【人事担当者の声】Z世代、シニア人材の現状

組織が抱えるシニア人材・Ｚ世代の課題

今回、2025年２月に全国の企業人事担当者58社を対象としたアンケート調査を実施しました。アンケート結果から、シニア人材とＺ世代の現状を分析します。

活躍度について分かれる評価

Ｚ世代、シニア人材の組織内での活躍度についての質問では、「期待通りに活躍している」という回答がＺ世代では70%、シニア人材では59%とどちらも最多回答となりました。Ｚ世代とシニア人材では、Z世代の方がシニア人材よりも期待通りに活躍しているという結果となりました。しかし一方で、「期待には少し届いていないと思う」という回答もＺ世代では21％、シニア人材では29％と一定数あり、組織内での活躍に課題を抱えている組織も見受けられます。（図１、２参照）

意外だが、Ｚ世代の離職率は他世代と同水準

Ｚ世代の離職率に関する質問では、「他世代と変わらない」（52％）という回答が最多となり、次いで「他の世代より明らかに高い」（45％）となりました。一般的に「すぐに辞める」というイメージがありますが、必ずしもＺ世代の離職率が高いとは言い切れない結果となりました。（図３参照）

Ｚ世代は指示通りに動くことが得意

Ｚ世代の傾向についての質問では、「指示通りに行うのは得意だが、自ら考えて動くのが苦手」（35％）「自己承認欲求が高い」（34％）という回答が多く、与えられた指示には、真面目に取り組み、きちんとしたものを作り上げる傾向があります。（図４参照）

Ｚ世代は自分にとって関心・意義のある仕事をしたい

また、Ｚ世代のモチベーション・キャリアの傾向として、「仕事そのものの面白さや専門性の向上」（36％）「ワークライフバランスの実現」（36％）という回答が多く寄せられました。しかし一方で「自由度の高い働き方への実現」には関心度が低く、プライベートとの両立は望むものの、自分らしい働き方を見つけて、自分にとって意義のある仕事への関心が高い傾向にあることがうかがえます。（図５参照）

シニア人材は定年後もこれまでと同じ仕事を希望する

シニア人材の定年後に想定される業務として、「定年前と同じ仕事をしている」（55％）という回答が最多となりました。長年培ってきた専門知識や経験が、組織にとって貴重な資産となっていることがうかがえます。（図６参照）

シニア人材はデジタルスキルを習得し活躍の幅を広げる

シニア人材に対するリスキリングとして、デジタルスキルの習得については、「あまり意欲的でない」（41％）という回答が多いものの、意欲的に捉える方との差はそれほど大きくない結果となりました。デジタルスキルへの抵抗があるというイメージがある中で、シニア人材もデジタルスキルの習得に前向きな方が多いのが現状です。

また、デジタルスキル習得によって活躍の場が広がるかという質問では、「大いに広がる」「ある程度広がる」と考える方が多くなりました。シニア人材に対してもデジタルスキル習得の場を設けることで、自信をつけ、新たな活躍への一歩となるでしょう。（図７参照）

文／網中彩乃

グループコンテンツ開発本部クリエイティブ事業部　チーフクリエーター
関西学院大学社会学部卒
金融機関に入社し、法人営業に携わる。2018年にインソースに入社し、官公庁にて研修委託業務の担当を経て現職。コンテンツ開発業務の傍ら、教育体系構築やマニュアル作成などのコンサルティング業務も兼務

本コラム掲載号の記事一覧

Webで読む

冊子版ダウンロード

2025 AUTUMN

Vol.16 Z世代・シニアと向き合う

Vol.16は、「Z世代・シニア人材」がテーマです。価値観の多様化が進むZ世代の育成やシニア人材の活用に課題を抱える企業も少なくありません。本誌では、人事アンケートから見るZ世代、シニア人材の現状をご紹介します。また、Z世代の特徴を踏まえた育成方法やシニア層へのアンケートを通してシニア人材のリスキリング戦略をお伝えします。