人材マネジメントにおける管理職の役割とは~人材を活かし、組織の目標を達成するために

「せっかく採用した人がすぐ辞めてしまう」「部下がなかなか育たない」これらの課題は、管理職に共通する大きな悩みです。
こうした悩みの根底には、「人材をどう活かすか」というマネジメントのあり方が深く関わっています。現場で成果を出すチームをつくるには、この点がすべての鍵になります。本記事では、組織のパフォーマンスを最大化するための管理職に求められる人材マネジメント(HRM)の具体的な実践法を、わかりやすく解説します。
なぜ、優秀な人材が定着しないのか?
「いい人が入らない」「入ってもすぐ辞めてしまう」――これは採用難の時代によく聞く声ですが、その原因は採用だけではありません。
人材が活かされていない・育たない・評価されないといった、職場環境そのものに原因があるケースが大半です。そしてその中心にあるのが、管理職の人材マネジメント(HRM)です。採用から定着までのすべてのフェーズに、現場の管理職がどう関わるかで、組織全体の成果は大きく変わります。
管理職に求められる「人材マネジメント」の6つの実践ポイント
では、具体的に管理職は何をすればよいのでしょうか。ここでは、人材マネジメントの6つの実践ポイントを紹介します。
1. 組織デザインと職務設計を「見える化」する
業務の役割や責任範囲が曖昧だと、メンバーは不安を抱え、パフォーマンスが落ちます。
管理職がまずやるべきは、
- 「誰が何をやるか」を明確にする
- 業務の流れを可視化し、チーム全体で共有する
- 現場実態に合った柔軟な職務設計を行う
これにより、メンバーは安心して自分の役割に集中できるようになります。
2. 「適材適所」を実現する人材配置スキル
管理職がメンバーの強みや志向を把握せずに配置すると、成長の機会を奪い、離職につながることもあります。
- 得意領域や将来の志向性をヒアリングする
- 一時的に負荷をかけるチャレンジ業務を与える
- 経験に応じて業務の難易度や責任を調整する
このように、一人ひとりの「伸びしろ」に着目した配置が、組織全体の力を引き出します。
3. 採用に「現場目線」を取り入れる
人事任せの採用では、現場にフィットしない人材を引き入れてしまうリスクも。管理職が採用の段階から関与することで、ミスマッチは大幅に減ります。
- 欲しい人物像を現場の課題から逆算して明確化
- 面接では実務レベルでの質問を通じて見極め
- 配属初日から業務が円滑に進むようオンボーディング設計
こうした工夫で、入社後の定着率が大きく改善します。
4. 評価制度を「育成ツール」として使う
評価面談を「査定の場」だけで終えていませんか。本来、評価は「人を育てる」仕組みの一部です。
- 何を評価するのか(基準)を明確に伝える
- 日々のフィードバックでこまめに方向修正
- 評価面談では「次に目指す姿」を一緒に考える
納得感のある評価が、成長意欲を引き出す最大の動機づけになります。
5. 離職を防ぐ「エンゲージメントマネジメント」
「働きがい」が感じられない職場は、どんなに条件が良くても人は定着しません。管理職ができることは、日々の関わりで信頼関係を築き、安心できる環境をつくることです。
- こまめな1対1面談で不満や悩みを早期にキャッチ
- 感謝やねぎらいの言葉を、意識的に伝える
- 「あなたの仕事が組織にどう貢献しているか」を見える形で共有
エンゲージメントが高まると、自発的な行動・定着率・成果のすべてが上がります。
6. 「セルフマネジメント」で背中を見せる
メンバーは、上司の言動をよく見ています。管理職自身が感情の起伏に振り回されたり、自己管理ができていないと、チーム全体の雰囲気も不安定になります。
- タスク管理やスケジューリングを意識的に行う
- 感情をコントロールし、冷静な判断を保つ
- 常に前向きな言動でチームに安心感を与える
まずは「自分のマネジメント」から整えることが、信頼されるリーダーへの第一歩です。
実践的に学びたい方へ:管理職向けHRM研修のご案内
組織デザインから採用、配置、評価、定着支援まで――弊社では、管理職のための人材マネジメント研修を提供しています。
- 現場で使える評価面談のテクニック
- 適材適所を叶える配置設計の方法
- 離職を防ぐ1対1面談とエンゲージメント施策
