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ネガティブ思考な部下の指導にはナラティブ・アプローチ~5ステップで解決へ向かわせる

部下に「内気な性格なのでリーダーに向いていない」「他のメンバーから支持されていない」などの相談を受けたことはありませんか。上司の方のお悩みとして「そういった部下の悩みにどのように応えたらよいのかわからない」との声をよくいただきます。

部下を主体的に解決に向かわせる「ナラティブ・アプローチ」

問題を前向きに捉え行動するように促す手法の1つに、ナラティブ・アプローチがあります。ナラティブ(narrative)は、「物語」と訳される言葉です。ナラティブ・アプローチは、相談者に悩みや不満などを「物語」として語ってもらい、問題の原因を自覚させることで、主体的に解決へと向かわせる支援活動です。1990年代に臨床心理学の分野で活用されており、近年では医療にとどまらず、介護や教育、ビジネス全般でも応用されています。

後ろ向きな部下の悩みを5ステップで支援し、ともに解決策を見出す

思い込みに悩む部下へのナラティブ・アプローチの具体的なステップは以下の通りです。

ステップ1:部下が語るネガティブな話を、部下と対等な立場で聴く

まずは部下の「物語」を聴きましょう。多くの場合、「物語」は、ネガティブな感情や思い込みに支配されています。この思い込みを「ドミナント・ストーリー」と呼びます。ナラティブ・アプローチが目指す到達点は、ドミナント・ストーリーをまったく別の視点から捉え直すことです。先入観を持たずに部下の話を注意深く聴き、問題の根底を探りましょう。

通常、相談の場では相談される側(上司)の方が優位な立場になりやすいです。しかし上司が優位になると、部下は反対や反論ができなくなる可能性があります。ナラティブ・アプローチの際、上司は「伴走者」であるよう心がけましょう。

ステップ2:問題から主観を切り離し、真因をあぶりだす~外在化

ドミナント・ストーリーを聴いたあと、問題を言語化し問題の真因を明らかにします。相談者である部下は「問題の原因は自分である」と思い込んでいます。そこで、問題に「適当な名称」をつけてもらいます。問題を自己から切り離すことで、問題の真因が見えて新しい視点で考えられるようになります。問題・課題を人から引き離すことを「外在化」といいます。

ステップ3:さまざまな質問を通して、部下に内省を促す

部下にさまざまな視点から質問することで、物語の中で言及されている要素や関係性について深く掘り下げます。質問は具体的に行い、「誰が」「どんな出来事が」「どんな経験が」問題に対して関与しているのかを明確にしましょう。また、言葉の繰り返し(リフレージング)や言い換え(パラフレージング)を使って訊くことで、内省を促します。

ステップ4:質問を繰り返し、部下の話から別の切り口を見出す

さまざまな視点から質問を繰り返すと、最初に語られたドミナント・ストーリーの「例外」といえる要素を発見できます。この例外は、新たな解決策や視点が見つかるヒントになります。

ステップ5:別の視点から問題を見直し、部下が新たな視点や解決策を得られるようにする

最終段階では、さらに質問を繰り返しながら例外的な結果を集めていきます。部下が導き出した例外的な結果をもとに、気づきやポジティブな要素を取り入れながら、別の視点の物語(オルタナティブ・ストーリー)を作っていきましょう。これにより、部下は自分の「物語」を再構築し、新たな可能性や解決策を見出せるようになります。

ナラティブ・アプローチは、部下の関係強化や精神的成長にも役立つ

部下指導にナラティブ・アプローチを活用するメリットは、主に以下の3点です。

上司・部下の関係が深まる

ナラティブ・アプローチは上司と部下の信頼関係を強化します。ともに対等な立場で問題を解決するため、上司は部下の悩みや価値観を客観的に捉えることができ、部下は、対等な立場で聴いてくれる上司に頼もしさを感じるでしょう。

部下に自信が生まれ、能動的に動く力が身につく

ナラティブ・アプローチでは、上司が「こうしなさい」と指示するのではなく、部下自身が気づきを得て解決策を導き出します。新たな視点に気づいた部下は「自分の人生をコントロールできる」という前向きな気持ちが芽生え、より行動的になることが見込まれます。

部下の解決策の選択肢が増え、問題解決能力が向上する

部下は、ナラティブ・アプローチを通して、問題に対する異なる視点を見つけ出し、みずから新しい解決策を模索できるようになります。選択肢が増えることで、別の問題が発生したときに、より適切な解決策を見つけることが可能になるでしょう。

ナラティブ・コミュニケーション研修~双方向の物語で部下の内省と動機づけを促す

本研修では、ナラティブ・アプローチを理解、習得することで、相手の気持ちに寄り添いながら行動変容を促す手法を身につけます。

人材の多様化が進む今、それぞれの価値観を理解し、個に合わせて対応することが求められています。理屈や正論だけの押しつけではなく、論理的にも感情的にも当事者が「納得できる」問題解決力を身につけたい方に、おすすめの研修です。

研修のゴール

  • ロールプレイングによる反復練習で相手目線の傾聴力・質問力を体得する
  • 相手の納得を引き出し、相手を動かすための語る力を身につける

受講者の声

  • 実際の1対1面談で活かせるテクニックを学べた気がする
  • メンバーとのコミュニケーションのバリエーションが増えた
  • 悩みだけでなく、日々のコミュニケーションの中で活用ができる内容だった

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セットでおすすめの研修・サービス

コーチング研修~部下の主体性を引き出すスキルを習得する

部下のやる気を引き出すのに欠かせない「傾聴」「質問」「承認」の3つのスキルを身につけることに力点を置いた研修です。ケースごとのロールプレイングを行い、コーチングスキルの定着を図ります。

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コミュニケーション研修~エトス・パトス・ロゴスで伝える力を強化する

ビジネスにおけるコミュニケーションの目的は「相手に動いてもらう」ことです。本研修では、エトス・パトス・ロゴスの習得を通じて、説得力のある説明をし、相手に動いてもらうスキルを高めます。

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部下とのコミュニケーション実践研修~心理的安全性の高い職場を作る

心理的安全性とは「メンバーがチームに対して気兼ねなく発言できる、自然体でいられる環境・雰囲気」のことを指します。研修では、自分のチームの心理的安全性を高めるための具体的な方法を検討します。

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