株式会社インソースコンサルティング

経営陣が「ワーク・ライフ・バランス」を重視すると組織が鈍化する理由~リーダーの熱量と密度が組織を動かす

まず、ここで言うワーク・ライフ・バランスとは、従業員のそれではない経営陣自身のワーク・ライフ・バランスを指します。

経営陣がほどほどに働くことを是とし、自身の仕事の優先順位を下げ始めると、たとえ当面は業績が好調でも、組織は徐々に市場での競争力を落とし、衰退していきます。

つまり、組織の推進力は、経営陣の熱量に大きく影響を受けるということです。

経営陣がゆるいと組織は衰退する~働きアリの法則に見るリーダーの本質

「働きアリの法則」をご存じでしょうか。集団の中では、常に2割が非常によく働き、6割が普通に働き、残りの2割はほとんど働かないというものです。

この法則は人間社会にも当てはまります。組織が衰退するのは、よく働く2割が「やや控えめ」になり、普通に働く6割が「ほどほど」で満足し始めて、全体が「ゆるく働く」組織になっていくときと言われています。

経営陣の影響力は絶大であり、経営者自身がゆるく働くと、その空気はあっという間に組織全体に伝播し、全体がゆるく働く組織になっていきます。

9パターンで見る組織の停滞構造~上司の働き方が全てを決める

上司と部下が、①よく働く、②普通に働く、③ゆるく働く場合のそれぞれ3つのパターンで考えてみます。

上司/部下 よく働く部下 普通に働く部下 ゆるく働く部下
よく働く上司 牽引型
高い目標を共に追い、成果も成長も最大化。熱量が伝播する。
成長促進型
上司の姿勢に刺激を受け、部下が徐々に活性化。中期的に組織が強くなる。
温度差型(危険)
上司が頑張っても部下がついてこない。やる気格差が摩擦を生む。
普通に働く上司 抑制型(危険)
部下の情熱を冷ます恐れ。上司が安全運転に偏ると挑戦が抑えられる。
安定維持型(危険)
波風は立たないが停滞リスク。現状維持の典型。
惰性型(超危険)
緩やかな沈下が始まる。危機感が共有されず変化に鈍感になる。
ゆるく働く上司 離脱型(危険)
部下が一時的に頑張るが上司が支えず燃え尽きる。離職・徒労感リスクがある。
緩慢型(超危険)
組織全体が低温化。成果より調和が優先される。
崩壊型(超危険)
上司も部下もぬるま湯。目的意識が失われ組織が惰性で回る。

上記のように、上司がよく働くことは、組織が生き残っていく上の生命線となります。

管理職に必須の任命要件~よく働く2割の熱源であること

よく働く者が一人もいない組織は、当然のごとく衰退します。この基準を「働きアリの法則」に当てはめてみれば、組織の中で、よく働く者を意識的に2割は作らないといけないということになります。前述のとおり、上司が熱源となってよく働かなくては、下に続く部下がよく働くことは難しくなります。

つまり、厳しい言い方にはなりますが、管理職を任命する際によく働くことは必須条件であり、管理職は、よく働けなくなった時点で、管理職としての責務を全うできなくなるということです。だからこそ、経営陣は「仕事に真摯であり、熱源となり続けられる人」を管理職に任命し、組織の熱量を保ち続けることが重要になります。

経営陣は4倍、管理職は2倍~仕事の「時間」ではなく「密度」で勝負する

ここで言うよく働くとは、単に長時間働くことを指しているわけではありません。「頭と体をフルに使い、成果を生む密度を高める」という意味です。

そして、経営陣や管理職の仕事は、特に成果で評価がされます。

意識としては、「管理職は、一般社員の2倍の思考力と行動密度で5倍の成果を上げる」「経営陣は、管理職のさらに2倍の熱量と覚悟で10倍の成果を生み出す」

こういった姿勢と行動密度こそが、組織を成長させる牽引力になっていきます。経営層が自ら必死で考え抜き、そのためのインプットとアウトプットの行動を繰り返し続けることで、初めて組織全体に挑戦と成長の空気が生まれていきます。

部下に「よく働け」と強要はできない~自ら燃える仕組みと風土が必要

誤解してはいけないのが、よく働くことを上司から部下に命じることは、もはや許されないということです。これは、近年では、経営陣が管理職に「もっと頑張れ」と圧をかけることすら、組織文化の歪みを生みかねず気を付けるべきとされています。また、上司からの指示だけでなく、「他の人も頑張っているのだから...」といった、組織や社会からの同調圧力による強要も、意識して取り除く必要があります。

