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店舗掃除のしかたと指導法~「掃除をやる」から「キレイにする」意識へ

店舗に入った瞬間に感じる清潔感は、顧客がその店を信頼できるかどうかを判断する重要な要素のひとつです。

どんなに商品や接客が良くても、床がくすんでいたり、棚にほこりが残っていたりすると印象は大きく損なわれます。

その一方で、日々の清掃を担当するのは多くの場合、アルバイトスタッフです。限られた時間で効率よく掃除を進めるには、「掃除をやる」という作業意識ではなく、「キレイにする」という目的意識が欠かせません。

本記事では、店長がスタッフに正しい掃除の仕方を伝えるポイントと、清掃を教育の一環として位置づけるための考え方を解説します。

掃除はただやればよいものではない!~目的意識を変えるための言語化

作業としての掃除は続かない

「掃除しておいて」と指示しても、スタッフによってその結果に差が出るのはよくあることです。これは「掃除=作業」として認識されているために起こるもの。何のための清掃なのか、その目的があいまいなままでは、どの程度まで仕上げればよいかわからず、結果的に「やった」だけで終わってしまいます。

たとえば、床をモップで軽くなぞっただけで満足してしまったり、テーブルを拭いた後に端にほこりが残っているのに気づかないケースなど、過去になかったでしょうか。

もし、あなたがその状況に「○○さんはいつも掃除をサボっている」などというような不満を感じているようなら、それはあなたの求める「キレイにする」という基準が共有されていないことが原因かもしれません。

「キレイ」の基準を言語化する

店長がすべきは、「どの状態をキレイと呼ぶのか」を明確にすることです。たとえば、以下のような具体的な基準を提示します。

  • 床は黒ずみやざらつき、べたつきや水拭き後のムラがない状態
  • 棚やカウンターは手で触れてもほこりがつかない状態
  • ガラスは指紋が目立たない状態

このように、結果をイメージできる表現で共有することで、スタッフの意識が「作業」から「目的」へと変わります。店長自身が「この状態がキレイ」と示すことが、清掃教育の最初の一歩です。

掃除の基本は「上から下に向かって」~効率と品質を両立させる

正しい順序を教える意味 できないのではなく、基本を知らないだけ

掃除の基本原則として、「上から下に向かって」行うことが重要です。たとえば照明器具や棚の上などを先に拭かないまま床掃除をしてしまうと、後で上のほこりが落ちて再び汚れてしまいます。

こうした原則を理解していないと、どれだけ時間をかけても清掃効果は上がりません。店長は作業の順番にも意味があることを丁寧に説明し、根拠をもって伝えることが求められます。

スタッフ教育における3ステップ指導

1.やって見せる

店長やベテランスタッフが実際に清掃手順を行いながら、動作の理由を説明します。たとえば、「ここを先に拭くのは、後でホコリが落ちてくるから」「テーブル用と床用で、ダスターや洗剤は違う」と伝えると理解が深まります。

2.一緒にやる

次に、スタッフと一緒に作業を進めながら、ポイントを確認します。「ここは少し力を入れると汚れが取れやすい」「シミがとれないときはクロスを廃棄して、新しいものに取り換える」といった具体的なアドバイスを交えると、実践力が高まります。

3.任せてみる

最後に、一人で掃除を任せてみます。その際、チェックリストを活用し、完了後に振り返りを実施することで、品質を一定に保つことができます。

このステップを踏むことで、掃除は単なる雑務ではなく、「店舗運営の一部」であるという認識が自然に浸透します。

掃除はチームづくりの土台~信頼と責任感を育てる

店長が率先して動くことで、意識が変わる

店長自身がクリンリネスに関わる姿勢を見せることで、スタッフの行動も変わります。清掃指示だけを出すのではなく、自ら動いて基準を体現することが教育効果を高めるのです。

たとえば、開店前の10分間だけでも一緒に作業することで、スタッフの「自分も頑張ろう」という意識が自然に芽生えます。店長が背中で示すことが、何よりの教育になります。

きれいな店舗がもたらす成果

  • 顧客満足度の向上(安心感・信頼感の醸成)
  • 従業員の職場満足度の向上(働きやすい環境)
  • 店舗全体のチームワーク強化(共通目標の共有)

清潔な店舗は「人や商品が大切にされている場所」という印象を与えます。つまり、掃除の徹底は店舗のブランド価値そのものを高める投資といえます。

掃除教育を仕組み化する~マニュアルとチェックリストの活用

教育を属人化させない

新しいスタッフが入るたびに店長が一から教えていては、教育負担が大きくなります。そこで有効なのが、掃除マニュアルとチェックリストの整備です。マニュアルには、掃除の順番、使用する道具、チェック項目を写真付きで明示し、だれが見ても同じ手順で進められるようにしましょう。

チェックリストで品質を可視化

清掃後にチェックリストを確認する習慣をつくると、スタッフの意識が「終わった」から「できた」に変わります。店長は定期的に確認し、達成度を共有することで、清掃の質を維持できます。

また、優れた清掃を行ったスタッフを評価する仕組みを設ければ、モチベーション向上にもつながります。

まとめ~掃除は「売上を支える教育の一部」

掃除は単なる雑務ではなく、顧客体験を支える重要な教育テーマです。「掃除をやる」から「キレイにする」へと意識を転換し、スタッフ全員で清潔な店舗を維持することが、顧客満足度と売上向上に良い影響を及ぼします。

店長は、基準を明確に示し、手本を見せ、仕組みで支える。この3つを徹底することで、店舗の清掃レベルだけでなく、チーム全体の成熟度も確実に高まります。

職場環境の改善・活性化講座~5S活用編

5Sとは、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seisou)、清潔(Seiketsu)、躾(Shitsuke)の5つの頭文字をとったものです。事故が発生しない職場や生産性の高い職場づくりをしていくうえで、まずは従業員一人一人が小さな改善意識を持ち、実行することが欠かせません。

本動画では、問題点の洗い出しから改善活動の定着化まで、5Sを用いた改善の基本を学びます。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 必要な書類を探すのに時間がかかってしまうことがよくあるので、これをどうにかしたい
  • 生産性を高めたいが、何から手をつけてよいかがわからない。大きな取り組みを始めるには抵抗がある
  • ムダをなくして業務効率化を図る5S活動を推進する方法を知りたい

本研修のゴール

  1. 整理・整頓などの当たり前のことを自身の業務に落とし込んで実践できる
  2. 職場環境改善、業務改善の手順や目的を正しく理解し、職場で使える行動計画を策定できる
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