インナーブランディングは究極の従業員エンゲージメント策である
従業員にとっての自社ブランドへの愛着とは
昨今では、「愛社精神」などという言葉は滅多に耳にすることが無くなり、特に若い人たちにとっては死語に近いものとして受け取られているかもしれません。本来、愛社精神とは、自分が属する企業を愛し、仕事に誇りを持つことであり、決して滅私奉公のような息苦しさを伴うものではありませんでした。今風に言えば、「従業員エンゲージメント」に近いものであり、基本的には望ましいものといえるでしょう。
ただ、会社という「組織」に全面的に身を捧げるような響きにどことなく違和感を覚えるところがあるのも確かです。ならば、「会社」ではなく「ブランド」に置き換えて考えてみるとどうでしょう。もっと素直に「好きだ」といえるのではないでしょうか。ただし、本当にそのブランドに共感を覚えていることが大前提となりますが。
ブランド継承の難しさと組織の課題
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多くの企業においてブランドは、創業者や中興の祖といった存在感の強いトップの価値観を色濃く反映したものとなっています。彼ら彼女らの情熱やビジョンが製品やサービスに込められ、それが顧客に伝わることでブランド価値が形成されてきました。
しかし、組織が成長し、従業員数が増え、事業領域が広がっていくにつれて、創業当初の理念や価値観が希薄になってしまうことが少なくありません。新しく入社した社員は、ブランドの背景にある物語や大切にすべき価値観を十分に理解しないまま、「表層的に」業務を行いがちです。その結果、ブランドイメージに一貫性が失われ、顧客との接点において本来ブランドが表現したかったものとは異なるものとして伝わってしまうことになるのです。
従業員参加型のブランド戦略策定がもたらす効果
こうした「ブランドの背景や価値観が十分に理解されていない」という課題を解消するためには、従業員が主体的にブランドを理解し、自分事として捉えられる仕組みが欠かせません。
その有効なアプローチの一つが、従業員が集まって自社のブランド戦略を議論するワークショップ形式の取り組みです。トップダウンで理念を伝達するだけでなく、従業員自らが議論に参加することで、以下のような効果が期待できます。
ブランドの言語化と定義の共有
漠然としていたブランドイメージを、従業員同士で議論しながら言葉にしていくプロセスそのものに価値があります。「私たちのブランドとは何か」「どんな価値を提供しているのか」を言語化することで、組織全体で共通認識を持つことができます。
自分事化の促進
自ら考え、意見を出し合う過程を経ることで、ブランド戦略は「会社から与えられたもの」ではなく「自分たちで作り上げたもの」に変わります。この自分事化が、日々の業務における行動変容につながります。
部門を超えた相互理解
製造部門、営業部門、管理部門など、異なる立場の従業員が一堂に会して議論することで、それぞれの視点からブランドを捉え直すことができます。部門間の相互理解が深まり、組織全体でブランドを支える土台が形成されます。
インナーブランディングによる組織変革
こうした取り組みを通じてインナーブランディングが浸透すると、作り手も売り手もすべての従業員がブランドの体現者となります。製品開発では「このブランドらしさとは何か」が判断基準となり、営業現場では一貫したメッセージを自信を持って伝えられるようになります。
それと同時に、従業員はそのブランドに誇りを覚えるようになり、そのブランドを守り、さまざまな形に昇華させていこうと考えるようになります。これはまさに、究極の従業員エンゲージメントが実現された状態といえるのではないでしょうか。
ブランド戦略の浸透は一朝一夕には実現しません。しかし、従業員参加型の議論を重ね、具体的な浸透策を共に考えていくことで、ブランドは組織に根付き、普遍的な価値として継承されていきます。
ブランド戦略策定ワークセッション(2日間)
インソースでは、ブランド戦略の策定から組織への浸透まで、従業員参加型のワークセッション形式で支援しています。
経験豊富なファシリテーターが、皆さまの組織に合わせたプログラムを設計し、ブランド戦略の言語化・定義づけ・浸透施策の立案をお手伝いします。ブランド継承や組織への浸透にお悩みの際は、ぜひご相談ください。
よくあるお悩み・ニーズ
- 自社のブランド力が競合と比べて弱いと感じている
- 自社のカラーが宣伝広告やWebページに上手く反映できていない
- 効果的なブランドの設計や展開の方法が分からない
本研修の目標
- 自組織のブランドの実態を客観的に可視化することができる
- 自組織のブランド・アイデンティティを文字化することができる
- ブランド戦略の展開手段を具体化することができる
セットでおすすめの研修・サービス
ブランディング基礎研修~一貫した戦略と戦術で、顧客目線の価値を高める
経営戦略としてのブランディングの重要性を理解し、具体的な手法を実例とともに学ぶ研修です。経営幹部クラスの方にこそ受講いただきたいプログラムです。
一方で、顧客と相対する営業担当から、ホームページをデザインするスタッフまで、自社のブランドに対する理解無しには、適切な仕事はできません。その意味では、実務に携わる人にこそ受けていただくべきプログラムともいえます。ワークショップに望む前に受講いただくのもお勧めです。
経営戦略研修~勝ち筋を描くフレームワークの習得
ブランディングは経営戦略の一環として位置付けられます。
本研修で経営戦略のあるべき姿を学んだ上で、ブランディングのワークショップに望むのも有意義でしょう。
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(半日研修)ワーク・エンゲージメント向上研修~いきいきと働くための個人と組織の取り組み
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いきいきと働くことで生産性向上を図る「ワーク・エンゲージメント」をテーマにした研修です。個人と組織の両面から考えるエンゲージメントのあり方が学べます。



