コンサルタントの真価は情報収集にあり~仮説・逆算・知見で高める「きく」技術

コンサルティングの現場において、課題を正確に把握し、適切なソリューションを導き出すためには、ヒアリングやアンケート調査といった情報収集のスキルが不可欠です。
コンサルティングの入り口にあたる情報収集活動が、最もコンサルタントの真価が問われる重要な局面であるといっても過言ではありません。
本コラムでは、効果的なヒアリングの心構えから、実践的なアンケート設計の手法まで、現場ですぐに活用できる情報収集の具体的なポイントをご紹介します。
いい質問をしないといい答えは返ってこない
ヒアリングは、コンサルタントにとって最も重要な現状把握の手段です。ここでの質の高さが、その後のプロジェクト全体の成否を左右すると言っても過言ではありません。優れたコンサルタントは、相手から本質的な情報を引き出す力を持っています。それは「いい質問をする相手にはいい答えを返してくれるもの」という原則があるからです。表面的な質問には表面的な回答しか返ってきません。
また、ヒアリングは、クライアントとの信頼関係を構築する最初の機会でもあります。準備不足で臨んだり、的外れな質問を繰り返したりすれば、その後の関係性に悪影響を及ぼします。ヒアリングはコンサルタントにとって、最も重要な局面なのです。
ヒアリングに必要なのは仮説に基づいたオープンクエスチョン
「何か困っていることはありますか」「現状について教えてください」といった漠然とした質問の仕方では、相手から有益な情報は得られません。回答の自由度は与えつつも、こちらの知りたいことを相手に理解させ、そこに焦点を当てつつ、いかに相手に「饒舌に」語らせるかがコンサルタントの腕の見せ所となります。
質問とは本来、仮説検証作業です。業界動向、クライアントの事業内容、競合状況などを事前に調査し、「おそらくこういう課題があるのではないか」という仮説を立ててからヒアリングに臨むことが大事です。その仮説を検証し、修正し、深掘りしていく過程で、真の課題が浮かび上がってきます。
仮説を持つことで、オープンクエスチョンにも方向性が生まれます。仮説があるからこそ「ここ数年、売上が伸び悩んでいますが、その要因についてどうお考えですか」といった具体的な問いかけができるようになり、相手も答えやすくなり、また答えづらいことにも答えざるを得なくなるのです。準備なしのオープンクエスチョンはありえない、と心得るべきでしょう。
アンケート調査票は逆算思考でつくる~先に欲しい報告書をイメージする
アンケート調査を実施する際、多くの方が質問項目の作成から始めてしまいます。しかし、これは効率的ではありません。効果的なアンケート設計は、逆算思考で始めます。
まず、「このアンケートから何を明らかにしたいのか」「最終的にどのような報告書を作成したいのか」を具体的にイメージしてください。報告書に必要なグラフや表、分析結果を先に描いてみるのです。そうすれば、それらを作成するために必要なデータが明確になり、自ずと必要な質問項目が見えてきます。
例えば、従業員満足度調査であれば、「部署別・年代別の満足度比較」「満足度と離職意向の相関分析」といった報告書のアウトプットを先に決めます。そこから逆算して、部署、年代、満足度、離職意向といった質問項目を設計するのです。この逆算アプローチにより、無駄な質問を減らし、本当に必要なデータだけを収集できます。
論理的思考力だけではアンケートは作れない~分析に耐えうるアンケートには深い知見が必要
アンケートを作成する際、漏れなくダブりのない選択肢の用意に注力しがちです。しかし、これだけでは実用的な選択肢は作れません。
実用的な選択肢に設計するには、対象となる事象についての深い知見が必要です。例えば、「離職理由」の選択肢を作るには、実際の離職理由にどのようなパターンがあるのか、業界や職種によってどう異なるのかといった知識が求められます。表面的な分類では、回答者が「その他」を選択せざるを得ず、有益なデータが得られません。
実務経験、先行研究、業界レポートなどから知見を蓄積し、現実に即した選択肢を用意することで、初めて分析に耐えうるデータが収集できます。
コンサルタント養成シリーズ~社内・外問わずコンサルティングに必要なスキルを習得する
本研修では、現状把握のための実践的な手法を、演習を通じて身につけることができます。社内プロジェクトでコンサルタントとしての役割を担う方、顧客へのソリューション提供でコンサルティング力が求められる方、リスキリングとしてコンサルティングスキルを習得したい方に最適な内容となっております。
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プロマネ養成シリーズ
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本研修では、ロジカルシンキングのフレームを学ぶだけでなく、思考法を実際にビジネスの現場で使えるようになっていただきます。また、ワークは具体的かつ身近なテーマで構成されており、研修が進むにつれて無理なくロジカルシンキングを身につけることができます。









