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ROIC向上は会社のたしなみ?
3分で分かる企業価値向上

近年「ROIC経営」「資本コスト経営」「企業価値向上」といった言葉が多く聞かれるようになりました。一方で、これらの言葉を整理し、業務に落とし込めている方はまだまだ少ないのではないでしょうか。

本ページでは、ROICの「What」「Why」「How」について、数字や専門用語をできるかぎり省き、3分で分かりやすく説明します。

  • What~そもそも、ROICとは何なのか?
  • Why~なぜROICを高める必要があるのか?
  • How~どうやってROICを高めるのか?

ROICについてスマートに説明できれば、上司や同僚に一目置かれることでしょう。

Q1.What:そもそも、ROICとは何なのか?

A1.会社が効率的に利益を上げているかどうかを評価する指標

ROIC(Return on Invested Capital)は、「投下資本利益率」と訳されます。簡単に言えば、「会社が持っているお金や借りたお金を、どれだけうまく使って利益を生み出しているか」を示す指標です。

ROIC(投下資本利益率) = 税引後営業利益 ÷ 投下資本

例えば、1,000万円を使って、A社は年間100万円の利益を出し、B社は300万円の利益を出しているとします。この場合、同じ投下資本でより多くの利益を上げているB社の方が「お金の使い方が上手」といえます。

Q2.Why:なぜROICを高める必要があるのか?

A2.銀行や株主の期待に応え、企業価値を高めるため

ROICが高いということは、会社が少ない資本で多くの利益を上げている、つまり高い資本リターンを得ているということです。これは、会社に資本を提供する銀行や株主が「この会社は効率よく儲けている」と評価するポイントになります。

会社は銀行や株主から資本を調達し、運用することでビジネス活動を行い、資本リターンを源泉として利息や配当を支払います。これらは資金調達のために必要なコスト、つまり「資本コスト」です。資本コストを上回る資本リターンを稼ぐことで、会社の資本を増やし、企業価値を高めることができます。

逆に、資本コストより資本リターンが低い場合は、会社はお金を非効率に使っていることになります。企業価値を損なうだけでなく、投資家からの信頼を失う可能性もあります。

つまり、ROIC向上は、稼ぐ力の強化や持続的な成長、投資家からの信頼を得るために欠かせない「会社のたしなみ」なのです。

Q3.How:どうやってROICを高めるのか?

A3.資産をうまく使って、売上・利益をあげる

ROICは「利益」と「投下資本」のバランスで決まります。したがって、ROICを高めるには、主に以下の2つの方法があります。

  1. ①利益を増やす
  2. ②投下資本を減らす

要するに、「利益を上げつつ、無駄を減らす」ことです。これがROICを高めるシンプルかつ本質的な考え方です。

また、「利益」と「投下資本」は、もっと細かく分解することもできます。

製造業の例

ROIC改善策の例

  • 売上を増やす
  • 売上原価・販管費・一般管理費を減らす
  • 売上債権を減らす(入金を早める・現金決済にする)
  • 棚卸資産を減らす(過剰在庫を適正化する)
  • 仕入債務を増やす(支払を遅らせる)
  • 固定資産を減らす(使わない固定資産を売却する、投資の優先順位を見直す)

ROICを構成する数字を分解すると、必ずどこかの部門が、何らかの形でかかわっており、何かしらの打ち手を考えられるものであることが分かります。現場の業務一つひとつがROICのどの数字につながるのか、どうすれば数字を改善できるのかを考え、実践することが大切です。

ROICを正しく理解し説明できること、ROICを意識して利益貢献ができることはビジネスパーソンとしての大きな強みになります。数字や財務に苦手意識がある人も、このページを通じて 「なるほど、ROICとはこういうことか」とご理解いただけましたら幸いです。

企業価値向上研修~ROIC・WACCから見る「稼ぐ力」の高め方

売上や利益の重要性は広く認識されている一方で、貸借対照表やキャッシュ・フロー計算書といった財務三表を踏まえた資本利益率の改善については、現場レベルでの理解・実践が進んでいないという課題が多く見られます。

本研修では、財務三表の基礎を踏まえたうえで、資本コスト経営の意義や財務分析指標の活用方法を学びます。経年・競合比較を通して自社の課題を俯瞰し、中長期的な企業価値向上に向けた改善策を自ら考える力を養います。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 企業価値の最大化に欠かせない「ファイナンス思考」が足りないと感じる
  • 知識をアップデートし、中長期的な発展に資する戦略を立てられるようになりたい
  • 全社を挙げて資本効率の改善に取り組むために、中核人材のマインドセットをしたい

本研修の目標

  • 主要な財務分析指標を学び、財務三表を読みこなす判断軸を養う
  • 企業価値向上の重要性を背景から理解し、自社の役割を認識する
  • フレームワーク(ROIC、WACC、ROICスプレッド)を習得する
  • 資本利益率および企業価値向上の観点から自社を分析し、改善策を提案できる

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セットでおすすめの研修・サービス

意思決定会計研修~投資の採算性を判断するための経済性分析(1日間)

投資の意思決定には、フレームワークの理解だけでなく、前提条件を見極める力や状況に応じて分析手法を使い分けるスキルが求められます。実務では、複数の投資案が相互に影響を与える場合もあり、常に最適解が変動するためです。

本研修では、管理会計や経済性分析の基本から丁寧に学び、多様なケーススタディを通じて実践力を養います。単なる知識習得にとどまらず、現場で使える判断力の向上を目指します。

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ROICを経営指標として導入する企業は増えていますが、その意義が現場に十分浸透せず、部門レベルでの実践に苦戦している企業も多く見られます。指標の理解と活用のギャップが、全社的な経営改善の障壁となっています。

本研修では、ROICツリーとポートフォリオマネジメントの理解を深め、自社・自部門に当てはめた課題抽出と改善策の検討を行います。シミュレーションとディスカッションを通じて、経営視点での意思決定力を養い、企業価値向上に直結する行動を促します。

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