環境が変化する中、限界が見え始めています。そこで重視されるのが顧客視点での発想、すなわち「CX発想」です。CX視点での事業発想が求められている現状を踏まえ、当研修をリリースしました。
モノづくりやサービス開発に不可欠な「CX発想」
―「CX発想」ということについて、もう少し詳しくご説明ください
CXとは、「お客さまがモノやサービスを利用するにあたっての一連の体験」を意味します。モノやサービスを認知するところから、情報収集、購買、使用、アフターサービスまで、すべての体験がCXになるのです。
お客さまは、モノやサービス自体の良し悪しだけではなく、CXを踏まえて評価します。そのため、これからの企業には、単に製品やサービス自体の価値を高めるだけではなく、CXを高めることが求められるでしょう。ものづくりやサービス開発には、CXを考えることが不可欠です。
―「CX発想の新規事業開発」と「ビジネスモデルキャンバス」の関わりについてはいかがでしょうか
ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスの形を可視化し、体系的に捉えるフレームワークです。既存のビジネスの改善・改良点の検討などに役立つ一方で、新たな事業を具現化する際にも活用できます。
ビジネスモデルキャンバスでは「ターゲットとなる顧客は誰か」「顧客に提供する価値はどんなものか」「どうやって価値を届けるか」「パートナーになり得るのは誰か」「どうやって収益化するか」といったビジネスの各要素を、「見える化」することが可能です。顧客視点でのビジネス分析、CX起点で新規開発に適したツールなのです。
自由な発想で、楽しんで学ぶ
―どのような方が受講者として適しているでしょうか
幅広いお客さまにご活用いただける研修内容だと考えています。比較的ライトに新規事業について社内で議論したり、考えたりする社風の組織の方々には特におすすめです。
大企業にとっての新規事業開発は、大プロジェクトであることが多いので、新規事業開発の入り口としてビジネスモデルキャンバスを使ってくださいというのは、感覚的に違和感があるかもしれません。
一方で、ベンチャー企業などであれば、もう少し身軽に新規事業について検討することが多いと思います。そうした新規事業を形にしやすい社風の企業の方々は、この研修を大いにご活用いただけるのではと考えています。
―受講に適した階層はありますか
経営層や権限を持った層以外の方々にも、受講していただきたい研修として作っています。さまざまな意味で制約が少なく、発想力で進んでいけるような立ち位置の方は、楽しく研修を進めていただけるのではないでしょうか。
実際、ビジネスモデルキャンバスを使うと、自由な発想で新規事業開発に臨むことができます。たとえば、「誰をパートナーにするか」を考える場面です。旧来型の発想であれば「取引先」となるところですが、キャンバス上ではこれまで関係がなかった、まったく違う分野の人たちとの可能性を探ることなどもできるのです。
実在のサービスでビジネスモデルキャンバスを理解する
―研修の肝となるのは、どのような内容ですか
やはり、ビジネスモデルキャンバスを理解していただくのが、研修の中核です。講師が一通りレクチャーをしますが、それだけで理解するのは難しいと感じることもあるので、具体的な例として、スターバックスさんとメルカリさんのビジネスモデルを当てはめて説明します。
実はこの2社については、さまざまな方がビジネスモデルキャンパスを使って分析をされており、インターネットなどにも掲載されています。同業の会社が非常に多く存在するなかで、この2社の違いは何なのか、それをビジネスモデルキャンバスによる分析で明確にすることで、受講者の方々にビジネスモデルキャンバスの有用性を感じていただきます。
―とくに効果的な演習やワークはありますか
ビジネスモデルキャンバスに沿って、実際に新規事業を考えるワークが、この研修の醍醐味といえるでしょう。自分でつくったビジネスモデル、新規事業を発表して、受講者同士で評価をし合います。
やはりこういった研修に対し前向きに取り組んでくださる皆さんは、自分のアイデア、自分の発想を披露したいという意識の強い方が多いようです。このワークは講師にとっても、講師冥利につきるやりがいを感じる時間のようです。なかには、「事業を前に進めていけばいいのに」と思うようなアイデアも出てくるそうです。
身につけば強い「武器」になる
―これまでに受講された方々の反応や感想について教えてください
新規事業のアイデア出したり考えたり、議論したりということに慣れている組織と、そうではない組織とでは、研修の進み具合が違うのは事実です。
こちらから教えなくても、自分たちで好きなようにアイデアを出しながら進めていけるような風土の会社さんがいる一方で、「こういう風に考えたらどうですか」「こういう風にここは捉えるべきですよ」とお話して、ようやく手が動き始めるような会社さんもあります。そこはもう本当に、お客さま次第です。
―研修で身につくのは、どのようなスキルですか
ビジネスモデルキャンバスについては、その有効性に対してネガティブな評価も目にすることもあります。しかし、それらの多くは、フレームワークとしての欠陥というよりも、十分な理解をしないまま活用した結果なのではないかと私は考えています。
ビジネスモデルキャンバスを十分に理解した上で活用すれば、その秀逸さをあらためて感じることができるでしょう。ビジネスモデルキャンバスに沿って考えていけば、必要なことを概ね網羅して検討できます。これを身につければ、受講者の方々の強い武器になるに違いありません。
また、これからの時代、CXという視点抜きで新規事業や新商品を考えることは不可能ということを理解いただくのも、この研修の狙いの一つなのです。
―今後の研修の展開などについて教えてください
今後は、実際に新規事業開発に携わった経験があるような講師を投入し、ワークショップのような形で進めていくことも考えています。具体的に今、新規事業開発のミッションに向かっている方、そうでない方にとっても、よい学びの場にできればと思います。
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