デジタル時代の上級管理職は「部門経営者」であれ。未来から逆算し、迷いを確信に変える成長戦略の描き方
上級管理職にはこれまで以上に高度で抽象度の高い判断が求められています。既存事業を守りながら新たな成長の種を見つけ、部門を将来へ導く責任がある一方で、正解が見えにくく、相談相手も限られるという悩みを抱える方は少なくありません。
本記事では、これからの事業成長にはデジタルが不可欠であること、また、常識が簡単に書き変ってしまう、環境の変化の激しい時代であることから、今の時代を「デジタル時代」と呼びます。「上級管理職は部門経営者である」という視点から、デジタル時代の上級管理職特有の悩みを整理し、明日から何を考え、何に向き合うべきかを具体的に解説します。
デジタル時代に上級管理職が抱えやすい悩み
【悩み】現場の最適と経営の最適が一致しなくなっている
現場レベルでの改善や効率化が、必ずしも中長期の成長につながらないケースが増えています。現場は成果を出しているにもかかわらず、事業全体としては将来性に不安が残る。このギャップに判断の難しさを感じている上級管理職は多いのではないでしょうか。
【悩み】デジタルを題材にした議論は抽象化しやすい
DX、データ活用、AIといった言葉は飛び交うものの、「自部門として何を選び、何を捨てるのか」まで落とし込めていないケースが見られます。その結果、方向性を示せないまま時間だけが過ぎていくことへの焦りが生まれます。
【悩み】誰にも相談できず、決断を一人で抱え込んでしまう
上級管理職になるほど、弱音や迷いを表に出しづらくなります。しかし、デジタル時代の意思決定は不確実性が高く、これまでの経験則だけでは判断しきれません。この「孤独な決断」が、精神的な負担となっている方も多いのではないでしょうか。
上級管理職は「部門経営者」であるという視点を持つ~3つの視点
こうした悩みの根底には、役割認識の変化があります。デジタル時代の上級管理職には、単なる管理者ではなく、明確に部門経営者としての視座が求められます。
1.過去の延長ではなく、未来から逆算する視点
これまでの成功体験が次の成長を保証するとは限りません。自部門が10年後も価値を生み続けるために、どの市場で、どの顧客に、どのような価値を提供するのかを考える必要があります。
2.「続ける」判断と「やめる」判断を同時に持つ視点
収益を上げている事業であっても、将来性が乏しければ見直しが必要です。一方で、小さくても成長余地のある領域には早期投資の決断が求められます。
3.自部門の強みを再定義する視点
デジタル時代では、技術そのものよりも「自社ならではの強み」との掛け合わせが重要です。人材、データ、顧客基盤、業務プロセスなど、自部門の資産をどう活かすかを改めて整理することが、戦略の出発点となります。
成長戦略を描くための実践ステップ
成長戦略は、描いただけでは意味がありません。部門内で共有し、共通言語として浸透させ、行動につなげることが不可欠です。そのためには、上級管理職自身が腹落ちし、自分の言葉で語れる状態をつくることが重要です。
現状の事業ポートフォリオを可視化する
まずは自部門の事業や取り組みを俯瞰し、収益性・成長性・将来の競争優位性といった軸で整理します。これにより、何に時間と人を投下すべきかが明確になります。
デジタルを「手段」として位置づける
デジタルは目的ではなく手段です。業務効率化なのか、新たな顧客価値創出なのか、事業モデル転換なのかを明確にし、必要な施策を選択します。
小さく試し、学びながら修正する
完璧な計画を立て切ってから動くよりも、小さく試し、結果を見ながら修正する姿勢が重要です。この積み重ねが、組織に学習文化と変化への耐性を根づかせます。
まとめ:戦略を描くだけで終わらせないために
デジタル化によってビジネスの賞味期限が短くなる中、上級管理職に求められるのは、現場の延長線上にはない「非連続な成長」を描くことです。しかし、不確実性の高い未来を予測し、孤独の中で決断を下すことは容易ではありません。
だからこそ重要なのが、戦略を頭の中だけで完結させず、あえて「言語化」し、他者との「対話」を通じてその解像度を高めるプロセスです。自分の考えを言葉にし、異なる視点を持つ相手と議論することで初めて、独りよがりではない、周囲が納得できる「生きた戦略」が生まれます。
多忙な日常業務の中では、こうした「思考のための余白」を確保することは難しいかもしれません。しかし、一歩引いた視点から自部門を見つめ直し、自身の迷いを客観視する時間こそが、部門経営者としての視座を養う最短ルートとなるはずです。
変化の時代の上級管理職研修~部門経営者としての成長戦略の構想
上級管理職の皆様の悩みや課題を踏まえ、本研修では、デジタル時代の環境変化を整理したうえで、自部門の成長戦略を構想し、事業ポートフォリオの考え方や、意思決定の視点を実践的に学びます。
同じ立場の受講者同士で議論することで、自身の考えを客観視し、視野を広げることができます。日々の意思決定に迷いを感じている方、自部門の将来像を改めて描き直したい方にとって、戦略を考えるための「立ち止まる時間」と「考える軸」を得られる内容となっています。
よくあるお悩み・ニーズ
- デジタルを起点とする環境変化が自事業にどのような影響を及ぼすのか知りたい
- どのようにすればイノベーションが生み出せるのか知りたい
- 既存事業と新規事業をどのように並行して進めるべきか悩ましい
本研修のゴール
- デジタルを活用した新規事業開発の進め方を理解する
- DXを通じた既存事業の価値向上のポイントをおさえる
- ポートフォリオ経営の進め方が分かる
セットでおすすめの研修・サービス
名著から学ぶ経営戦略シリーズ
本シリーズは、次世代経営者を目指す人材を対象とし、事前に課題図書をお読みいただいたうえで、読書会形式で議論を重ねていくシリーズです。
研修においては、講師から内容や用語、戦略の本質などを説明した後、書籍からの学びを現場に持ち帰るためのワークに取り組んでいただきます。経営戦略の名著と呼ばれる書籍から、経営者としての判断軸やマインドを学び、知見を深めることができます。
人材アセスメントサービス「階層別テスト(上級管理職向け)」
「階層別テスト」は、当社がこれまで実施してきました研修等に基づき、各階層の社員に求められるスキルや能力を洗い出し、数値化するアセスメントサービスです。上級管理職向けテストでは、「組織運営を担う立場として組織内外の状況を鑑みた判断ができる」かどうかを、基礎知識と活用力の2軸で判断します。
自身の強み・弱みを把握するだけでなく、全国平均得点率も同時に表示されるため、自身の立ち位置と比較することも可能です。
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