「段取り力」で効果的な部下育成~管理職が実践すべきプロセス評価の3ステップと、ほめて育てる指導法
リモートワークの常態化、DXによる業務変革、そして価値観が多様化する職場環境。こうした変化の中で、「以前のマネジメントが通用しなくなった」と感じている管理職の方も多いのではないでしょうか。
部下の働き方が見えにくくなり、成果の出し方も一様ではない今、管理職にはこれまで以上に高度な部下育成力と指導力が求められています。
かつての管理職は、部下の報告を受け、判断し、決裁を下すことが主な役割でした。
しかし現在は、変化の激しい環境下で組織の成果を最大化し、人を育て続ける「真のマネージャー」としての力量が問われています。
本記事では、現代の管理職が直面する課題に寄り添いながら、現場ですぐに実践できる部下育成・指導の具体的な考え方と方法を解説します。
DX時代に管理職に必要な段取り力~スケジュール管理では成果は出ない
現代の管理職に必要とされる能力の一つに、「段取り力」があります。これは単なるスケジュール管理能力ではありません。業務が複雑化し、メンバーの働き方も多様化する中で、チームとして確実に成果を出すための総合的なマネジメント力を指します。
例えば、リモートワークと出社が混在するチームでは、進捗の把握や情報共有が難しくなりがちです。さらに、業務委託や派遣社員など外部人材と協働する場面も増え、従来の「阿吽の呼吸」に頼ったマネジメントは通用しません。こうした環境下では、業務の進め方を可視化し、誰がどこでつまずいているのかを的確に把握する力が不可欠です。
この段取り力を支える中核が、部下一人ひとりの仕事を正しく理解し、成長につなげるための評価と指導の仕組みです。
信頼される上司は「途中」を見ている~成果を作るプロセス評価の正体
「上司と合わない」「成長している実感が持てない」こうした理由で、若手社員のエンゲージメントが低下するケースは珍しくありません。成果だけを見て評価するマネジメントでは、プロセスでの努力や工夫が見過ごされやすく、部下は「ちゃんと見てもらえていない」と感じてしまいます。
信頼される管理職に共通しているのは、結果だけでなく、成果に至るまでのプロセスに目を向けている点です。プロセスを評価することで、部下の強みや課題を具体的に把握でき、納得感のある指導が可能になります。
【実践】プロセス評価の3ステップ~分解→評価→指導の具体手順
部下育成の指導教育を効果的に行うには、結果のみではなく、仕事のプロセスごとに部下の仕事振りを細かく評価することがカギとなります。
1.仕事を細分化して、業務工程を具体的に洗い出す
まずは、部下に任せたタスクやプロジェクトを構成する業務工程(プロセス)を具体的に細分化し、一覧化します。例えば、新しいWebマーケティング施策であれば、市場調査、企画立案、制作、実行、効果検証といった具合です。工程を明確にすることで、評価の視点が揃います。
2.工程ごとの業務の成果を「○」「△」「×」で評価する
次に、それぞれの工程について客観的な評価を行います。「期待通り」「改善の余地あり」「不十分」といったシンプルな基準で構いません。重要なのは、最終結果の良し悪しではなく、どの工程でつまずいているのかを特定することです。
3.成果の低い部下の「良い点」と、成果の高い部下の「改善点」を指摘する
プロセス評価を行うことで、たとえ最終的な成果が芳しくなかった部下にも、努力や工夫が見られた点(○の部分)が必ず見つかります。反対に、高い成果を出した部下であっても、見直すべきプロセス(△や×の部分)を発見できることがあります。この具体的な評価に基づいて指導することで、部下個々人の課題点を把握し、きめ細やかな指導が可能となり、部下は納得感をもって成長に向き合えます。
このプロセス評価は「上司が自分の仕事をきちんと見てくれている」という実感を部下に与えます。その結果、上司としての指導が「公平」かつ「鋭い」指摘となり、部下から上司に対する信頼と尊敬を同時に獲得できます。
部下が自ら動き出す指導法~ほめてから伝える指導の型
プロセス評価によって具体的な課題点が見えたとしても、指導の方法によっては部下のモチベーションを下げてしまう可能性があります。
特に、多様な価値観を持つ部下を抱え、エンゲージメントの維持やモチベーションの醸成が難しい現代の職場では、単に厳しく正す指導よりも、「ほめて育てる」アプローチがより有効です。
なぜ指導の最後に感謝を伝えるのか~部下が動き続けるほめ方
部下を指導する際には、ストレートに事実を指摘するだけでは、仕事への意欲を失ってしまう部下も少なくありません。例えば、「今回の提案書はミスが多く、品質が低い」と直言するのではなく、指導したい内容を伝える前に、相手の良い点を先に具体的に伝えることが効果的です。
