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ENERGY vol.13(2024年春号)掲載

PICKUP

「リスキリング」でベテラン人材の活性化ー企業成長の鍵はスキルアップ投資

人事部長の悩みのタネは費用対効果の悪いベテラン社員

仕事柄、経営者や人事部門のトップとお会いする事が多いのですが、伝統的な大企業ではベテランの活性化が悩みのタネとなっています。年功序列の給与体系により、業務貢献度にかかわらず給与が高く、加えて、法律により65歳まで定年延長が義務付けられています。
「どうすればベテランは給与に見合う働きをしてくれるのか」とのお悩みに対し、「大丈夫です。策はあります。私も今年60歳です」とお答えしています。

ベテラン人材の活性化は小さなスキル強化から

●小さなスキルアップがベテランを変える

ベテランが簡単かつ実用的なMicrosoft OfficeやChatGPTにほんの少し強くなることで自信になり、再度活躍する大きな一歩につながります。
私の経験で恐縮ですが、最近社内のリスキリング教育で「PowerPointレベルアップ講座」を受講しました。今まで漫然とパワーポイントで資料を作っていましたが、インデントの使い方を覚え、美しく清書するために秘書の手を借りる必要がなくなりました。パワポのスキルがほんの少しですが向上し、一人で完結できることで、面倒なオヤジが卒業でき、作りたい資料も増えました。

●リスキリングはベテランに配慮したスピードやサポートが重要

元SEの私でも、若手と同じITツールの操作研修を受けた際はついていけず愕然としました。ベテランの不安を払しょくし、リスキリングをスムーズに進めるには、年齢や職務経験を考慮した教育のスピードが必要です。
当社の公開講座で実施中の「ゆっくりExcel研修」などベテラン層向けのDXスキル研修は大変好評で、大幅に受講者が増加しています。小さな一歩が自信と積極性を生んでいます。

ベテラン人材を社内コンサル・戦略スタッフ化する

●ベテラン人材はコンサルタントスキルをほぼ持っている

新たな知見の導入や戦略スタッフの人手不足を補うために、高額な外部コンサルタントを導入する企業が増えています。
コンサルタントの仕事は、フレームワークを活用し、現状の課題を整理し、自らの知見を加えて文書化する仕事が大半です。自社の現状を知り、その仕事の進め方、社内カルチャーを熟知し、高い知見を有するベテランはコンサルタントに必要なスキルをほぼ持っています。

●フレームワーク活用力を強化~社内コンサル・戦略スタッフ化

そこでリスキリングの一環で、業務改善、リスク管理などの分野でフレームワークを活用し整理するノウハウを身につければ、業務コンサルタントや戦略スタッフとして活躍できると考えます。
ベテランが新たな切り口で若手にアドバイスできれば、ベテランにとっては仕事のやりがいにつながり、企業にとっては外注費の削減が可能となり一石二鳥です。

デジタル人材不足をベテラン活用で埋める~生成AIはベテランの味方

●ぐっと身近になったDXツールと教育~AIからExcel+ChatGPTへ

DX推進が強く求められて数年が経過する中、DX推進のツールや教育も大きく変化しています。DX化が叫ばれた当初は、AIブームで理系人材をデータサイエンティストやAIエンジニアにする教育が求められました。これが第一段階。
次はプログラミングブームが到来し、若手社員にPythonなどプログラミングスキル強化の教育も求められるようになりました。これが第二段階。
そして現在、第三段階は幅広い層に対しExcelやPowerPoint活用や生成AIであるChatGPT活用教育が求められ、より簡便で実用的なDXスキルが重要視されています。

●ChatGPTの出現でベテランにチャンス到来~誰もがシステム開発可能に!

生成AIの一般化はベテラン人材にとって大きなチャンスです。昨今話題のChatGPT有料版は日本語の箇条書きで指示を与えると、Pythonコードを自動的に作ってくれる機能があります。
最近私はChatGPTでデータを自動取得し、Excelで作った顧客リストに企業情報を付加してマーケティング資料を作成するプログラムを作成しました。従来ならシステム部門に依頼して作成してもらっていたレベルのシステムが、数時間で自分で作成できるのは驚きです。(当社で実施している「ChatGPT×Pythonプログラミング研修(5日間)」で覚えられる程度の知識で可能です)

●ベテラン+ChatGPTでDX化は大幅にスピードアップ

業務をDX化する際に重要なのは、業務要件を整理してシステム化する内容を記述することです。業務をよくわかっていない若手や外部のコンサルならこの作業に時間がかかりますが、業務知識が豊富なベテランなら、容易かつ短時間で実施できます。ベテランがChatGPTを活用してシステム化をしていけば、DX推進は飛躍的にスピードアップすると考えます。

ベテラン人材への教育投資を!

労働力不足の中、ベテラン人材の活躍なしには企業成長はありません。ベテランの持つ組織への強い貢献意欲、高い洞察力、深い業務知識の上にDXスキルを身につけてもらえば、超絶スーパー優秀人材の出来上がりです。
ぜひ、新卒、中途採用にかける多額の費用の10分の1でもベテランのリスキリング教育投資にかけていただきたいと考えます。投資対効果は絶大です。私もベテラン社員の一人として経営者さま、人事部長さまにお願い申し上げます。

文/舟橋 孝之

インソース代表取締役執行役員社長。神戸大学経営学部商学科卒。三和銀行(現:三菱UFJ銀行)に入行。システム開発部門や個人向け商品開発を担当。写真関係のベンチャー企業を経て、2003年に社会人教育事業のインソースを創業、2017年東証1部上場。年間研修実施回数2万9千回、受講者数74万人のインソース創業者。

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2024 SPRING

Vol.13 リスキリングの今

vol.13は「リスキング」がテーマです。ビジネスパーソンへの教育で今注目されている「リスキング」。激動の時代に対応するためにも、組織が理想とするリスキングを確立させていくことが求められます。 本誌では、組織、個人、人事・研修担当それぞれがリスキングをどのように捉えているのか、アンケート調査などから浮き彫りにしていきます。

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2024 SUMMER

Vol.14 使えるアセスメント

vol.14は「アセスメント」がテーマです。 人的資本経営の注目により「人」の価値を引き出すことが重視されるようになりました。 客観的に評価・分析することができるアセスメントを活用することで多様な人材が活躍できる人事戦略に役立てることができます。 本誌では、採用、管理職育成など様々な場面でのアセスメント活用方法についてご紹介しております。

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