普通に働くことは、給与に見合う責任であり義務と言えますが、よく働くことは、自由意志と覚悟の選択です。その意志を奪えば、働くことは義務だけになり、創造性も誇りも、自主性も失われてしまいます。つまり、経営陣の役割は、「よく働け」と管理職に求めることではなく、管理職自らが、よく働こうと思える組織を創っていくことであり、その意欲を引き出す仕組みと文化を整えることにあります。

管理職が、人の管理ではなく采配、強制ではなく共感によって組織を動かす

よく働く管理職は、部下を管理する人ではなく、采配する人です。また、部下一人ひとりの想いを汲み、共感をもって動かしていく人です。こういった行動により、よく働く従業員は増え、組織は自ずと自律的に動き始めます。上からの指示・命令ではなく、内発的動機による共感と共鳴。それが、組織を持続的に成長させるエネルギーとなります。

メンバーがよく働こうと思える「チャレンジ」「権限」「報酬」を戦略的に与える

人が働く際にまず必要なのは、評価や給与などの報酬です。しかし、人が本当に力を発揮するのは、自らの意志で働きたいと思えたときです。そのためには、報酬に加えて、挑戦できる機会(チャレンジ)と、自ら決めて動ける自由(権限)が欠かせません。

  • チャレンジ:責任ある課題に挑むことで、成長実感が生まれる
  • 権限:自らの判断で動けることで、当事者意識が高まる
  • 報酬:努力と成果が正当に報われることで、誇りと継続意欲が生まれる

この3要素がそろってこそ、管理職はよく働こうと心から思える。そして、その熱がまた次の層へ伝播し、組織の推進力となっていきます。

リーダーシップ研修~チャレンジングな姿勢と強かな変革力

リーダーに求められる「人を動かす」という機能は、「マネジメント」と「リーダーシップ」の2つの能力を掛け合わせたものとなります。「マネジメント」が仕組みや制度を通じて人を動かすものであるのに対し、「リーダーシップ」は熱い想いや行動する姿勢をもって人を動かすものとなります。
この「リーダーシップ」を発揮するためには、変化を恐れず、困難にも怯まない強かなマインドが求められますが、それを支えるのは、「自分が何とかしなければ」という「問題意識」と「当事者意識」です。本研修では、組織を束ねる立場にあるリーダー層を対象に、リーダーが持つべき要件について、理解を深めていただくとともに、それを習得するためのヒントを探っていきます。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 組織のメンバーをしっかりと率いていくことが求められている
  • 最近、自分が守りの姿勢に入っているため、何とか打破したいと感じる
  • 自分より上のリーダー陣を見ると「どうすればそんなに頑張れるようになるのだろうか」と思う

本研修の目標

  • リーダーシップの本質とそれを構成する要素が分かる
  • リーダーとしての行動を支える「高い問題意識」について理解が深まる
  • 具体的にリーダーシップのある人がどのような行動をするのかが分かる

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セットでおすすめの研修・サービス

【偉人に学ぶ】人を動かす思考と姿勢~上杉鷹山に学ぶリーダーの在り方

上杉鷹山は、第35代米国大統領J・F・ケネディが「最も尊敬する日本人」と賞賛した人物です。貧窮に喘いでいた米沢藩の財政を再建し、奇跡的な繁栄をもたらした日本を代表する名指導者と言われています。本研修では、史実に基づく様々なエピソードから上杉鷹山の思想や姿勢、組織と人のマネジメントについて学びます。

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適性アセスメントgiraffe

giraffe[ジラフ]は、一人ひとりの特性を「見える化」する適性検査(アセスメントツール)です。測定項目のひとつに個人の熱量(=ENERGY)があり、本コラムで紹介した「リーダーに求められる熱量」を客観的に把握することができます。
また、本ツールを活用することで、自社で活躍している人材の特性や組織全体の傾向を分析し、そこから今後必要となる人材像・リーダー像を明確化することが可能です。

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360度評価アセスメント

ビジネスパーソンに求められる人格について、考える場を提供する研修・サービスのラインナップです。ルールで明確に規制されてはいないものの、倫理的にやってはいけないことが世のなかには多くあります。そのときに何を判断基準として行動していけばよいかを考えます。

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