など、実践的なテーマを体系的に学べる内容です。「人が辞めない組織をつくりたい」「メンバーをもっと活かしたい」そんな想いを持つ管理職の方に、ぜひご参加いただきたい研修です。
まとめ:人を活かすマネジメントが、組織の未来をつくる
「人材を活かす」ことは、管理職だけに任された責務ではなく、組織を伸ばす最も重要な経営課題です。その第一歩は、現場の管理職が人に関心を持ち、丁寧に向き合うことから始まります。
明日から実践できるアクションリスト
- チームメンバー全員の「得意・苦手・志向」を棚卸しする
- 1対1面談で、月1回以上の対話機会を設ける
- 評価基準を部下にわかりやすく言語化して伝える
- 毎日、感謝やねぎらいの一言を部下に投げかける
- 自分自身のタスク・感情管理を見直してみる
人を活かせば、組織は必ず伸びる。その仕組みづくりは、あなたのマネジメントから始まります。
ヒューマンリソース・マネジメント研修(1日間)
本研修は、人材を資本として活かす視点をもち、組織の価値創造に貢献するための実践力を養うことを目的としています。
急速な環境変化や人材の多様化が進む中、管理職には、戦略的な人材配置やエンゲージメント向上、そして心理的安全性の確保など、より高度なマネジメントが求められています。HRMの基本から最新の理論・手法までを体系的に学び、ワークを通じて自部門の課題を具体的に整理し、明日からの行動につなげることを目指します。
本研修のゴール
- 人材をうまく活かし、組織の目標を達成できるようになる
- 離職を防ぎ、長く活躍できる職場環境を整えられる
- 自身の感情をコントロールし、適切な指導ができる
よくあるお悩み・ニーズ
- 職務と人材のマッチングがうまくいかない
- 若手社員や中途社員の定着に課題を感じている
- 管理職として、もっと人的資本を最大化できるようマネジメントしてほしい
セットでおすすめの研修・サービス
評価者研修~公正な評価のポイントを学び、納得感のある評価を行う
人材育成のツールとして、評価制度を活用していくために、評価者は公正に評価を行わなければなりません。
どのようにして評価を行うのか、評価者が陥りやすい傾向とは、部下への評価のフィードバックはどのようにするのかなど、評価者として求められる基本のスキルを実践を通じて学び、身につけていただきます。
1対1面談研修~部下のキャリア開発支援編
本研修は、実際に面談をする管理職・リーダーが、1対1面談でどのように部下の特徴・キャリア志向を把握していくか、フレームワークをお伝えしていきます。
さらに、ワーク、ケーススタディでの実践を通して、部下のキャリア開発を促す1対1面談ができるようになることを目指します。
【全力解説】リテンションマネジメント研修~離職防止に向けた一貫性のある取り組みの進め方
若年層を中心とした人材の定着化を図り、さらにその労働生産性を高めていくための総合的な取り組みとして、「リテンションマネジメント」という考え方が注目されています。
場当たり的な離職防止策ではなく、一貫性のある人材定着策を推進する上で必要な基本知識を身につけていただくとともに、具体事例を通してその取り組みのポイントを学んでいただきます。
Leaf 人事評価システム
貴社の評価シートを、当社の人事サポートシステム「Leaf(リーフ)」の人事評価機能の画面に完全再現するWEBサービスです。
インソースがこだわるのは「そのままWEB化」。評価シートの見た目と運用法は維持したままシステム化を実現することで、貴社の運用改善を成功に導きます。
エンゲージメント診断
本サービスは従業員エンゲージメントの向上を目指して、組織課題を可視化するアセスメントです。
従業員と組織の満足度を定量的に調査することで、どの対象にどのような施策を講じればよいのかを考える際の基礎情報として活用することができます。
組織開発関連研修・サービス
組織開発の目的は、「組織が環境に適合しながら、健全かつ効果的に機能すること」ですが、そのための取り組みとして、組織の理念浸透やチームビルディング・モチベーション向上のための施策まで、様々な手法が考えられます。
インソースでは組織の現状を把握するためのアセスメントサービスや理念浸透、ビジネスゲームやワークショップを通じたチームビルディングなど、あらゆるご要望にお応えできるプログラムをご用意しています。