例えば、ミスを指摘する場面でも、「迅速な対応で納期を守ってくれて助かった」という事実を先に伝え、その上で改善点を具体的に示します。この順序を守るだけで、同じ内容でも受け取られ方は大きく変わります。
管理職に求められるのは、思ったことをそのまま伝える率直さだけではありません。部下の心理を考慮し、あえて言葉と順序を選ぶ戦略的なコミュニケーションこそが、多様な人材を動機づける力になります。
まとめ:プロセス評価と「ほめて育てる」指導でチームの成長は加速する
DXと働き方の多様化が進む今、管理職の役割は確実に変化しています。成果だけを見るマネジメントから、プロセスに目を向け、人を育てるマネジメントへ。この転換ができるかどうかが、チームの生産性とエンゲージメントを大きく左右します。
プロセス評価の3ステップと、ほめて育てる指導の型は、特別なスキルがなくても今日から実践できます。管理職自身の行動が変われば、部下の意識も、チームの成果も確実に変わっていきます。不確実な時代だからこそ、管理職の指導力が組織の未来を形づくるのです。
今日から使える「管理職のための振り返りチェックリスト」
- 結果だけで指導していないか
- プロセスを言語化できているか
- 改善点を一度に詰め込んでいないか
- 最後に感謝を伝えているか
段取り研修~管理職としての基本的マネジメントスキルを理解する
管理職に求められる役割を、上司・部下の視点から改めて認識します。そのうえで、成果をあげる管理職に必要な3つのマネジメントスキル「①部下指導・育成力、②業務管理力(推進・改善)、③リスク管理力」を習得していただきます。
管理職にとって必要な「段取り」とは?
組織を維持・拡大し、業務改善及びその支援をするために必要なものです。「部下育成・指導」「業務改善」「目標管理」「リスク管理」の4つの能力から構成されます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 管理職業務をしていく上で、マネジメントの考え方や手法を一から学びたい
- 管理する立場から上司や部下とのコミュニケーションの取り方を知りたい
- 目標管理やリスクマネジメントの具体的なポイントが分からない
ワークのポイント
- 上司と部下それぞれの視点で、中間に位置するご自身について考えることから、今、ご自身に求められていることを認識する
- 部下のほめ方、言いにくいことの言い換え方をトレーニングし、部下から信頼を得る効果的な指導方法を習得する
- 組織における改善対象を取り上げ、具体的な改善計画を立てる
- 管理職としての「リスク」の考え方を学び、想定できるリスクを洗い出し、顕在化させないための対策を考える
本研修のゴール
- 求められる役割への認識強化
- 部下育成~具体的な「ほめ方」「叱り方」などの指導方法
- 業務改善~組織の改善対象を具体的な行動計画書に落とし込む
- リスク管理~「起こり得る可能性」と「影響度」からリスクの優先順位をつけ、対策を考える
セットでおすすめのサービス
5つのステップで進めるOJT研修~リーダー・管理職の部下指導
本研修はOJTを5つのステップに分け、自立して現場で考えて動く人材を育成することを目的にしています。
- 育成計画を立てる~仕事の見通しを伝える
- 知識付与~OJTより先に座学で仕事の内容を伝える
- OJTの実施~仕事のやり方、意義、やりがいを伝え、教え方も最適化
- ケーススタディ~経験談の共有で、こんな時どうするかを理解させる
- 面談の実施~部下一人一人の話を1週間に15分ぐらいじっくり聞く
1、2のステップで仕事や今後の指導に対する若手の不安を減らし、3のステップで仕事の具体的な方法と意義を伝えます。そして、4のステップで主体的な判断力をつけ、5のステップで伴走する姿勢を示します。これらの手順で若手に配慮したOJTをすることで、効果的な教育が実現できます。
DX人材の育て方研修~ベストな人材は内部にあり
DX化を進めるうえでおさえるべきポイントと、DX人材に期待される役割と育成を学ぶ2部構成の研修です。
前半ではDXに必要なツール・システムとその特徴を紹介し、他組織の具体的な事例を踏まえて現場に即した効率化を考えます。後半は、DX人材として持つべき視点や考え方とともに、プロジェクトをスムーズに動かしていくためのコツを理解します。
チームを牽引できるDX人材を見出し自組織でどのように育成していけばよいか、ヒントを得られるプログラムです。







